第五話 第二の地球と選ばれし者
〜祓魔メモ〜
初代幻魔
趣味:不明
術式:不明
年齢:不明(大昔から存在していたとの記述あり)
容姿:不明
特筆事項:45年前「栄光の世代」の祓魔師が総出でようやく倒した最凶、怪魔の原点にして頂点
宇宙のような空間を零夜と虎徹は飛び続ける。
「さて、そろそろ着くよーー!」
いよいよだな…絶対に…幻魔を倒せるくらい強くなってやるーー
ーピカァ!ー
眩しッっ!零夜が思わず目を閉じる。そして、目を開けると……
そこには江戸時代の城下町のような大きな町が広がっていた。圧倒的な光景に気圧される。
「す、すげえぇぇ…」
一つ不思議なのは町全体が黄色いドーム状の半球で覆われていることだ。
「ここはセカンドアースの首都である結界都市、虹龍都。話すより見てもらったほうが早いかな。」
そう言いゆっくりと歩き出す虎徹。それについていく零夜。後ろを振り返るが特には何もない。
俺たちってどこから出てきたんだろう…
そんな疑問を持った束の間、大きな声が側から聞こえる。
「へいらっしゃいー!へいらっしゃいー!新鮮な野菜に果物!今ならお得だよー!」
「煎餅!煎餅!美味しい煎餅はいかがー?」
町往く人々が様々な店で買い物をしている。
すると、
「おや?龍神先生じゃないですか!わざわざ町に降りてくるなんてめずらしい!いつもありがとうございます。こちら今仕入れた桃です!どうぞ!」
「えー!龍神先生?どこどこ?」
買い物をしていた人達が一斉に寄ってくる。
「先生、いつも助かってます。ありがとうございます!」
ーあとでうちの店にも来てくださいね!ー
ー俺んとこにも!ー
ー私のとこにも!ー
「みなさん、ありがとうございます。実は今日は訳あって急いでおりますので、少し道を通していただけると…店には今度行きますね?」
ーほら!龍神先生が困ってるでしょ!みんな一回どいたどいたー!ー
口々に叫んで、あっという間に人がばらけていく。
次第に零夜の姿も見えるようになっていき…
「先生、その子だれー?」誰かが質問する。
「確かに見ない子だなー」「誰だろう」
「この子はファーストアースからつれてきた子ですよ。祓魔塾に入塾させるためにね。」
辺りがざわつき始め、やがて静かになる。
何を言われるんだろう。罵声だけはもう浴びたくないと、零夜が目をキュッと閉じる。
「…君…」
「ファーストアースから来たんだって?!あっちはどんな感じなの?トーキョーってのはどんなところなの?何が売っているの?スマホってどんなものなの?」
散っていた人がまた集まってくる。
「え、あ、いやちょ、今…」
「悪いけどその子もこれから用事があるから…」
ー祓魔塾頑張ってねー!応援してるぞ〜!ー
みんながようやく離してくれる。
「すごい人気だね、虎徹先生。なんかすごいことしたの?」
「んー、いや~、別っに〜?それよりこの道を真っすぐ行ったところにさっき言ってた祓魔塾があるから」
歩いていると、確かに階段の上に大きな建物が見えてくる。
「うげ〜、あんな長い階段上るのー?!見た感じ100段くらいあるやん…」
悲鳴を上げつつもなんとか階段を上りきった零夜。目の前には門があり端に「祓魔塾」と書かれている。
門から中へ入り、零夜が大きな建物へと入ろうとすると…
「こっちこっち!零夜はこっちだよー!」
そう言い、虎徹が建物の裏にある別のやや小さい建物へと手招きする。
そして、扉を開けると中にはすでに4人いた。1人の男子がこちらを睨み、一言「遅い!」と言う。
「ごめんちょすー!町の人にちょっくら捕まってて〜…許して〜!てな訳で僕は行くとこあるからあとよろしく!零夜〜、ほかの3人と仲良くね〜!拳心、時間になったらみんなを講堂へ頼むよ」
「は…ちょま…」
バタンッ!扉を閉め、虎徹は外へ出ていった。
後ろを振り返ると、3人がなんとも言えない顔で立っている。
「コホンッ!あー、とりあえず!俺神代零夜!ファーストアースから来た!よろしく!」
4人は依然として沈黙したままである。
「……ック、クフッ!あーもう無理だ!笑いこらえられねぇぇぇ」
ウヒャヒャヒャヒャッと突如楽しそうに笑うおかしいやつ1名。なんだこいつ…?
「俺の名前は玲瓏座拳心。お前、面白いやつだな!よろしくな!」
「いきなり酷いよなー虎徹先生wというかまじで何者なのあの人?」
意外と話が通じることに驚いた零夜がふと尋ねる。
「おま、まじかwww!知らねぇの?」再び拳心が腹を抱えて大爆笑する。
「あの人は祓魔師最強の漢だよ、新人」
別の男子が真面目な顔で言う。
「あぁん?俺は新人って名前じゃねぇ!れ!い!や!って名前があるんだ!ん?ちょっと待て。今祓魔師最強って言ったか?」
「そうだが…本当に知らなかったのか?」
「まじかよ…先生一言もそんなこと言わなかったぞ…」
「あの人はたまに重要なことを言わないことがあるからな」
「で!そういうさっきからなんか強者感出してるお前は何者なんだよ?」
「む?私か?私は伊邪那岐五右衛門」
相変わらず淡々としゃべる男だ。必要最低限のことしか話さない…
二人の空気がややピリついてきたところで…
「わ、私の名前は御守優莉香っていいましゅ…」
「…」
噛んだ…!か、かわいい…!
場を和ませようとした少女は、自己紹介の途中で思いっきり噛んでしまった。
「け、喧嘩は良くないと思います…よ…?」
「安心しろ喧嘩ではない…」
五右衛門とかいうやつがピシャリと言う。
その返答に優莉香という少女が少し困ったような表情をする。
「お前すかしてんのか伊右衛門?」
「伊右衛門じゃない、五右衛門だ。伊右衛門だとお茶になるだろう。」
「どっちにしろ変わらんよ!」
「で、えーとゆりかだっけ?自己紹介途中までしか聞けてないわ」
「はい!私の名前は御守優莉香って言います!好きな食べ物はさくらんぽんです!」
ん?さくらんぽんって何だろう…?というかよく見たらこの子めちゃくちゃかわいくない?!
ショートボブに白い服、短めの黒スカート、ハイソックス。顔も格好もかわいすぎる…!
「所持武功は…」
優莉香がそう言いかけたところで…
「よっしゃ!時間だ!みんな行くぞ〜!」
拳心が時計を見るなりいきなり声を張り上げて扉を開ける。
「行くってどこに?」
「大講堂さ。今日の流れも何も聞いてない感じ?」
「うんなーんも」
「あちゃー。オーマイガーデニング!とりあえずついてくればなんとかなる…!はず…」
一同は拳心の先導にについていき、大講堂へと向かう。大講堂は入るときに見た大きな建物の裏にあった。
中に入るとすでに50人ほどが規則正しく5列に並んでいた。零夜たちはその列の端に並ぶ。
「ただいまより、祓魔塾第15期生入塾式を挙行いたします。まず始めに塾長から話があります。では塾長、お願いします。」
横から白髪で無精ひげのいかつい老人がやって来て、段の上に上る。
「どうも、紹介に預かった祓魔塾塾長の松風源清だ。まずは皆さん入塾おめでとう。これから君たちには3年間かけてじっくりと祓魔の力をつけてもらう。卒業後は怪魔を倒せる一人前の祓魔師になってほしいと思う。そのための祓魔塾だ。今日から一緒に頑張っていこう。私からの話は以上だ。」
皆の間で拍手が起こる。
「続いて講師長から話があります。お願いしま…」
「はいはいどーもー!講師長の龍神虎徹ですー!みんな〜!盛り上がってるか〜〜?」
ーシーンー
「反応薄っいなーwww」
「ちょっと待てよ?!虎徹先生講師長だったのか?!来る時なんも言わんかったやん!しかも祓魔師最強って言うのもさっき知ったし…」
静寂を切り裂いて零夜の声が講堂いっぱいに響き渡る。
ーなんだあいつー
ー龍神先生のこと知らなかっただって?!ー
ーというかいきなり何?ー
ザワザワッ!
「皆さん静粛に!静粛にお願いしま…」
「ん?あ、そうだ、そういや概要は説明したけど僕自身のこと説明すんの忘れてたwwwごめんちょす〜」
またも司会の言葉を遮って虎徹が話を始める。
「ごめんちょすって!先生が『君は僕たちに必要だから』って言って連れてきたんだろ?!もうちょいちゃんと説明してくれや〜!」
「ハッハッハ!許してちょんまげ〜」
「さてさて!真面目な話はこんぐらいにしておいてー」
いやいや今の話のほうがよっぽどふざけてるだろ…
「1名を除き確かに現時点では僕が最強だっていうことを知っているだろう…だが僕の力を持ってしても未だに怪魔を殲滅するに至っていない。幻魔の足取りすら掴めていない。この状況を打開するために僕は僕に並ぶ実力を探している。君たちはまだ祓魔師の卵だ。未熟で拙い。それと同時に数多の才能を秘めている。
その才能をこれから開花させ、いずれ僕に並ぶ、いや僕以上の祓魔師になる者がこの中にいることを願っている。僕からの話は以上だ。」
先ほど以上の拍手が講堂に起こった。
「これを持ちまして祓魔塾第15期生入塾式を閉式いたします。それでは各クラスの担任の先生方は塾生を連れて教室へと向かってください」
第五話読んでくださりありがとうございます!予定していた日より投稿日が大幅に遅くなりました。申し訳ございません!いよいよ零夜に仲間ができましたね。これからどのような冒険になっていくのか…ぜひ楽しみにしていてください!予定掲載日登録をしようと思っています!第六話以降は週1話投稿を目指していきます!




