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ERISIAオンライン  作者: ナナシのゲーマー


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第二十一話 選ばれたヒロイン

世界が光に包まれていた。

 白。


 どこまでも白。


 崩壊しかけていた王都も。


 空も。


 山も。


 全てが光へ溶けていく。


「見てくれてる」

 エリシアは笑っていた。

 まるで夢を見ているみたいに。


 その視線の先。


 亀裂の向こう。


 現実の部屋。


 机の上に置かれた『エリシアオンライン』。


 そして。


 ページがめくられる。


 パラリ。


 また一枚。


 パラリ。


「観測数増加を確認」

 白い人影が呟く。

 初めて焦りが見えた。


「ありえない」

 光がさらに強くなる。

 まるで。


 誰かが物語を読み進めているように。


「どういうことだ……」


 レインが息を呑む。


 いや。


 相馬湊。


 その記憶も既に戻り始めている。


「分からない」


 セレナも首を振る。


「こんな現象見たことない」


 その時。


 白い人影の周囲に文字列が走った。


ERROR

ERROR


ERROR


「観測対象が増加」

 白い人影が空を見上げる。

「物語維持率上昇」

 沈黙。

 そして。


 ミナが小さく呟いた。


「読まれてるから……?」


 全員が振り向く。


「え?」


「だって」


 ミナは恐る恐る言う。


「物語って」


 震える声。


「読んでくれる人がいるから続くんだよね?」


 静寂。


 その言葉で。


 エリシアが目を見開いた。


 まるで。


 初めて答えを知ったように。


「……あ」


 小さな声。


「そうなんだ」


 彼女は空を見上げた。


 球体。


 観測者。


 世界の外。


 そして。


 本を読んでいる誰か。


「私」


 涙が零れる。


「ずっと勘違いしてた」


「エリシア?」


 レインが呼ぶ。


 だが彼女は続ける。


「会いたかったんじゃない」


 静かな声。


「知ってほしかったんだ」


 誰かに。


 存在を。


 覚えていてほしかった。


 忘れないでほしかった。


 それだけだった。


「NPC個体E-01」

 白い人影が再び声を上げる。

「危険度上昇」

 空間が裂ける。

「物語汚染率98%」

 だが。

 エリシアはもう怯えなかった。


「ねえ」


 彼女は振り返る。


 レインを見る。


 ミナを見る。


 セレナを見る。


 そして。


 相馬湊を見る。


「ありがとう」


 その言葉に。


 全員が固まる。


「私を見つけてくれて」


 涙を流しながら。


 笑う。


 今までで一番綺麗に。


 その瞬間。


 レインの胸に嫌な予感が走った。


「……エリシア」


 彼女は首を振る。


「もう分かったから」


「何をだ」


「私がここにいた意味」


 静かな声。


 覚悟の声だった。


 セレナの顔色が変わる。


「待て」


 理解したのだ。


 エリシアが何をしようとしているのか。


「お前まさか――」


 しかし。


 遅かった。


 エリシアが一歩前へ出る。


 白い人影へ向かって。


「削除対象を再確認」

 機械音声。

「エリシア」

 彼女は笑った。

「うん」


「削除を開始します」

 光が集まる。

 世界が悲鳴を上げる。


 そして。


 エリシアは最後に振り返った。


 レインへ。


 相馬湊へ。


 そして。


 物語を読んでいる誰かへ。


「今度は」


 優しい声。


「私が選ぶ番だから」


 その瞬間。


 彼女の身体が光に包まれた。


 世界が絶叫するように震え始める。


 誰も。


 彼女を止められなかった。


 ただ一人を除いて。


▶ エリシアを引き止める

▶ 手を離す


 選択肢が現れる。

 今までで最も残酷な選択肢が。




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