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【姿なき巨人】
【姿なき巨人】
彼は、別に何かをしているつもりはなかった。
ただ毎日を過ごしていただけだった。
しかし、皆が彼に気を遣う。
実際、彼も気付いていたのだ。
昨日までと同じことをしたら、誰かが傷ついたことを。
明日動こうとすると、誰かが怖がったことも。
だからだろうか。
いつの間にか、周りには人が集まっていた。
恐怖を感じて遠ざける者。
仲良くなろうと擦り寄る者。
近くに居ても離れていても、動けばきっと踏んでしまう。
そのぐらいの自覚は、彼にもあった。
だから彼は、何もしないことが安全だと気が付いた。
しかし彼は何もしなくても重たかった。
少なくとも、彼は安全だと思っていて。
その重さは、踏まえている者にしか感じられない。
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この魔剣を持つものは、皆が恐れる姿になるそうだ。
そして、近づくと踏まれたような重さを感じるとも言う。
最近更に大きくなった、なんて噂も聞くのだが……
それでも、姿が見えないのだ。
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