第10話 訓練は、一筋縄ではいきません!
「お、おおおおお…!」
階段を下って、たどり着いたのは、まるで外のように明るい闘技場。
キン…!キン…!ビュンビュン!
ドガッ…!
バコォォォン…!
剣のぶつかる音や空気を切る音、殴る音、魔法が飛んでいく音。
『戦いの音』。その全てが聞こえる気がするな。
來瑠「ここは『訓練闘技場』。この街の冒険者や兵士みんなが自分を鍛える特別な場所なんだ」
「つまり、向こうで言うジムか?」
來瑠「そうだね。あれと違って会員証とかはいらないけど。私も結構使うんだ」
そう言いながら、クルも剣をシャラッ!と抜き身にしていた。
「あ、今日も訓練すんのね」
來瑠「当たり前でしょ?能力とかはタージモさんに見てもらうと思うけど…」
タージモ「そうだな、俺が見てやろう」
來瑠「ケンヤ、今日から私が訓練に付き合ってあげる。実戦担当ね」
「いいのか?わざわざ俺に」
クルの時間を使ってまで、俺に付き合ってもらっていいのか…?
すると、クルはふふんと笑って
來瑠「ふふん、当たり前でしょ?私はケンヤの《《友達》》なんだから。私は一応、君を信じてるんだよ」
「そっか。ありがとう、クル」
クルの笑った顔は、眩しくて。
……いや、剣の反射で普通に見えなかっただけなんだけど。(失礼)
タージモ「おーい、あんたら、早く始めるぞー。イチャイチャするなー」
俺&來瑠「「はい、すみませんっ」」
〜〜〜〜〜〜〜
タージモ「まずは『観察』能力からだ。今からクルが剣を構える。あの子が全身の魔力を集中させるからな、」
俺の数メートル先には剣を持ったクル。
タージモ「ケンヤ、あんたはキッと睨むような感じで目に意識を集中だ」
ぽん、と俺の肩に手を置いたタージモさん。
タージモ「しっかりと目に全神経を集める感じだぞ」
タージモ「そうすれば…あの子の魔力の動きが、視覚的に見えるはずだ」
目に意識を集中、目に全神経を集中、目に意識を集中…。
そして、クルを見る。
見えない。
音が遠くなった。
目に力を入れすぎて、頭がおかしくなりそう。
もう…限界…か…。
いや、諦めんな、俺!
すると…。
「お…お?…なんか、紫色の線みたいな…流れ?」
何かが、見えた。
クルの体を中心に、クルの周りを紫色の何かが常にユラユラと動き回っている。
もっとよく見よう、そう思った瞬間、流れがフッ…と消えた。
目が痛いなこれ。
タージモ「お…?見えたか?見えたのか?…それが魔力だ。残念ながら俺は見えないが…」
タージモ「同じ能力を持つ俺のダチがいてな」
タージモ「紫色の何かって言ってた」
「あれが…魔力…」
目が痛いけどなるほどね。
タージモ「あと一回、『観察』を試してくれないか?こいつは『魔導値観測機』と同様に、観察相手の魔力量も測れるのさ」
あのデカい機械がまるまる俺の目に納まってる認識でいいのか?
タージモ「鍛えて精度を上げれば、相手が魔力量を隠しててもな、見破れるようになるんだよ。すごいだろ?」
「それはいい…便利ですね」
タージモ「早速、試してみてくれ。…魔力が湧き出る源は…生物の核、つまり俺たちで言う心臓だ。相手の心臓の位置に意識をしてみてくれ」
來瑠「…ふえっ?!」
…あ。
気まず。
それもそのはずだ。
俺は今から、(訓練のためだけに)クラスメイトの女子の…その…決して小さくない…はっきり言ってその、立派な、お胸をガン見しなければいけないのだ。何というハレンチなんだろうか…。
「…ごめん、これは訓練のためだ…許してくれないか?」
ごめんなさい。魔力量を測る訓練するために仕方のないことなんです。
ドワーフのおっさんはちょっとこーいうところがズレているのかい?
來瑠「…ふん、別に恥ずかしいなんて思ってないし。仕方ないんでしょ?」
良かった…なら安心だn…
來瑠「でもなんかやだから一瞬だけ!一瞬!」
結局恥ずかしいんじゃないか!
まあ、一瞬だけ!そう、一瞬だけだ。
問題ない。(大アリ)
タージモ「準備はいいか?意識を集中しろ。すぐにわかる」
「…ッ!」
クルの胸元に集中する。
魔力が見えると同時に、数が可視化された。
なるほど、そうやってわかるのか…。
って…。
「さ、さ、さ、3300Ep?!平均的な冒険者の…3倍以上…!?」
つまり俺の3倍以上の魔力量。
「ま、まいりました…クル様」
來瑠「同い年に忠誠誓われるとか、恥ずかしいから、やめて!?」
どうやら、俺はとんでもない人と友達になってしまったらしい。




