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信頼の距離


夜。


花うさぎ亭の廊下は静かだった。

ランプの灯りだけが揺れている。


ヴァルは食堂に水を取りに向かっていた。


だが、足を止める。


部屋の扉の向こうから、声が聞こえた。


「……本当に、申し訳ありませんでした」


セリスの声。


「私の判断が未熟でした。

結果的にあなたを危険に晒しました」


少しの沈黙。


リュシアンの穏やかな声が返る。


「いや。セリスは正しかった」


「ですが――」


「今日俺が君に背を預けたのも…セリス、君を信頼しているからだ」


ヴァルの呼吸が止まる。


「……」


「今回も、君は仲間を守ろうとした。

それだけのことだ」


セリスの声が少し震える。


「……それでも、私は」


「気に病む必要はない」



その言葉は、優しかった。


ヴァルの胸の奥が、ざわつく。


信頼。


その言葉が刺さる。


自分には、まだ言えない言葉だ。


自分は――

あんな風に背中を預けられたことがあるだろうか。


喉の奥が、少しだけ熱くなる。


気づけば、拳を握っていた。


ヴァルは視線を落としたまま、

静かに踵を返した。


その背中を、

ルカが壁にもたれて見ていた。


「……聞くつもりなかったんだろ」


ヴァルは何も言わない。


ルカは少しだけ笑う。


「いつでも話聞くぜ」


「うるさい」


その一言だけ返して、

ヴァルは去った。




しばらくして。


花うさぎ亭の裏口。


レオが小声でルカに話す。


「最近、ヴァルとセリスの連携、少し固くないか?」


ルカは肩をすくめる。


「そうか?」


「戦闘に支障が出るほどじゃないけど……」


「心配性だな、お前」


「心配もするだろ。命がかかってる」


少し沈黙。


ルカが小さく笑う。


「まぁ、大丈夫だ。

あいつらは、ちゃんと仲間だからな」


レオは納得していない顔。


「……そういう問題じゃない気がするんだけど」



読んでいただきありがとうございました。評価いただけると励みになります。

毎週金曜日21時頃更新予定です。

よろしくお願いいたします。

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