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~東京に大雪が降った日~

三学期のある日、東京に大雪が降りました。

そこで私は様々な経験をすることになるのです。

三学期が始まりました。1月は年間で最も平均気温の低い月なので、外に出るとすぐに手足が冷たくなります。12月にお父様が買ってくれた赤いマフラーと赤い手袋があるので少しは体熱の放出を抑えることができるのですが、やはり冬は寒いのです。

よく「金持ちは寒い思いをしたことがない」と指摘される方がいますが、それは一部の方だけだと思います。寒い思いをしたことがない人間の例としては、「一年中暖かい地域で暮らしている」又は「冬は常に厚着をしていて、学校生活でもコートを脱がなくて良い環境で、更に冬に外での体育が無い学校に通っている」若しくは「寒い日は外に出ない」のいずれかに当てはまる方だけです。

私が住んでいる東京は、統計上の1月の平均気温はおよそ「5~6℃」であり、通学以外の学校生活ではコートは脱がなくては行けません。しかも初等科の制服は、女子は膝丈スカート、男子は半ズボンなのでレギンスやタイツを穿いていても寒いのです。更に体育では冬であっても校庭での授業があり、体操着は半袖半ズボンです。初等科はジャージがありません。

ですので、できるだけ足首を冷やさないように靴下を二重に履いたり、晴れていてもブーツ代わりに長靴を履いたりと、なんとも涙ぐましい努力をしているのです。


そんなある日、東京に大雪が降りました。関東平野には雪はあまり降らないイメージがある方も多いと思いますが、1月~2月には、何回かは東京にも雪が降ります。特に上空の気温が低く、南から湿度の高い空気が入ると東京でも大雪になります。雪が降るには、寒いだけでなく、湿度があることも重要な条件です。現に、岩手県では冬場は雪が降る日の方が気温が高い事が多いそうです。


東京に大雪が降ると、交通が乱れます。タイヤにチェーンを巻く習慣も無く、スコップも用意していない家庭が多いです。更に、少しでも雪が積もると、地下鉄以外の鉄道はすぐに運転を見合わせてしまいます。学校によっては雪が降っただけで休校になるところもあるようです。

そして、帝鸞学園は…いつもどうり授業がありました。只し、「多少遅れても遅刻にはならない」と学園から保護者への連絡がありました。おそらく、時間を気にしすぎて事故を起こしてしまうのを予め防ぐ為だと思います。

そして私はいつもどうり学校に行く準備を済ませ、玄関で赤いゴム長靴を履き、赤い手袋を着用し、お兄様に赤いマフラーを巻いてもらいました。玄関の脇にある大きな鏡でその装備を確認すると、なんだかいつもより可愛く見えました。一面真っ白な庭に小さな足跡を付けながら通り、車の所まで歩きました。そして高尾が車のドアを開けてくれました。私とお兄様は車に乗り、学園へと向かいました。何時もより時間がかかりましたが、幸い、始業には間に合いました。他の子も長靴姿の子ばかりでした。ちなみにお兄様も今日は青い無地の長靴を履いていました。

授業が始まりました。途中から教室に入ってくる子もかなり多くいました。特に電車通学の子の中には二時間目に来る子もいました。

そして、お昼休みになりました。私は朱梨(あかり)ちゃんに誘われて、校庭で雪遊びをしました。校庭で遊んでいる子は少数派でしたが、その中にはあの平野(ひらの)君武(きみたけ)様や今井(いまい)貴仁(たかひと)様、加藤(かとう)慶伍(けいご)様の姿がありました。よく見れば、校庭に出ている子の多くは『君鸞会』及び『姫峰会』のメンバーが多いです。それ以外でも、比較的裕福な家の子ばかりでした。上流階級の子は上層中流階級の子よりも、意外と大胆な子が多いと知りました。とにかく周りの目線よりも、自分のしたいことを優先させる子ばかりです。この考え方の違いの時点で、上流階級の子は将来的にも得をし続ける事が解ります。必要以上の遠慮は自分のためにはなりません。上流階級の子は積極的で良いと思います。

そして、私は朱梨ちゃんと近くにいた体育の馬場先生と一緒に私の身長以上の巨大な雪だるまを作ったり、雪合戦をしたりしました。馬場先生は、よけるのが上手く、とても強かったです。馬場先生は、とてもやさしく投げてくれたので当たってもそれほど痛くは無かったです。

遊んでいるうちに、長靴の中に雪が入ってしまいました。予鈴が鳴り、昇降口で長靴を脱いだ時には、靴下が濡れていて、足が冷たくなっていました。私は、長靴の中の雪を出し、高尾に替えの靴下とタオルを持ってきてくれるようにメールを送りました。午後の授業は裸足に上履きを履いていました。いつもより開放的でしたが、脚が冷えてしまいました。

帰りの時刻になり、高尾の迎えで自宅に帰りました。今日は大雪が降っていることもあり、習い事は全てお休みでした。

そして私はお友だちの朱梨ちゃんと桜子ちゃんを誘い、お庭で雪遊びを楽しみました。私たちは全身雪まみれになりはしゃぎました。はしゃぎすぎて調子に乗ってしまった私は、凍った池の氷の上をスケートのように滑りました。しかし案の定調子に乗った『バチ』が当たりました。

突然、池の氷が割れ、私は池に落ちてしまいました。あまりの冷たさに泣きじゃくる私を見て、朱梨ちゃんが池に飛び込んで私を助けてくれました。桜子ちゃんは、お母様に事情を説明してくれました。当然私はお母様に頬を平手打ちされ、こっぴどく叱られました。そして、私たちはお風呂に連れていかれ、温まりました。お洋服が濡れてしまった朱梨ちゃんは、タンスにある私のお洋服を着て帰ることになりました。

朱梨ちゃん。本当にごめんなさい。こんなバカな私を助けてくれて本当にありがとう。

そして、二人が帰ったあと、私は再びお母様に叱られました。その後床屋さんに連れていかれ、私はやっと肩まで伸ばした黒髪をバッサリと切られました。今度も夏のように『乙女刈り』にされてしまいました。涙目の私に床屋のおじさんは少し戸惑っていました。前髪ぱっつんで襟足刈り上げ、直線カットの『乙女刈り』になった私を見たお母様は、私に「明日、朱梨ちゃんにお洋服を返して謝りなさい!」と言いました。お母様は、私が悪いことをしたときは『乙女刈り』にするのだとこの時正確に把握しました。


次の日、私は朱梨ちゃんに謝り、昨日のお洋服を返しました。朱梨ちゃんはすぐに私を許してくれました。それどころか、私の髪型を「昭和くさい」とか「火垂るの墓」とか「ワカメ」等と からかう男子に対してとても大きな声で注意してくれたりしました。私はとても良いお友だちに恵まれてとても幸せでした。

真冬の『乙女刈り』はとても寒かったのですが、朱梨ちゃんは次の日『乙女刈り』になっていました。

「これで一緒だね♪」と言ってくれました。それ以降、からかう男子は殆どいなくなりました。朱梨ちゃん…恐るべし。


色々な事がありましたが、結局は楽しい三学期でした。皆様ごきげんよう♪

再び『乙女刈り』にされてしまいました。風が冷たいです。


作者より、

初等科一年生で、予定の2倍くらい話が続いてしまいました。今後も学年が上がっていき、中等科、高等科、大学とまだまだ話が続きますので、今後もお楽しみ下さい。新しい登場人物も予定しております。

それではごきげんよう♪

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