7 定め
「デオラデ!?」
上手く立っていることができなくて、思わず下にしゃがみこんだ。
心配そうな顔で僕の顔を覗き込んでくれるハレベルさん。
「大丈夫…ごめん。大丈夫…。」
顔を手で覆いながら、何度も「大丈夫」とつぶやいた。
「かっ、顔が真っ青だぞ…?」
ハレベルさんは僕の顔を見てそう言った。
全身から血の気が引くような感じがしたので、きっといま顔色が悪いんだろうなとは感じた。
「大丈夫…ごめん、びっくりしただけ…。」
「…びっくりって…。知り合いの顔でもあったのか…?」
そう言ってハレベルさんは、もう一度この看板を見た。
「…いや…気にしないで…。ほんとうに大丈夫…。」
僕はそう言ってすっと立ち上がった。
一瞬、フラッときたけど、意外にも全然大丈夫だと感じた。
まだ立っていられる____
「ハレベルさん…僕の…僕の一族は…、僕の魔法は…」
なぜだろう。
なぜか、ハレベルさんに少しだけ聞いてほしくて話しかけた。
だが、その時だった_____
「…xっつっ!!!」
は…はなせない…っっ
う、口が…うごかない…
ハレベルさんに話したくても、口が動かなかった。
声が…
《はははっ、こんなとこにまで呪印の効力が効いているんだな。くくくっ。
お前の一族は本当にお前をいなかったことにしたいようだ。くくくっ。》
「…っっ!!!」
突然、またあいつの声が心の中で聞こえた。
「…僕は…そんな…。」
お父様…なんで、なんでそこまで…。
そこまで僕を…
「…?デオラデ、大丈夫か?様子がおかしい。
また少し休憩するか…?」
ハレベルさんは変わらず心配そうな顔で僕を気遣ってくれた。
《この女に全てを話したくなったとしても、お前の口から話せることはないんだなっ。
はははっ、可哀想なやつだ。はやく…はやく呪印を解くんだデオラデ。
俺のためにもな…はははっ。》
あいつの声は頭に嫌と言うほど響いた。
なんでだろう、なんで最近こいつは頻繁に…
僕はくっと奥歯を噛み締めた。
「ごめん…ハレベルさん…大丈夫、だよ。
あの場所に…。」
「あぁ、歩いていこうかと思ったが…私の魔法でトランスポートしよう。」
ハレベルさんがそう言うと、僕たちはあの場所へ瞬間移動を果たし、
人一人いない森の茂みにやってきた。
とても静かで、まるで二人だけの秘密基地のように見えた。




