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ERISIAオンライン  作者: ナナシのゲーマー


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24/30

第二十四話 最終章

観測終了

物語完了条件を確認


エリシア・オンライン


最終章へ移行します


 文字が空を埋め尽くす。

 誰も動けなかった。


 世界が終わる。


 誰もが理解していた。


「……最終章」


 ミナが呟く。


 声が震えている。


「終わるの?」


 誰に聞いたのか。


 自分にも分からなかった。


 だが。


 答えたのはエリシアだった。


「うん」


 静かな笑顔。


「たぶんね」


 レインは拳を握る。


「ふざけるな」


 エリシアが振り返る。


「レイン」


「納得できるかよ」


 怒りだった。


 ずっと。


 ずっと理不尽だった。


「セレナは救われてない」


「ミナも不安なままだ」


「世界も壊れてる」


 そして。


「お前だって」


 声が震える。


「消えるつもりだろ」


 沈黙。


 エリシアは答えない。


 それが答えだった。


「……馬鹿」


 小さく笑う。


 悲しそうに。


「やっぱりレインだ」


 その時。


 セレナが前へ出た。


「一つだけ分かった」


 全員が彼女を見る。


 セレナは空を見上げた。


 巨大な球体。


 既に瞳は閉じている。


「最終章ってのは」


 静かな声。


「終わりじゃない」


「どういう意味だ」


「次の段階だ」


 レインが眉をひそめる。


 セレナは続けた。


「今まで私たちは物語の登場人物だった」


 空を見る。


「でも今は違う」


 世界の外を知った。


 観測者を知った。


 自分たちが創作であることを知った。


「だから」


 セレナの顔色が変わる。


「物語が完結すると」


 嫌な予感。


「存在形式が変わる」


 沈黙。


「……まさか」


「うん」


 セレナは頷いた。


「私たちは消えるんじゃない」


 そして。


 絶望したように言う。


「固定される」


 世界が静まる。


「固定?」


 ミナが首を傾げる。


「物語として完成する」


 セレナの声は震えていた。


「つまり」


「永遠に変われなくなる」


 その言葉で。


 全員が理解した。


 完結。


 それは救いじゃない。


 終着点だ。


 ページの中へ閉じ込められる。


 永遠に。


 何度読まれても。


 同じ言葉を喋り。


 同じ選択をし。


 同じ結末へ向かう。


「そんなの……」


 ミナの顔が青ざめる。


「死ぬのと変わらない」


「違う」


 エリシアが言った。


 全員が振り向く。


「少しだけ違う」


 彼女は微笑む。


「読んでもらえる」


 静かな声。


「覚えていてもらえる」


 レインの胸が痛んだ。


 エリシアらしい答えだった。


 どこまでも。


 彼女らしい。


 その時だった。


 ドクン。


 世界が震える。


 そして。


 空へ巨大な扉が現れた。


 黒い扉。


 どこまでも黒い。


FINAL ACCESS GATE

 文字列。

 機械音声。


最終観測処理を開始します

 扉がゆっくり開く。

 その向こう。


 何かが見えた。


 学校。


 桜並木。


 夕暮れ。


 制服姿の少年少女。


 レインの呼吸が止まる。


「……え?」


 エリシアも固まる。


 見覚えがある。


 知らないはずなのに。


 なぜか懐かしい。


 そして。


 扉の向こうから。


 一人の少女がこちらを見た。


 黒髪。


 制服。


 そして。


 エリシアと全く同じ瞳。


「――」


 少女は何かを言った。


 聞こえない。


 だが。


 エリシアの顔から血の気が引いた。


「嘘」


 震える声。


「なんで……」


 レインが振り返る。


「知ってるのか」


 エリシアは呆然と呟く。


「私だ」


 静寂。


「未来の」


 世界が凍り付く。


 そして。


 誰も気付いていなかった。


 この瞬間から。


 『エリシアオンライン』第一部の終わりと。


 第二部――高校生編への伏線が始まっていたことに。


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