【透明な法則】
【透明な法則】
ある時、真面目な大臣は気が付いた。
――なんだか最近、皆が寛容である気がするな、と。
実は大臣は、国の財政が苦しいからと、
来月から税制を上げると法を決めて発表していたのだ。
大臣が若いころだと石が投げ込まれたものだが……今は、何も起こらない。
心が豊かになったものだな、と大臣は少しだけ嬉しくなった。
これも、国が大きくなった証である。
そして、来月のある日。
広間の方が、少しだけ騒がしくなっていた。
どうしたのかと思って大臣がそちらに出向くと、何やら民衆が怒っている。
はて、どうしたのかと大臣が彼らの話を聞いてみると、
なんと税制の話を知らなかったと言うではないか。
大臣は困ったな、と頭を悩ませた。
そして、こんな結論を下す。
――なら、次の月からで良い。こちらの落ち度だったのだろう。
そう言って、民衆と大臣は笑顔で分かれた。
そして、この時大臣は気付かなかった。
次の月にも、そのまた次の月にも。
同じような出来事が起こることを。
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優しく賢かった、とある国の大臣を乗っ取ったと伝わる魔剣。
現在はとある書物に封じられているのだが、
この魔剣は触れてはならないらしい。
その理由は嘘か真か、この魔剣が見えないからだと伝わっている。
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