↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/48

地下に響く鼓動


夜の街を駆ける。


灯りが揺れ、人々がザッと道を開ける。


不安と祈りの視線が背中に刺さる。


やがて、町の中心部の石造りの祠が見えてきた。


その地下へ続く階段の前には、すでに数人の神官が集まっていた。


そこだけ空気が違う。


重く、湿り、冷たい。


まるで生き物の呼吸のような気配が、地面の奥から漏れている。


レオンが歯を食いしばる。


「そんな……」


ルカが周囲を見渡す。


「侵食が加速している」


セリスの手がわずかに震える。


ヴァルがそれに気づくが、何も言わない。


ただ一歩、彼女の前に出た。


「行くぞ」


短い言葉だが

それだけで、全員の覚悟が固まる。


⸻


地下。


石の通路。


壁には古い精霊の紋様。


その一部が黒く侵されていた。


まるで墨が滲むように。


ミレイが息を呑み、わずかに震える。


「……精霊が、拒絶してる」


セリスが近づき、慎重に観察する。


「魔力の位相が反転しています」


レオンが振り向く。


「分かるのか?」


「完全ではありませんが……」


セリスは紋様に触れそうになり、手を止めた。


「このままでは封印が内側から崩壊します」


沈黙。


その時、低い振動が再び走った。


ゴォン……。


床が揺れる。


レオが声を上げる。


「やばいって!」


ビキビキビキッ!


黒い亀裂が徐々に速度を上げて紋様の間を走る。


リュシアンが剣を抜く。


「来るぞ」


影が、壁から滲み出た。


人の形をしているが、顔がない。


響く呻き声。


空気が一気に冷える。


戦闘は短かったが、激しかった。


リュシアンとレオンが前線を押さえ、


ヴァルとシアが影を切り裂き、


ルカ、レオとガルドが機動で攪乱する。


そして。


ミレイとセリス。


互いに距離を取ったまま、別々に支援していた。


だが——


一体の影が、横からセリスへ迫る。


彼女はギリギリまで気付けず、反応が遅れる。


攻撃を受けてしまうと思った瞬間。


「下がって!」


光が弾けた。


影が弾き飛ばされる。


ミレイの結界だ。


セリスは目を見開く。


「……ありがとう、ございます」


ミレイは視線を逸らしたまま言う。


「勘違いしないでください」


冷たい声の奥に、どこか柔らかさを感じる。


「今は協力しているだけです」


少し間を空けてから、続ける。


「……あなたが倒れたら、困るので」


セリスはわずかに息を呑んだ。


その言葉に、別の意味を感じたからだ。


戦闘が終わると

影は消え、地下に静けさが戻る。


しかし床の奥から、まだ鼓動のような振動が続いていた。


ルカが低く言う。


「根本を止めない限り、終わらないな」


リュシアンも頷く。


「敵は、かなり近い」


レオンがセリスを見る。


「……さっきの分析。もっと詳しく教えてくれ」


セリスは頷いた。


「はい」


その様子を、ミレイが横目で見る。


わずかに。


ほんのわずかに。


警戒の色が薄れていた。


読んでいただきありがとうございます。


次回はお盆期間ということで

8/13(木)21時頃に投稿いたします。

よろしければ、覗いていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。