【愛の器】
【愛の器】
まだ人と神の距離が近かった時代。
一柱の女神と、青い髪の青年が恋に落ちた。
しかし、女神は自らが神である事を隠していた。
彼女は対等な恋がしたかったのだ。
そんな、この時代にはよくある話。
そんな女神は、一人の青年と愛が実った。
青年は、彼女が女神だから愛したのではない。
彼女が彼女だから、愛したのだ。
これは、たったそれだけの話。
その婚姻の話に、神殿は大いに盛り上がった。
――神と人の婚姻などいつ以来だろうか!
――捧げものは何が良いだろう!? 最高を用意しなければ!
はにかむ女神と青年は、皆に祝福されて結婚した。
そして子を成した。
幸せの絶頂だった。
これは、とてもめでたい話であった。
そして女神と青年の成した子は、すくすくと成長した。
青年と女神は喜び可愛がったが、幸せは長く続かない。
女神が、体調を崩す事が多くなったのだ。
やがて二人の娘が女神の若い姿と瓜二つになると、
女神は静かに息を引き取った。
悲嘆にくれる青年を、神殿の人々は不思議そうに首を傾げた。
――女神は一人しかいないのだから、当然なのでは?
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愛を注ぐ事ができる、と伝わる盃。
しかし製作者は、愛を注いではならないとも言ったらしい。
誰が何を一番愛しているのか、
見えてしまうからなのだと言っていたそうだ。
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