第18話 大変だ!(1)
「大変だ!」
「大変だ!」
「急がなくちゃ!」
「急がなくちゃ!」と。
我が家の姫さま二人は仲良く声を揃え叫びながら、先ほどこの部屋から飛び出していった。
その姿はとも可愛らしい着物姿で……。
亜熱帯の強い日差しの下、ジャングルの中でそんな恰好をして暑くないのかと、父親の僕は思わず聞きたくなる。
そう、和服の小さなダークエルフの姫──江乃は部屋を飛び出すと直ぐに美麗と別れ、江乃は神殿の外へと出て、何処かに向けて走り去っていく。
そして美麗の方は夜伽で疲れ切って眠っているアイカの居る部屋へ向かう。
「お母さま! お母さま!」
「大変です! 大変です!」
「起きて! 起きて! 起きてください!」
美麗は必死に寝ているアイカの背を揺すって起こそうするが。
藍華姉ちゃんは昔から一度眠ると中々起きない性質で、美麗に背中を揺すられても、「うぅ~ん」と呻り。
「スゥ、スゥ」と気持ちよさそうな寝息を立てる。
「健太……。わらわは、もう無理、堪忍じゃ……」などと。
まあ、幼い美麗が聞いても首を傾げるような寝言まで漏らす始末……。
美麗はそんなアイカの背を見つめら腕を組み。
う~ん、困ったなぁ~と考え込んでその場に立ち尽くす。
一方江乃の方はというと?
「困った! 困った! 大変だ!」と。
家のダークエルフの姫さまは、ひとりごとを繰り返しながら町中を騒がしく駆け抜けていく。
その姿にすれ違う人々は思わず目を向けるのだった。
(お願い)
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