第11話 受領能力、習得なるか!?
タージモ「仕方のないことだ。あの子は…強い。だってあの子は…」
「…なんなんですか、クルは…?」
ゴクリ…。
3300Epもの魔力量を持つクル。
その理由は、是非とも知りたい!
タージモ「見習…」
???「おう、クルさん、ケンヤ。また会ったな」
あ、この声は…。
タージモ「…おい」
「あ、ハンスさん!さっきぶりですね!」
ハンス「ああ、ケンヤも、ここにきていたんだな。そこのチビのおっさんと一緒にか?よぉ、タージモ」
どうやら、ハンスさんとタージモさんは顔見知りっぽい。
だけど…。
タージモ「今更デカブツがなんの用だ。俺は今、この子に能力を教えてるんで忙しいんだよ。…とっととどっか行け。俺はお前の鎧も剣も作ってやっただろ。俺に、構うな」
…仲は一方通行らしい。
ハンス「相変わらず硬い野郎だぜ、タージモさんよ。だが、アンタには義理ってもんがある。それを果たすまで、俺は諦めねぇからな、ハハッ」
なるほど、2人は過去にいろいろあったんだろう。
チラッ…。
ハンスさんはクルを一瞥、俺をガン見して、首を傾げながら口を割った。
ハンス「…で、なんでタージモはケンヤにわざわざ手取り足取り教えてやってんだ?…俺の時は、剣やら盾やら鎧やら上等なモンよこして、『あとはあんた1人でやれる、俺の助けはいらない』でポイだったのによ。そのギャップに、俺はびっくりだぜ」
タージモ「うるさい。…ただ、可哀想だなって思っただけだ。ケンヤは別に気にしてないらしいが、ちょっとな…」
俺はもう、割り切ってるよ?
ハンス「…ケンヤが、気にしてないんだろ?じゃ、いいじゃないか。それで?クルさんと一緒に訓練でもしていたのか?」
タージモ「そうだ。クルには練習台になってもらって、能力『観察』の使い方を教えてた。で、魔力量を測ったら3300Epと出たモンだからケンヤがたまげてしまってな」
ハンス「なるほどな、それはそうだ。おそらく、ケンヤはクルさんのほんとの立場を知らないんだろう」
いや、わかってますよ?貴族だ、って。
…ん…?あれ、じゃクル、貴族って正体バレてね?
ハンス「…ケンヤ。クルさんはな…」
もしそれなら…まずいのでは?
ゴクリ。
ハンス「…『近衛騎士見習い』なんだ。それも、歴代最年少で選出された逸材だぞ?まだ16なのになぁ」
「え」
そっち?
「……すご」
予想と違ったが、普通にすごくね?
タージモ「俺も言おうと思ったんだが、ハンスがジャマしたからな、言えなかった」
ハンス「それは…すまんかった」
申し訳なさそうにするハンスさn…
クル「…あの〜いつまでぺちゃくちゃ喋ってるんですかねぇ〜?訓練するんじゃなかったんですか〜?」(イライラ)
おっとマズい。お貴族様で近衛騎士見習い様がご立腹なさっておられる。
タージモ「つ、つ、次はな、『受領』。もう一度言うが、こいつは魔法攻撃や魔剣、魔斧を用いた攻撃など、魔力を使った物理攻撃全てを吸収、自分の魔力にできる。しかも受けた瞬間自分の魔法攻撃を使ってカウンターも可能という能力だ」
タージモ「…でもあんたの段階じゃなぁ、たくさん吸収はできんし、カウンターもなかなかタイミングがシビアでな。それに、あんたは主力となる攻撃能力を持ってないだろう。カウンターが使えない可能性がある」
「攻撃能力を持ってない場合、カウンターはどうなるんですか?」
タージモ「カウンターが発動する時には視界がゆっくりになるみたいだが、わからん。前例がないからな」
前例が、ない。
それはさっきカリナさんも言ってた言葉だ。
それなら…試してみるまでじゃないか?
「タージモさん」
タージモ「ん?どうしたケンヤ?」
「…俺が、カウンターを発動して…みせます。魔法が使えないなら、どうなるか。それをこの身で、試してみたいんです。クル、いいか?」
來瑠「別に大丈夫だけど…そっちは、大丈夫なの?」
たぶん最初はボコられるんだろうなぁ…。
正直、怖い。
いくら手加減してても、最初は止められそうにない。
フツーに一発入れられて気絶しそう。
でも…。
やっぱ好奇心って大事だよな。
「…大丈夫だ。たぶん」
ハンス「安心しろ。こんなこともあろうかと、回復薬を持ってきてある」
チャプッ…そう揺らしたのは、赤い液体が入った小瓶。
ハンス「安心して、クルさんに、ボコられろ。俺が治してやる」
おおお…準備万端…
…じゃなくて!!
「俺…ボコられる前提なんですね?」
ハンス「当たり前だろ。クルさんなんだぞ?」
まあそうだよね。
タージモ「クル、せめて真剣でやるのはやめてくれ。下手したらケンヤが…冗談抜きで、一瞬で死ぬ。せめて…木剣にしてやって欲しい。魔力をこめてもらうのは問題ないが…絶対に、絶対に切れ味あげる能力使うなよ!?」
來瑠「やだなぁ…わかってますよそのくら〜い」
ビシビシ…!
クルがタージモさんの肩を叩く。
照れ隠しのつもりっぽいけど普通に痛そう。
タージモ「…いてて…。それじゃ、始めるぞ…。ケンヤ、一応あんたも木剣を持ってくれ。まずは、普通に受け止めても大丈夫だ」
「分かりました。…クル、お手柔らかに頼むぞマジで」
來瑠「わかったよ。…でも容赦はしないからね?」
おい、ニヤニヤすんなー。
ハンス「それでは…実戦………
開始ッ!!」
來瑠「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
最初の距離は数メートル。
なのに気づいたらもう懐に入られていて。
「まz…!」
バコォ!!!
一瞬だった。
「グフッ…!!がハッ!?」
魔力を乗せたクルの木剣が、俺のお腹を直撃!!
俺は吹っ飛んだ。
一瞬、息が、死んだ。
全く、ゆっくりに見えなかった。
つまり…
─失敗。
…だが。
「…ふーッ、ふーッ…ふーッ…」
まだ…立てる…。
來瑠「……大丈夫?ケンヤ、休む?」
「…いや、まだまだ…!!……まだだァッ!!!」
まだだ!カウンターをできるのはたぶん、数十センチ!
そこを…見極めろ!
俺がカウンターを成功させるまで、絶対終わって………
……たまるかッてんだよォォォ!!




