表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/53

~お母様、妃袈は塾に通いたいのです~

私はお母様にあるお願いをします。

それは、塾に通いたいというお願いです。

お母様の実家で読んでしまったあの少女マンガのストーリーのように没落しても安定して生活できるようになるため、そしてもうひとつの野望を叶えるために…

帝鸞(ていらん)学園(がくえん)初等科(しょとうか)では、定期的な試験の結果が公開されることはありません。

中等科(ちゅうとうか)高等科(こうとうか)では5教科の総合と各教科のそれぞれ上位20名が廊下の掲示板に張り出され、本人にも順位が告知されます。

しかし初等科では、定期的な試験の順位は本人にも告知されません。ですので、自分が相対的(そうたいてき)にどのくらいの学力なのか、他の子がどのくらいの学力なのかがわからないのです。

別に、初等科ではあまり学力は気にする事でもないのですが。なぜなら、帝鸞学園(ていらんがくえん)に初等科から入っている子は、出席日数が足りなかったり、よほど成績が悪くなければ、内部進学で大学までの進路は確実です。更にその先の就職先も帝鸞学園は優良企業との伝統的な繋がりから、他の学校よりも有利です。普通に出席して、普通に授業を受けていれば、どんなに勉強が苦手でも進学できるのです。途中で受験が無いのは、内部進学による上流階級の特権です。


しかし、私は自分の人生を楽観視することはできません。先述(せんじゅつ)の通り、私はあの独裁者(どくさいしゃ)によって高等科の時に家ごと没落(ぼつらく)させられる可能性があるからです。私は、お母様の実家で読んでしまったあの少女マンガが忘れられません。私とよく似た名前(&性格)の主人公と私はとても別人とは思えないのです。

ですので、城常院(きじょういん)家が没落しても安定して生活できる職業に就く必要があります。更に、没落して庶民(しょみん)になってしまうと、安定した生活水準の結婚相手が見つからない恐れもあります。できれば、両親も養えるくらいになりたいのです。

しかし、現実には女性が両親を養えるくらい安定した職業に就く事は上流階級であっても困難です。むしろ上流階級では女性がガツガツ働く事が卑しく見られます。恐らく、民間企業だと社内恋愛で、中流階級の男性と結婚して寿退社…という流れが主流です。できれば私は帝鸞学園や他の学園出身の上流階級の男性と結婚して、自分の子供も帝鸞学園(ていらんがくえん)に入れたいのです。


ふと、今の自分の考えを振り返ると、上流階級にしがみついてしまっていました。

しまった!私は既にお母様の「ミニチュア」となってしまっているのですね。


とりあえず、目指す職業はとにかく安定した物です。帝鸞学園の卒業生の就職率が高い「銀行」「保険会社」「証券会社」等に入社できるだけの学力を保つことだと考えました。

高等科で没落するのであれば、せめて国公立大学の学費や、寮や下宿での生活費を貯金しなくてはなりません。名残惜しいですが、没落した場合では帝鸞大学の学費は払えそうもないので、国公立大学に行けるだけの学力を付ける必要に迫られます。


そして、私はお母様にあるお願いをすることにしました。

それは、(じゅく)に行くことです。

その日の夜、

「お母様、お願いがあるのです。私は塾に通いたいのです」と言いました。

するとお母様は、

「女の子に塾なんて必要ないわよ。それに帝鸞学園は大学まで内部進学できるから 学校の授業さえ受けていれば心配しなくてもよいのでは」と言いました。

やはり予想通りの答えが帰ってきたので、今度はだめもとで「姫峰会(きほうかい)のメンバーとして示しがつくように学力は早い段階から上げておきたいのです」と言いました。

するとお母様の耳がピクッと動きました。

神戸出身で帝鸞学園に通えなかったお母様は、帝鸞学園、特に「姫峰会(きほうかい)」の呪文がよく()きます。

するとお母様は、「それなら家庭教師(カヴァネス)を付けましょう」と言いました。

家庭教師(カヴァネス)ではダメなのです。私は塾に通いたいのです。それは、もうひとつの野望を叶えるため…。

そこで私は、

「他校の子の学力も知りたいのです」と言いました。

するとお母様は、

「でも…塾には公立小学校の野蛮な子達が来るから…可愛い妃袈(ひめか)さんが怪我(けが)でもしたら大変ですわ」と言いました。


出ました……「選民意識(せんみんいしき)


でも、私は ある野望 を叶えるために塾に通いたいのです。

そんなとき、後ろから救世主が現れました。

お兄様です。


「別に、僕が通っていた塾なら良いのではないですか? お母様」

「あそこは比較的安全で、私立の子も多いし、帝鸞の子もいるから」


何と、頼もしい味方でしょう。お兄様は、彼が昔通っていた塾の良さを語りました。


その結果、私は9月から塾に通えることになりました。ワーイ\(^o^)/

お兄様、ありがとうございます。


9月からというのは。何かとキリが良いのと、習い事の日程の都合上決まったようです。


その後、私はお兄様にお礼を言いました。

お兄様は、「妃袈(ひめか)は何故塾にこだわるの?」と言いました。

私は、「えっ!…そ…それは…色々な学校の子とも仲良くしたいので」と答えました。


するとお兄様は

「ふぅん。そう。他に理由は無いの?」

私「い…いえ。特には…」

お兄様「そう。それじゃお休み。」


私は、お兄様が私の嘘を見破っていることに気がつきました。お兄様、本当は…… なんて言えません。

私のもうひとつの野望はまだ秘密(ひみつ)なのです…。


今日は、お兄様が天使と悪魔のように見えました。

それではまた、ごきげんよう♪

皆様、お楽しみいただけたでしょうか。

妃袈(ひめか)が塾にこだわる理由は、二つあります。

一つは没落しても安定して生活できるように。

もう一つは、今後の展開をお楽しみ下さい。


それではまた、ごきげんよう♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ