第6話 冒険者ギルド
─クルのお屋敷から徒歩20分。
ここは、世界中から冒険者が集う商業施設・ギルド。
わいわい…ガヤガヤ…
どうやら酒場と併設らしい。
近くのテーブルには、赤ら顔でビールやワインを飲んでるおっさんやお姉さんが座ってる。
さて…と。冒険者のギルド登録ができるのはどこだ?
來瑠「…ケンヤ。あそこのカウンターだよ」
クルが指差したのは、店のいちばん奥。
あそこか。
行こうとした、その時…。
???「よう、そこのべっぴんさんを連れたニイちゃん。見ねぇ顔だな。…新入りか?」
野太い声。デカい体。赤い髪。背中にはこれまたデッカい剣。
おっと…。早速チンピラみたいなおっさんに絡まれてしまった。
これぞ、テンプレか?
「あ、ああ…そうです。俺は鳳梨謙也。昨日、この街に来たばっかりなんです」
ここは無難に自己紹介をしといた方がいいかな。
おっさん「ふん。ホーリ?というのが名前なのか?」
あ、逆に言った方が良かったか。
「いえ、ホーリは姓で、ケンヤが名です」
おっさん「ほう…ケンヤか。…いい名前だな。ちなみに俺の名前はハンス。ハンス=ノサイだ。この国の王様と同じ、ありがたい名前だ。よろしくな」
うん。この人見ただけだとキツいけど、話せば気さくないい人っぽい。
ハンス「…だが、姓名が逆なんて珍しい言い方をするなぁ。一体、ケンヤはどこの国から来たんだ…?」
そうだよね。気になるよね。
仕方ない…説明するk
來瑠「この人はにほ…いや、はるか東にある小さな島国・ジパンク王国からの冒険者さんですよ。ハンスさん」
いや、説明雑ぅ!
それになんかところどころウソ混ざってないか?
あと会話を奪うの上手いな。流石は貴族(褒めてない)。
ハンス「ああ…クルさんか。…なるほどな。まあいい。新入りは大歓迎だ!今日は酒でも奢ってやろう!」
「…は、はい。ありがとう…ございます」
ハンス「…あ、もしかして酒飲めないか?」
俺は転生者じゃない。転移者。だから国は違っても未成年飲酒!ダメ!
「あ、あはは…俺、酒飲めない体なんですよ…」
ハンス「…それは残念だ。だが、これも新しい仲間のことを知るいいきっかけになった。ではまた会おう、ケンヤ。…待っているぞ」
ハンスさんは酒場を出て行った。
─そしてカウンター。
お姉さん「こんにちは、クルさん。…と冒険者登録をしたい人ですかね?私はここ、冒険者ギルドの受付嬢をしているカリナと言います!よろしくです!」
この人が受付してくれんのね。
來瑠「こんにちは、カリナさん。そうなんです〜。この人は私の異国の友人で、今まで冒険者登録なかったから…この街に定住するって言うのでせっかくならギルドで登録しては?って誘ったんです〜」
カリナ「そうなんですね!それではお名前と出身地をここに記入してください!」
まずい。俺はこの世界の文字なんも知らんぞ。
言葉はなぜか通じるから良かったけど…文字は、書けない。
「…クル」
來瑠「ひゃうっ?!ちょ、耳にふーってしないでよ!で、何!?」
しとらんわ!耳打ちしただけだ!
「…この国の文字、俺、知らない」
と言うと、クルはあちゃーって顔に。
來瑠「そうだった…そうだよね…。もう…仕方ないから、私が書くよ。この街に住むんだったら、ちゃんと覚えてよ?ケンヤ。いい?」
「ああ、頼んだ」
これはごめんなさいだな。
來瑠「すみません、カリナさん。この人、この国の文字が…書けなくて…。私が代筆します」
カリナ「…ああ、そうなんですね。構いませんよ。情報が分かればいいので」
カリカリカリ…。
慣れた手つきで、紙の上で羽根ペンを踊らせるクル。
書けて当然か。こっちの人間だし。
カリナ「はい、ありがとうございます!ええと…ケンヤさん、ケンヤ=ホーリさんですね。出身地は…ええと、ジパンク王国…?と。初めて聞く国名ですね?」
ここは誤魔化しとこう。
「ま、まぁ遠く離れた東の辺境、小さな島国ですから」
カリナ「そうなんですね。覚えておきますね」
信じてもらえたみたいだ。よかった。ありがとう奥州藤原氏。
カリナ「それでは、こちらの魔導具『魔導値観測機』の前に立って下さい。あなたの持つ魔力量と、適正能力を測り、冒険者としての力を理解できるものです」
なるほどね。これが魔導具と。
カリナ「それでは、計測します!」
ガタッ…!ゴウンゴウン…!
なんだろう。不思議だ。体の中を見透かされているような感覚。
日本では絶対味わえない感覚だろうなぁ。
カリナ「こちらが、ケンヤさんの結果です。身体の魔力量は今、冒険者の平均的な量1000Ep。適正能力は…『観察』『受領』の2つ…。初めてですね。このタイプは」
カリナさんの顔が曇った。
「どうしたんですか?カリナさん」
カリナ「いや、それが…ケンヤさん。魔力量は適切だったんですけど…あなたに合う能力がですね…」
ゴクリ…。
カリナ「本来なら共存しないはずの、補助能力同士の組み合わせなんです。あなたは、なんと主戦力となる攻撃系の能力への適正がありません!」
カリナ「無能力というか…バグというか…これは、前代未聞です!」
「え?は?どゆこと?」
この世界で攻撃手段ないって…。
俺…詰んでない?




