表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ERISIAオンライン  作者: ナナシのゲーマー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/30

第二十五話 物語の終着点

未来のエリシア。

 その言葉だけで。


 誰も動けなくなった。


「私……?」


 エリシア自身が一番混乱していた。


 扉の向こう。


 桜並木。


 夕暮れ。


 制服姿の少女。


 確かに自分だった。


 だが違う。


 髪型も。


 服装も。


 何より。


 瞳の色が違った。


 今のエリシアよりも。


 ずっと人間らしかった。


『FINAL ACCESS GATE 接続安定化』

 機械音声が響く。

 黒い扉がさらに開く。


 向こう側の景色が鮮明になる。


 笑い声。


 風。


 桜。


 誰かの日常。


「現実……?」


 ミナが呟く。


 セレナは首を振った。


「違う」


「え?」


「現実じゃない」


 その表情は険しい。


「もっと厄介」


 レインが眉をひそめる。


「どういう意味だ」


「物語の次のページ」


 静寂。


 誰も理解できなかった。


「私達は一つの物語だと思ってた」


 セレナは空を見上げる。


「でも違う」


 そして。


 扉を見る。


「続編がある」


 全員が凍った。


 パラリ。

 どこかで。

 本のページがめくられる音。


『エリシアオンライン』

 第一部 完


 そんな文字が一瞬だけ見えた。

 そして次のページ。


『エリシア』

 タイトルだけ。

 たったそれだけ。


 だが。


 エリシアの顔色が変わる。


「……私?」


 少女がこちらを見る。


 未来のエリシア。


 いや。


 別の物語のエリシア。


 彼女はゆっくり口を開いた。


「来ないで」


 全員が固まる。


 予想外の言葉。


「え?」


 未来のエリシアは泣いていた。


「お願いだから」


 声が震える。


「こっちへ来ないで」


 レインの背筋が冷える。


 未来。


 続編。


 第二の世界。


 そこに何かある。


 確実に。


「何があるんだ」


 レインが叫ぶ。


 しかし。


 少女は答えない。


 ただ。


 涙を流しながら。


 こちらを見つめている。


 そして。


 最後に。


 小さく呟いた。


「私は失敗した」


 世界が静まる。


「全部思い出したから」


 その瞬間。


 エリシアの瞳が見開かれた。


 まるで。


 その意味を理解してしまったように。


 パキッ。

 未来側の空間に。

 一本の亀裂が走った。


 そして。


 亀裂の向こうから。


 無数の眼が覗いていた。


 観測者ではない。


 もっと近い。


 もっと恐ろしい。


 まるで。


 物語を読んでいる読者達の視線そのものが。


 形を持ったかのように。


「見つかった」

 未来のエリシアが絶望した声で呟く。

「また見つかった」

 その瞬間。

 扉が強制的に閉じ始めた。


 レインは最後に見た。


 未来のエリシアが。


 確かにこちらへ手を伸ばしていたことを。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ