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【幸福な殻の欠片】
【幸福な殻の欠片】
人は、自分の殻に閉じこもれば幸福である。
だって、見たいものを見てよいのだ。
聞きたくない言葉を無視すれば、傷付かないのだ。
しかも、誰も傷つけていない。
これが救いでなくて、何が救いなのか。
しかし、殻を破った者に限ってこういうのだ。
――人は、現実を生きなければならない。
そんな理解不能の言葉を聞いて、
感化された者たちまで無神経に同意を始める様だ。
何たる邪悪。
まさに魔王だ。許しがたい。
この巨悪、間違いなく討たねばならない。
そうして、勇者と名乗った人物が立ち上がった。
たった一人であった勇者は仲間を得て、
弱き者たちの希望を、彼らなりに背負って戦っている。
なにか、見たくないものも照らしながら。
未だに、勝負はついていない。
しかし、これだけは言える。
勇者にも、その仲間たちにも。
殻は無かった。
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この殻を被れば、幸福になれるともいう。
この殻を被れば、人らしさを失うともいう。
しかしこの殻は、常に罅割れている。
まるで、産まれた時に壊れてしまったように。
それでも人は、この殻を被りたくなる。
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