【壊れている魔剣】
【壊れている魔剣】
ある時、商人は学者に相談を持ち掛けられた。
学者に相談されるような知恵などないと断ろうとしたのだが、
どうやらとある魔剣の話だという。
いや、これは聖剣なのだ、なんて主張しているが……
商人にとって、そこは重要ではなかった。
大事なのは、目の前の武器が壊れていることだ。
まあ、知らない仲ではないのだ。
面倒だが手伝ってやるかと、商人は魔剣を手に取った。
そして、まずは商人はこう聞いた。
――この魔剣、どんな効果を持ってるんだ?
――分からない。ただ、友情を壊す魔剣だと伝わっている。
次に、商人はこう聞いた。
――つまり、まず使い方が分かってないんだな?
――そうだな。確かに、そうとも言える。
最後に、商人はこう聞いた。
――で、これは魔剣なんだろ? 聖剣じゃなくて。
――まあ…… その通りだ。
最後の問いに、学者は否定しかけてから頷いた。
その様子を見て、商人は壊れている魔剣を笑って返した。
――その魔剣、たぶん壊れているのが正解だ。
その言葉に、学者は言葉を返せず首をひねった。
商人は、仕方ないなと半分ほど答えを言ってしまう。
――使いたい奴に、直し方を聞いてみな。それでうまくいく筈さ。
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友情を壊す魔剣だとも。
あるいは、友情の証に送られた聖剣だとも伝わる――「魔剣」
今更の話だが、魔剣とは便利なものである。
そして友情とは、本来一人では直せない。
これはそういう魔剣である。
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