第7話 攻撃手段、無し!?
攻撃系の能力への適正が…ない?
つまり、攻撃手段が…ない?
この世界で?
せっかく異世界に来たのに?
計測ミスじゃ…ないよな。そんなことあるわけないし。
カリナ「能力。普通は2つなんですよ。最低で。攻撃系の攻撃能力と補助系の補助能力。例えば…有名な近衛騎士さんだと、剣の攻撃能力『剣豪』と脚の補助能力『瞬足』。この2つでセットなんですよ」
カリナ「ですがあなたは、補助系の能力しかない…」
は?
カリナ「一歩外に出れば魔族、魔獣…危険な世の中です。そうそう生き残ることは難しいかもしれません…むしろ、異国から旅をしてきてよくここまで来れましたね」
なんか呆れられてる?まあテキトーに誤魔化そう。
「あ、あはは…ずっと逃げ生活ですよ」
カリナ「一応…『受領』はカウンター能力として使われることが多い。だから、攻撃手段自体は存在する─そう聞いたことがあります」
いや、攻撃手段あるんかい!
來瑠「そだよ。ケンヤ。適正能力の性質で病んだらダメ。人間は、努力次第で能力を増やすことができるんだ。私も元々の能力は2つだったよ。でも今は新たに3つ目を獲得したんだ!つまり、ケンヤも頑張れば攻撃手段がカウンターだけじゃなくなるよ!」
カリナ「クルさんの言う通りです。ただ、この組み合わせは今まで見たことがないって言うか…。近年では前例が存在しないみたいです。もしかすると…努力次第で変えられるようなものじゃない可能性も…ゼロじゃない」
カリナ「能力の可能性は無限大。その可能性をうまい方向に持っていけるかは結局、あなたにしかわかりません」
カリナ「私はただの受付嬢。あなただけにサポートをすることはできません」
サポートはできない。自己責任。俺次第。
せっかく異世界にきて、チートな力手に入れて、色々できる…そう思ったのにな。
今のままでは…。
自分は何もできない。
こっちで、誰か大切な人ができても…
守れない。
─ただの足でまとい。
ふざけるな…。ふざけるなッ…。
なんで、俺だけ…。
(落ち着け、俺)
…そう思いつつも…なぜかそれとは真逆の、好奇心。
前例がない。前代未聞。
─勉強して、友達と過ごして、他愛のない、刺激のない、毎日を過ごすより、刺激が多い異世界を楽しむ方がよっぽどいい。
そう思うことにしよう。
うん、ポジティブ精神は大事だ、俺の十八番じゃないか。(そうだっけ)
でも…でも…。
「めっちゃくちゃ悔しぃぃーーーーーー!!!!!!!」
來瑠&カリナ「「うぉう!?」」
ギルド内の客「「「うぉう!?!?」」」
やべっ!?思わず声が…
一旦落ち着け、俺。ままま、まずは平静を装って俺の能力について聞かなきゃ!?(動揺)
「…あ、すみません。ちょっと叫んでしまいました」
來瑠「いや!落差、落差!ほら見て!カリナさんも、みんなも、ケンヤが急に叫ぶからびっくりしてるじゃん!ばかなの?!」
ゴスッ!
イテッ。殴られた。今殴る?!フツー!
「…う。ご、ごめんなさい。皆さん…。カリナさんも…。來瑠も…ごめん」
ゴホン!!
咳払い。カリナさんだ。
カリナ「…と、とにかく。まあそう言うことなんです。一応冒険者として活動されるなら、注意点。説明しましょう」
カリナさんいわくこうだ。
─ひとつ、冒険者は万全の体制を取り、油断、無理をしないこと。
見た目は弱そうでも、実際はめちゃくちゃ強いやつがいるってさ。
─ふたつ、冒険者同士で争わないこと。
何事も助け合いの精神、と。
─みっちゅ、国を移動する時は報告すること。
噛むな。笑ったじゃないか。パスポート申請みたいな?…って、申請しなかったら最悪拘束される!?気をつけよ。
─よっつ、虚偽報告やギルドの受付に迷惑をかけることをしないこと。
これは…私情…ではないな。世界のギルドすべてだもんな。
─いつつ、魔石に素手(手袋含む)で触らないこと。触ったら自己責任である。
カリナ「濃縮された魔力を大量に含む魔石は、私たち人間にとって非常に有害です。気をつけてください」
─むっつ、上記を破ったら罰則4万セリングを支払うこと。
「…クル。これってジパンク(日本)だといくらだ?」(小声)
來瑠「確か2万円くらいだったよ。ここだとパンが100個買えるよ」(小声)
法外な罰金じゃないけど、普通に2万円分はめんどくさいな。
カリナ「あと、ここにないこととして、魔族を見たらすぐに、気づかれないように逃げること。最近は─魔王の動きが活発化してきています」
え、この世界フツーに魔王いるん?
流石は異世界。
カリナ「もし、魔族の近くで…白い服を着た幼い子供を見かけても…」
カリナ「─助けようとしてはいけません。絶対に」
「え?どうしてですか?ちっちゃい子供は…きけn…」
カリナ「それが魔王なんです。魔族と魔獣すべてを指揮し、人間を襲う…魔王・アルガシオン=ゾマール。幼い子供の見た目をしていても、2000年生きているとされるおぞましい魔王です。目があったら、…終わり」
ゾクッ……!!!
寒い。
一気に周りが冷えた。
來瑠「どうしたの…ケンヤ?」
「クルは…寒くないのか」
來瑠「なんで…?魔王の話を聞いたから?」
「…そりゃそうだろ。聞いたか?目あったら死ぬんだぞ?」
來瑠「…大丈夫だから。私、すぐ逃げるし」
目がうるってんぞ。
怖いなら俺もだからそう言え。
強がってないか?
「…わかったよ」
カリナ「説明はこのくらいにしておきましょう。能力の魔導書はここをまっすぐ行ったタンタ市場の魔導具店で売っています。ドワーフの店主さんがいる店です。私は能力に詳しくないですが、その人なら、たくさんのことを知っているので。クルさん、案内してあげてください」
來瑠「分かりました。ケンヤ、行くよ」
いよいよ、俺も能力が使えるようになる!!
魔王とかいろいろ物騒だけど、モンスター狩りに行ってみたい!
もし魔王に出会ったら…死ぬかもだけど…。




