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第20話 僕は王様だけれど畑仕事をすることもある (5)

「──おっ! 男王! またイボイノシシからお逃げか?」

「良い猪じゃないか?」

「あれならば、結構な人数の者達が肉にありつけるな?」

「ああ、確かに?」

「あれならば、かなりの人数の空腹の足しにはなるな?」

「う~ん、それにしても家の集落の男王を餌にすると本当に良い型の猛獣共が食いついてくれるよな?」

「確かに?」

「あっ、はははははは」

「わっ、はははははは」

「本当に可笑しいや男王は~」


 僕が集落内を通る小さな道伝いに超大きな猪から、食われてしまうから、泣きながら逃げていると。いつも道の端で油を売っている怠け者……。オークの漢戦士達がチビで鈍間な亀である僕のことを侮り、嘲笑う。


 だから僕は本当に悔しい……。悔しくて仕方がないけれど。


 僕は武に適した種族であるオーク種族ではなく、只の人種だから仕方がないことだから。


 お前等~! 僕のことを馬鹿にするなよ~!


 僕はこう見えても、この領地! 集落の男王であり、酋長をしているアイカさんの夫なのだから、お前等~! 余り調子の良いことを言っていると、マジでぶん殴るぞ~! と。


 僕は彼等が怖くて言えられないけれど。


 僕はこの言葉ならば、怠け者の彼等へと告げることができるから。


 クソ生意気な彼等へと。


「うわぁ~、ん! うわぁ~、ん! 誰か~! 誰でもいいから~、僕を~! この僕を誰か助けてください~、おねがいします~! おねがいします~!」


 僕は今日も懲りもしないで、自分のことを侮り、蔑み、嘲笑う輩達へと命乞いをするのだ。


「……あれ、今日は? お強い奥さま達が助けてくれないのか? 男王?」

「あれ、男王? もしかして奥さま達に見捨てられて?」

「えっ! そうなの、男王?」

「あらあら、お可哀そうに……」

「そりゃ、さえんな、男王……」

「……じゃ、男王……。お妃さま達が助けてくれないのならば、死を選ぶしかないかな、男王……」


 しかし、この通りで、オークの漢戦士達は怠け者の分際で働き者の僕のことを揶揄して面白がる行為をまだ続け。


「「「「「あっ、はははははは」」」」」


「「「「「わっ、はははははは」」」」」


 各自各々が、自分のお腹を抱え笑い続けるものだから。


 本当にこいつら今に見ていろよ~! いつか必ず復讐をしてやるからな思いながら。


 それでも非力な僕は、


「誰か~! 誰か~! 助けて~~~! 助けて~~~! おねがいだあぁ、ああああああっ!」


 と叫びながら命乞いをしながら集落内を走り回っていれば。



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