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魔剣蒐集録Ⅱ  作者: 健康な人
5章:当然と構造の寓話
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【完璧を切り裂いた魔剣】

【完璧を切り裂いた魔剣】


 ある時、英雄と呼ばれる男がいた。


 彼は強かった。

 何でもできた。

 足が速く、力が強く、反射神経に優れ。

 知性があって、思いやりがあり、ユーモアもあった。


 そんな英雄に、人は真の英雄を幻視した。

 しかし人は、やがて英雄に注目しなくなった。

 理由は、分からない。

 しかし足元に積み上がったものに、人々は注目を始めていた。


 ――あの怪物が産まれたことには、何か理由があったのでは?

 ――きっとあの悪徳には、理由があったに違いない。

 ――討たれた悪は、本当に悪だったのか?


 まだ、英雄は英雄である。

 まだ、人々は彼を讃えている。

 しかし、讃える声は減ったような気がした。


 そして英雄は、この魔剣によって傷を付けられた。

 どうしてと聞かれた時、英雄はこう答えたそうだ。

 ――実は、私も悩んでいたのだ。


 英雄は、再び英雄と呼ばれるようになった。

 少しだけ、傷を受けただけなのに。


 英雄の完璧は、魔剣によって傷つけられた。

 しかし誰に望まれたのかを知るのは、きっと英雄だけなのだろう。

 なにしろ、彼は完璧である。



 ~~~~~~~~~~~~~~~


 英雄は、完璧である。

 かつて、完璧な英雄はそう言った。

 しかし、英雄はこの魔剣によって傷を負った。

 きっと、英雄は気が付いてしまったのだ。

 完璧ではないことが、完璧なのだと。


 ~~~~~~~~~~~~~~~



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