2 行きたいところ
外に出れる権利__外泊許可_____
その言葉は、この学園の生徒にとってはとても素敵なことなのだろう。
やはり、親元を離れて暮らすというのは寂しいだろうから。
「俺はとりあえず久しぶりに街ブラでもしようかな~、調合する薬品とか買いたい。」
「フィリアは家族に会うよん!久しぶりで楽しみだな~!」
「…。」
ハレベルさんは食事を取りながら話は聞いているのだろうけど、何も答えなかった。
ただただ黙々と目の前にある食べ物を食べていた。
「デオラデ君はどうするの?」
「ん~…。」
フィリアさんにそう聞かれて、僕はさぞ複雑な顔をしていただろう。
返答に困ってしまった。
外に出れる…
それは____
また彼に会うチャンスがある。
不覚にもそう思ってしまった。
もう一度だけ…また…弟に…
そんなことを考えてしまう。
あの日以来、何度も何度も夢に出る。
「デオラデは…デオラデは私と出かける予定だ。」
「えっ」
「ええぇ!?」
うつむいて悩んでいた僕の目の前でハレベルさんはそう告げた。
びっくりしすぎて、思わず大きな声をあげてしまった。
「え!え!?2人でデートってこと!!いやん素敵!!かわいい!!」
フィリアさんはいつもよりさらに声が高くなって、目がハートになってウキウキとしていた。
興奮しすぎて、フィリアさんは立ち上がって僕とハレベルさんを交互に見た。
「ハレベル…おまえ…こいつを危ないところに連れていくんじゃないぞ…。」
「ふんっ。そんなことはしないさ。
デオラデ、出発は明日だ。明日、門の前に8時集合だ。」
そう告げると、ハレベルさんはすっと立ち上がり、この場から去ってしまった。
僕はただ茫然と去っていくハレベルさんの背中を見つめていた。
「よかったね~デオラデ君!デートだよデート!!きゃーー!!!」
「い、いや…そんなんじゃ…ないと思う…。」
ハレベルさん一体どうしちゃったんだろう。
さっきちょっと怒っているようにも見えたし、僕はなにかしてしまったのだろうか…。
「ハレベルちゃんはねぇ、いつも成績が良いから外泊はかなり多めなんだけど…いつもどこに行っているのか教えてくれないんだよねぇ。だから、そんなハレベルちゃんと一緒に外で過ごせるなんて!うらやましいわ~!」
そういうとフィリアさんは僕にウィンクをした。
「変なところに連れ込まれないように注意しろよ…。」
ラムソ君は疑わしそうな目でそう言った。
僕はそんな…なにかのダンジョンに連れていかれるのだろうか…。
ハレベルさん…なんでそんなこと言ったんだろう。
そういえば、あの日のことちゃんと謝れてなかったな…。
試験合宿以来、実はハレベルさんとは一言も口を聞いていなかった。
特に意図していたわけではないのだけれど、少し…いや随分と気まずかったのである。
だから、今日あんなことを言ってくれたのは本当は少し嬉しかった。
嬉しいとはおもったけれど、「なんで」という複雑な気持ちの方が強かった。
ハレベルさんと過ごせるのは素敵なことだけど
だけど…僕はやっぱり…
僕がもし外の世界に出れるなら…
彼に会ってもう一度…もう一度話したい…。
弟に会いたいと思った。




