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【自由に見える本棚】
【自由に見える本棚】
その日、司書は本棚を整理していた。
読んではいけないとならないと教わったこの本棚には、
数々の禁書が収められている。
――読んではならないのに、整理する必要があるのか。
本棚を整理する司書は、実は密かにそんな悩みを抱えていた。
すっ、コト。
すっ、コト。
そんな音だけが静寂に響き、司書は溜息を吐きたくなる。
そうしている間に、月一回行う整理が終わった。
今回も、並び順が少し変わっただけだ。
内容は、何も変わらない。
――空いた時間で本を読もう。
少しの疑問は、そんな思いに塗りつぶされていた。
だからだろうか。
司書は今回も、気付くことはなかった。
実はこの本棚も、立派な魔剣であるということを。
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選べることは、自由である。
しかし人は自由を求めながら、「選ばなくていい状態」を好む。
強力な支配とは、本来静かなものなのだ。
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