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幻魔の滅功  作者: 神代蒼龍
第一章 異界開門編

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第十一話 圧倒的強者

「みんな~どこにいるんだ?もう怪魔は暗闇先生が祓っちゃったよ〜!」


森いっぱいに声が響き渡る。しかし誰の返事も返ってこない。仕方がないので見つけるまで歩き続けるしかない。あちこちを探し、ようやくそれっぽい広場に到着した。広場に行くと3人がこちらに背を向けて立っていた。


「なんだぁ、こんなところにいたのかよ…探したぜ……」


そう言い駆け寄った次の瞬間、


ブッシャッァァァァ!


3人の体が大きく弾け血が辺りに飛び散った。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

なんだよこれ…何なんだよ……!

気づけば、目の前には鬼の見た目をした怪魔が、暗闇先生が倒したはずのやつが、立っていた。しかもその見た目は第二形態と思わしき姿だった。


うっ…体が動かない…!なんでだよ…!蓮華真珠功さえ出せれば…!


零夜が何も考えつかない間に金棒が振り下ろされる。

その金棒が零夜の顔面に当たる直前どこからか声が聞こえた。


―これで終わったと思うなよ?―


「おわぁぁぁぁぁぁ!」

目を開けると、零夜は知らない場所のベッドの上にいた。


ハァ…ハァ…夢か…なんて悪夢だよ…。

こんな夢を見た自分を呪う。現実じゃないだけマシだが。現実だったら今ごろベッドから飛び降りて窓の縁に頭を思い切り叩きつけていただろう。


ところで地面をよくよく見ると尻もちをついている虎徹がいた。


「びっくりさせないでくれよ…!」

「いや、なんで虎徹先生がここに…?というかここどこ?!」


「まずはおはよう零夜!次にここがどこかだけど…

ここは専治の管轄する負傷した祓魔師の療養施設、

薬福亭さ!たぶん零夜の傷はもう回復してるはずだよ」

「ほんとだ…叫んでも肋骨の痛みを感じない…

で、虎徹先生は何してたの?」

「あ~、忘れてなかったか…実を言うとね…」


―零夜が目覚める数分前―


そろそろ零夜が目覚める頃かな…?そうだ!寝起きドッキリ仕掛けてみよう〜!!零夜が目覚める直前に顔を近づけて起きた瞬間「わっ!」ってやれば驚くこと間違いなし!我ながらなかなか悪なこと考えるね!


零夜、うなされてるけど悪夢でも見てるのかな〜…

そして顔を近づけたその時…………

「おわぁぁぁぁぁぁ!」

「急に何?!」

びっくりした虎徹は思わず尻もちをついた。


「っていうのが真実です。」

「いやそれ2000%虎徹先生が悪いだろ!」

自業自得すぎてツッコミを入れてしまう零夜。

「いや〜、僕もびっくりしたよ!まさかドッキリ仕掛けようとして逆ドッキリを仕掛けられるなんて…!

それで何の悪夢を見ていたんだい?」

気を取り直して虎徹はベッドのそばの椅子に腰掛ける。

「俺以外の3人が特級怪魔に殺される夢…ってそうだ!3人は?!」


虎徹が隣のベッドを指さす。

「零夜以外の3人は結構重症だったみたいでね、生憎まだ昏睡状態さ…」

「良かった…3人とも無事で…ていうか俺どんくらい寝てた?1日?2日?」

それに対し虎徹は、

「丸2週間かな?」


「………マジ?」

「激マジ…」

どうやら体には相当の疲労と傷が残っていたようだ。

冬眠中の熊かっつーの。


部屋はファーストアースで言う保健室のベッド多いバージョンみたいな感じで綺麗だった。

「で!なんか流れで忘れてたけど!俺らをあんな怪魔がうじゃうじゃいる森に放り込むなんてどうかしてるだろ!」

「あぁ、でもこの程度で死ぬようじゃ、この先怪魔と戦ったところで生き残る確率は低いだろうね。まぁひとまずは合格かな!特級相手にそこそこやれてたし!」

「合格ってどういうこと?俺らはもう祓魔塾に入塾してるだろ?」

「んー、例年の特選組はこんな試練なしにもらえるんだけど、祓魔塾には羽織りがあってね。せっかくだし羽織りをかけた試練を与えようかな〜って。それにそもそも祓魔師は戦いのなかで強さを見出すから、早めに実戦ができて良かっただろう?」


この人マジで狂ってるだろwwwそんなことのために俺らをあんな森に放り込んだのかよ…

声には出さないが心のなかで愚痴を言う。前みたいに心を読まれてたらバレてしまうのだろうが。


「そんで特級と戦った感想は?」

「とにかく強かった。最初に戦った低級怪魔なんか比にならないくらい。あとは威圧感…全身に浴びせられる威圧感が半端なかった。全身がビリビリするような…それを瞬殺した暗闇先生強すぎない?」

「ハハハ、彼は極級のなかでも上位に位置するからね。」

「そうなのか、逆に特級怪魔に1体しか遭遇しなかったのが幸運かw」

「そのことなんだけどね零夜、ちょっと耳を貸して」


「――――――――」


「……え?」

零夜は信じられないことを虎徹から聞かされた。


「イェーイ!みんな元気かな?」

全員が怪我から回復してしばらくしたある日、4人は虎徹に教室に呼ばれた。試練の合格の印として羽織を全員羽織っている。


「なんでみんなそんな葬式みたいな顔してんだよ〜」

「仕方ないだろ⋯」

「俺は元気だぜ!」

「俺もー」

「私はいつも通りよ」


「喜べ少年少女たちよ!今日は君たちのためにとっておきのスペシャルゲストを呼んでおきやした!」


え?誰だスペシャルゲストって?

4人の頭に「?」が出る。


「この人たちです!どうぞ!」


ーガララッー

扉が開き、2人の男と1人の女が入ってきた。

「この人たちは君たちの1個上の特選組の先輩でーす!自己紹介おなしゃす!」


「俺の名前は虫巣波羽です。趣味は虫取りです。ちゃんと逃がすけどね」


「僕の名前は眼鏡山勉励です。趣味は勉強をすることです。あぁ⋯この時間で問題何問解けたんだろう⋯」


「えー、私の名前は乱髪泡子だよぉ。自己紹介とかマジ鬼ダルぅ…んー趣味は風船ガム噛むことかなぁ」


「他にも後二人2年がいるんだけど片方は風邪でもう片方は別任務で遠い村に行っているからその人達とはまた今度会ってね〜」


「で、最後に2年の担任が…!」

「私です…」

扉を開けて入ってきたのは…


「暗闇先生…!」

4人の顔が驚きの色に染まる。ついこの前自身の無力さを痛感させたご本人の登場だったもので。

「暗闇先生って2年の担任だったの?!」

「はい⋯みなさんの引率をしたときは⋯彼らが⋯任務に⋯行っていたので⋯」


暗闇先生は相変わらずの途切れ陰気口調で話す。

彼曰くあまり意識していないがその口調らしい。


「なー、なんでこのタイミングで先輩との対面をすんの?」

「お!いいとこに気づいたね零夜!君たちにはしばらく先輩たちと共同任務をやってもらいまーす!」

「は〜〜〜?!」

「ちょ待って、私たちも今聞いたんやけど?!」

「だから⋯今⋯言ったじゃないですか⋯」


まさかの2年の先輩たちも情報を聞かされていなかったのだ。全く祓魔塾の講師の情報伝達能力が疑われる。そんなこともお構いなしに虎徹はさらに話を進める。


「さすがに全員で同じ任務はつまんないから2つの班に分けよう!」


話し合いの末、1班が零夜、優莉香、泡子、虎徹先生

2班が拳心、五右衛門、勉励、波羽、暗闇先生になった。

だが肝心の行き先だけが不明でこれからどこへ向かうのか全く分からない。虎徹先生に内容を尋ねてみると


「虹龍都から西に向かう小さな村と東に向かう小さな村のどっちかに行ってもらうよ。両地域ともに怪魔の怪しい動きが見られるらしいからそれを調査または祓魔しに行くって感じ。まぁ東のほうがやや厄介かな。」


どうやらまだどちらの班がどちらに行くかは決まっていないらしい。ならばやるべきことはただ一つ。男と男の戦いと言ったら…


「ここはじゃんけんだろ!」

「………………?」

虎徹以外の全員が沈黙する。零夜からすれば特段変なことは何も言っていない。にもかかわらず、誰も何も言わない。


「…じゃんけんって…なんですか…」


「?!」

虎徹は零夜に説明しろと言わんばかりの笑顔で立っている。わかっているならば自分で説明してほしいものだ。

「………っていうのがじゃんけんですね」

「なるほど興味深い遊びだな…」

「じゃあ虎徹先生と暗闇先生にやってもらうか」


―じゃーんけん、ぽい!―

虎徹がパーで暗闇先生がグーだった。これが暗闇影男の人生初めてのじゃんけんである。勝った虎徹は嬉しそうに、負けた暗闇先生はというと…何も感じていなそうだった。

素早く勉励が零夜に耳打ちする。


「ああ見えて結構悔しがってますよあの人」


どうやら暗闇先生は感情があまり表に出ないらしい。

すごいポーカーフェイスだ。あれなら交渉とかも得意なのかもしれない。

そんな暗闇先生を尻目に


「よっしゃー!じゃあ〜僕が勝ったから…」


ん?何か嫌な予感がするな〜

零夜は何かを感じ取っていた。そしてそれは的中する。


「東の村で!」

零夜の予想通り、虎徹はまんまと厄介な方を選んだ。

今回もおそらく実力の底上げが狙いといったところだろう。何にせよ、またもや零夜は虎徹によって振り回されるのだった。本当に勘弁してほしい。強くなれるのは嬉しいが、はじめからこんなにハイスピードで行くものなのか。


そしていよいよ各々の班が初任務に向かう日がやってくるのだった。


―出発当日―


各々が支度を整えて教室に集合した。零夜はまたもや拳心のいびきにより万全の状態で来れていない。本当に恨めしい限りだ。とはいえ気持ちは十分、勝つ気100%である。


一方の拳心はかなり万全な様子らしく、両耳のピアスの輝きがそれを物語っているようだった。そしていつもに加え引き締まった顔をしている。


五右衛門はというと…まぁいつも通りの鋭い眼光であった。腰にはずっしりと二本の刀が帯刀されている。


優莉香はいつも通りの、マジまぶ激かわで拳心よりも光り輝いて見えた。これが本当の後光が差すというやつなのか。


3人の先輩は「いつも」の様子が分からないのでなんとも言えないが…うん、まぁそんな感じ。


2人の先生は言うまでもなく落ち着き払っていた。

まぁ2人には笑顔と辛気臭い顔という明確な違いがあるが。この2人がいれば最悪の事態は回避できるだろう。そして何より虎徹先生の実力が見れるかもしれない、そのことへの期待に胸を膨らませる。


「さぁ、出発だ!」


空は快晴で、彼らの初任務を祝福しているかのようだった。


第十一話読んでくださりありがとうございます!今回は戦闘なし回ということですが新しいキャラが出てきましたね。次回は戦闘があるかも…

いよいよ零夜が祓魔塾の一員として任務に出向きます!

サブタイトルが決まったので後書きを変更しました!


次回 第十二話 初任務は苦労してなんぼ

            2026/10/16(金) 20:00公開

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