第四話 得たもの失くしたもの
〜祓魔メモ〜
神代龍玄
好きなもの:渋いお茶、おしるこ
趣味:鍛錬、零夜をしばくこと(零夜がいたずらをしすぎて気づけば趣味に…)
武功:蓮華真珠功
年齢:67歳(現在)
容姿:白髪と少し生えた髭が特徴のお爺さん。普段は袴のようなものを着ている。
悩み事:最近語尾に「じゃ」がよく付いてしまう
ハッ!ハァハァハァ…夢か…
目が覚めると零夜は畳の上に横になっていた。すでに空には日が昇っており、快晴である。
「団子って美味しいよね〜〜」縁側に誰かが座っていてこちらを見ながらそう言う。
「そうですね〜」思わず返事をしてしまう。
「何味が一番好き〜?」
「俺はみたらしですね〜……じゃなくてあんた誰?!なんで普通に人ん家の縁側に座って呑気に団子食ってんの?!」零夜が我に返り驚く。
「いやー、さすがにそんなすんなり行かないか〜」男が笑いながら頭をかく。
「んー、僕は龍神虎徹。君を迎えにきたのさ。」
気絶する直前に聞いた声と全く一緒だ…
「ハッ!じいちゃんとばあちゃんは?」
「残念ながら…。二人とも布をかけて外に安置しているよ。」
「そうか…それであんたが俺を気絶させたのか?」零夜が疑いながら質問する。
「そうだよ。ひどい傷だったし、何より君は僕たちに必要な戦力だからね。」
そうは言っても、俺は何をすればいいんだ…?
「とはいえ、名前だけ説明しても君がどうするべきかはわからないよね〜」
ドキッ!なんで考えていることがわかった?!まさか、超能りょ…
「超能力?!なんて思わないでねw確かに僕は力を持ってはいるけどその種のはないね。
話を戻そう。まず僕が何者なのか。僕はさっき言った通り、龍神虎徹。君たちが暮らすこの世界、第一の地球、通称ファーストアースとは別に存在する世界、第二の地球、通称セカンドアースから来たんだ。今、セカンドアースは怪魔の侵攻を受けていてね…怪魔っていうのは…」
「怪魔っていうのは人間とは思えない姿をしていて、殺すと人魂のようなものが発生する生き物か?」
零夜が虎徹の話を遮って質問する。
「おお!すごい!よく知ってたね。どこで学んだのかな。龍玄先生から教わった?」
「学校でそいつに襲われたんだ…俺がなんか暴走して倒すことはできたけど…」
「ところで龍玄は俺のじいちゃんの名前だけど、先生ってのは…?」零夜が首を傾げ尋ねる。
「あれ?先生から何も聞いてないの?龍玄先生はもともとセカンドアースの人で元最強祓魔師だよ。
そうそう、さっき言ったけど怪魔の侵攻を受けるセカンドアースには祓魔師と呼ばれる対怪魔専門の職業があるんだ。」
「じいちゃんはその中で最強だったってこと?」
「そう。そして僕は先生に教わって強くなったんだ。」
「あのさ、そのじいちゃんを殺したやつに心当たりはある?」
「僕は君が寝ている間に竹林にもどったんだけど、そこには本来この世界、そしてセカンドアースにすらない特殊な霊力の使用痕があった。あれはセカンドアースのさらに裏の世界、サードアースのもの。サードアースには最強クラスの怪魔がいてね…その中でも特に異次元な力をもつもの。すべての怪魔の頂点にして原点。幻魔のものだ…」
「幻魔…?何者なんだそいつ…?」
「幻魔というのは大昔に生まれた最初の怪魔さ。いつどうやって生まれたかは不明だ。ただ一つ言えるのは幻魔を殺せば、セカンドアース、サードアースどちらからも怪魔が消え去るということだ。だが、幻魔は普段サードアースにいてめったに姿を現さない。」
「じゃあなんでこの世界、ファーストアースだっけ?にいたんだ?」
「それは龍玄先生を殺すためだと思う。改めて言うけど先生は元祓魔師最強…若い頃に幻魔を殺したこともある。若い頃では太刀打ちできないと踏んだんだろう。」
「ん?幻魔っていうのは一人じゃないのか?」
「もともといた初代幻魔は55年前に龍玄先生とその代の祓魔師が総力を挙げて倒したんだが…。
やつの魂そのものをすべて祓うことはできなくてね。残った魂が新たな幻魔を構築してしまったんだ。それに加え、大部分の魂はどこに行ったのかは分からないんだ。」
「それで俺に何をしろって?じいちゃんはもういないんだ…」零夜が顔を曇らせる。
「だからこそだ。君が新たな伝説になるんだ。龍玄先生だって何もせずにいなくなったわけじゃない。君に遺していったものが確かにある。君のここにね。」
そう言い、零夜の胸を指差す。
「気絶する前に自分が何をしたか覚えている?」
零夜が気絶する前の記憶を思い出す。
ー蓮華真珠功 蒼ー
ヒュイイイン…パアンッッ!
あれか…!
「詳しくは君がどうするか決めてから話そう。何度も言うようだが、僕らにとって君は必要なんだ。3日間あげるからじっくり考えてほしい。僕についてくるかこの世界で残りの人生を過ごs…」
「行く…!」
零夜の顔には一点の曇りもなかった。
「3日間考えなくていいの?大切なことだよ?」
虎徹が笑いながら言う。
「いらない。じいちゃんを殺したあいつをこの手で…!」
「覚悟はできているようだね。」
「ああ!」零夜が力強く返事をする。
「それじゃあ、出発する前に先生たちを弔おうか…」
二人が裏口から外へ出る。そこには布のかかった2人の亡骸があった。
零夜の目から涙がこぼれ落ちる。それを止めようとすると、
「今はいい…泣きたいだけ泣きなさい。」虎徹が優しく諭す。
「うっ…ううぅ…ああぁぁぁぁっぁぁぁっぁあ!あぁぁぁぁっっっぁぁ!」
零夜の涙が引いたとき、ちょうど虎徹が丸太を何本か担いで戻ってきた。
「公の場での葬儀は人目につく。ここで弔おう…」
そう言い虎徹が丸太を何本か組み合わせ、そこに火をつける。
ーボォォオ!ー
じいちゃんとばあちゃんの葬儀が静かに始まった。零夜の目に炎の光が映る。
じいちゃん、ばあちゃん俺強くなるよ…!幻魔を倒せるくらい…!見ててね…!
火葬が終わると、地面に二人の遺骨を埋めた。神代龍玄享年67歳、神代智恵子享年65歳、木に彫り地面に立てる。
「さて、二人の埋葬も終わったしいよいよだね。部屋に行って荷物をまとめてきて。」
「必要なものは?」
「んーとね〜、特にはいらないけど持っていきたいものがあれば持っておいで。当分こっちには戻って来ないから。外で待ってるね〜。」虎徹は正面玄関へと向かっていった。
一方、零夜は自室を見に行った。特に必要なものはないな…
あっ!そうだ!
何かを思い出し、じいちゃんの部屋へと向かう。確かここら辺に…ガサガサッ
あった…!じいちゃんの部屋の棚の中から数珠を引っ張り出す。
ー10年前ー
「じいちゃんー!これなにー?」じいちゃんの部屋へと侵入した零夜が何かを見つける。
「何じゃ?」居間にいたじいちゃんが戻ってきて零夜のところへ来る。
「あー、これはなー。うーん…そうじゃ!人生で本当に必要になったときに役に立つものじゃ!まだ零夜には早いぞ。使えるようになったらわしが教えてやろう。」
「ちぇっ!じいちゃんのケチー!」
「け、けちとは何じゃ?!ん?待たんか零夜ーー!」零夜がじいちゃんの手からりんごを奪って脱走する。
じいちゃん…これから絶対に必要になる時が来るから…!持っていくね…
ポケットに数珠を入れる。このとき数珠の一つの玉が蒼色に光っていたことに零夜は全く気づかなかった。
そうして、零夜は虎徹のいる正面玄関へと向かった。
「もう準備は終わったかな?ってほんとに何も持ってないじゃんwいいんだけどさw」
「いや?何も持ってないわけじゃあないぜ!」
「そっか。まぁ準備もできたことだし…いざ出ぱぁーつ!僕にしっかり掴まっててね。」
そう言われ零夜は虎徹の手を握る。すると虎徹が宙に浮き始めた。
「え?え…?えぇぇぇぇぇぇぇ?!」
「ちょ、浮いてます、浮いてます、浮いてますよぉぉ?!」
「アハハハ。ここから飛ばしていくよ?」
そういうと、街の方まで一気に加速していった。
「そろそろ慣れてきたかも…そういえばあんた3日間待つってさっき言ってたけど、俺が行くって言うのわかってたな?」
「あちゃー、バレてたか〜。それより僕のことは虎徹先生と呼んでくれ。君は零夜でいいね。」
そんな他愛もない会話をしている内に街に入った。
「これ歩いてる人に見られたらヤバくね?」
「大丈夫!一般人には見えないようにする装備をつけてあるから。」
と言い路地裏へと向かい…
マンホールへと急降下していった。
「ぎゃあああ!まだ死にたくないいぃぃぃ!」
しかし、零夜たちはマンホールには当たらなかった。
「え…?ここは…?」
「ファーストアースからセカンドアースへと向かう通路のようなものさ。さっきのマンホールを介して入った。」
周りは宇宙のような空間で果てしなく続いているように見えた。そこをひたすら飛び続ける。
今日は非現実的なことばかりだなぁ…
零夜は虎徹に掴まれたまま今日一日の出来事を思い出していた。
「さて、そろそろ着くよーー!」
いよいよだな…絶対に…幻魔を倒せるくらい強くなってやるーー
第四話、読んでくださりありがとうございます!なんやかんやでもう8月!暑さが和らいでくるといいですね…第五話作成も頑張っていきますので応援よろしくお願いします!




