46.護衛任務
ひろとは、街道を歩いていた。
日が傾きかけてきた頃で、人通りが多い。
学校終わりの子供や仕事終わりの大人たちの喧騒を横目に、通りの中で一際大きな建物、冒険者ギルドの建物にまっすぐ向かっていく。
鼻歌を歌いながら歩いている。
機嫌が良さそうな様子で扉をくぐると、そのまま建物奥のギルドの1階受付に直行した。
「ほい、大ネズミ退治してきました」
ギルドの受付がなにか言葉を発する前に、討伐した証拠である額の角をリュックから取り出しカウンターの上に並べる。
「・・おっと、はい。承りました。ええと22匹討伐ですね。相変わらず多いですねえ」
「そうですか?」
「ええ。普通は初心者は5匹討伐出来れば上出来なのに、毎日この数の討伐。すごいですよ」
40代くらいの男性の受付がにっこりと笑って答える。
「はい、討伐報酬になります。銀貨2枚と銅貨2枚となります」
「ありがとうございます」
1匹銅貨1枚。
現状の一日の生活費が銅貨3枚程度なのでこのくらい稼げると余裕が出てくる。
モンスターの攻撃が股間に集中することを利用して囮にして敵を倒す戦法である「股間釣り戦法」を駆使して大ネズミの駆除依頼で乱獲しているのだ。
現在4日間連続で依頼をこなしており銀貨8枚程度を稼いだ。しばらくお金を稼いで、まとまったお金を稼ごうと思っている。
現状、魔王ゲキオチを倒すのが最終的な目標なのだが、この辺は平和で手下の魔族も現れないらしい。
そのため、路銀がたまったら、ほかの街へ行って情報収集しようと思っている。
「おっ!ヒロトじゃねえか!」
報酬を受け取って、踵を返したところで、突然声をかけられた。
声の方を見ると、髭面の男が笑顔で手を振っている。
「センスィ!護衛任務終わったのか?」
誰かと思ったらセンスィたち3人だった。彼らは、商隊の護衛の依頼でここ数日街を出ていたのだが帰ってきていたようだ。
「おう 、ちょうどいい、今から一杯いこうぜ!」
「おっけー」
「護衛任務は酒飲めないから、飲みたくてしょうがねえぜ」
ヒロトと冒険者3人は、連れ立ってギルト近くの酒場に移動することにした。
ところどころ壁が剥がれかかっているような安普請だが、酒と飯は安くてそこそこ美味しい。ケンスィたちに紹介されてから自分もここに毎日通っている。
ギシギシときしんだ音を立てる、ボロボロの椅子に腰掛けると、店員が酒を運んできた。
「おつかれさんー」
「ああぁうめえ!」
皆で、木のジョッキになみなみと注がれた茶色い液体を一気に喉に注ぎ込んだ。
ビールに近い味の安酒だが、自分の口に合うようで、ここに来てからはこればかり飲んでる。
「どうだ?冒険者稼業は?慣れてきたか?」
「そうやな。なんとかやっていけそうかな」
「そうかそうか。まあお前の実力だったらやっていけるだろ」
「ははは、ちげえねえ」
ツマミの芋と干し肉をかじりながら、たわいもない会話を楽しむ。
「最近は、護衛任務の依頼がかなり多いみたいやな」
「そうだ、ここのところモンスターの出没頻度が増えてるらしい。だからギルドの依頼も護衛任務ばかりだ」
ひろとの問いにローブを着た魔法使いマジーが答えた。
クエストの話になったところで、センスィが、ひろとに向き直り2人に目配せしてから話し始めた。
「ヒロト!もし良かったらだけどよー、明日からまた護衛任務に就くんだけど、お前も来てくれないか?人が足りないらしいんだ」
護衛任務の誘いか・・・
異世界に来てから、右も左も分からない俺に彼らは親切にしてくれた。街やギルドでの常識も教えてくれたり・・ここは、恩を返す時だと思って、快く了承した。
「お前ならそう言ってくれると思ってたぜ!お前がいてくれれば心強いぜ!」
ケンスィが安酒をグイッと一気に流し込みながら、ひろとの背中をバンバンと叩いた。
「そういうことで、よろしく頼むぜ!」
「こちらこそ頼むよ」
「改めてカンパーイ!」
「ガハハハハ」
「ふう・・・」
明日護衛任務に行くことになった俺は、早めに飲みを切り上げて、ギルドに戻って依頼の手続きをして、宿に戻ってきた。
「さてと、明日の準備しなきゃな。と言ってもすることあんま無いんだけどな。荷物はリュックに入ってるので全部だし」
「・・あっ、そうだ!すっかり忘れてた!」
ひろとは、あることをすっかり忘れていたことに気付き、慌ててあの呪文を唱えた。
「ステータスオープン!」
ひろとはこの世界に来て、まだステータスを確認していないことを今更ながらに思い出し、早速ステータスを確認することにした。
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登戸博人 30歳 レベル17
体力 250
魔力 100
攻撃力 110
防御力 140
すばやさ 35
剣技レベル 2
女神の加護(股間)レベル3
空飛ぶ粗珍フライングサーティーンレベル1
小便もらし レベル2
スク水剣士レベル2
スク水ガードレベル1
跳躍力アップ
聴力アップ
防御力アップ
ドM レベル1+1
ひろとスーパーエクスタシーアタック レベル1
美人女神からのプレゼント!
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「なるほどぉ、最後の試練の時にレベル16まで上げたからあの車輪のボスを倒したことで、17に上がったんだな・・・って最後のはなんだ?」
ステータスの最後にある『美人女神からのプレゼント!』という一文が追加されていることに気付き、首をかしげた。
「女神ってとば神だよなぁ、まあ確かに美人だったけど、そういえば最後になにか新たなスキルを授けるとかなんとか言ってたような・・・」
「どちらにしろ、プレゼントって不穏な感じしかしねえよ・・」
ひろとは、とば神のことを思い浮かべ、愚痴りながら『プレゼント』の部分をぽちっと押してみた。
びょーんっという効果音とともに、新たなウィンドウが立ち上がる。
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アテクシ特製の特別なスキルだよ!どっちか選んでね!ウシシ♡
→ツインハンマー
→イレモノ
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「・・・かっるいなあ、口調が・・・、怪しすぎるわ・・・」
ひろとは、とば神の適当なしゃべりを思い出しながら、訝しげにつぶやいた。
「うーん、せっかくだからスキルを取っておくかぁ・・・、イレモノってよくわかんないな・・、ツインハンマーが強そうだからこれにしとくか」
どうせろくでもないことになるだろうと、嫌でも予想できるため、投げやりな気分で適当にスキルを選んだ。
「明日以降時間があったらスキルを試してみるか・・・、はあ・・もう寝よ、おやすみ」
ひろとは、マントを脱ぎ、硬い安物のベッドに横たわり、眠りについたのだった。




