1 お世話係ラムソ
デオラデと出会ってから1か月が経とうとしていた。
あの実習合宿も終わって、ようやく落ち着いた日々を送っていた。
まぁ今まで1人部屋だったから…最近はルームメイトがいるという非日常的なこと…というよりも、デオラデという非日常的な存在にも慣れたころだった。
デオラデはどことなく不思議な雰囲気を持っていて、クラスからは少し浮いた存在だった。
それは容姿や雰囲気から…途中入学の経緯も相まって浮世離れしたところがあるのは否めなかった。
デオラデの過去のことなんて、特に聞こうとは思わないんだけど
最近はなぜか気になるところなのである。
「デオラデ、起きろ。さすがに。」
現在の時刻は8時20分、授業は8時45分から始まる。
絶望的に寝起きが悪いデオラデを起こすのには本当に苦労する。
いつもギリギリに起こす。早く起こしてもどうせ起きないと学んだのである。
「お、おきれない…。」
「起きろ。」
「ん…。」
この男…デオラデは寝起きがすごぶる悪いので無理やり身体を起こして目覚めさせている。
寝起きが悪い、そしてデオラデの低血圧が相まって朝はまったく機能しないのであった。
デオラデは朝ごはんを食べるという習慣がないようなので、いつもスキップしてしまっているが
健康のことを考えるともう少し早く起こして食事をさせた方が良さそうだな…、ただ食堂まで連れていくのが大変そうだな…
なんて考えている自分が最近スゴブル嫌だった。
俺はあいつのお母さんか…っ!!!
「ラムソ君…どうしたの?」
「なんでもない!!!」
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そしてランチタイム___
この学園での食事は基本ビュッフェ形式で全て無料で提供される。
朝から晩まで開いているので、在学中は空腹に困ることはないだろう。
簡単なスナックや種類豊富なドリンクもある。
こじんまりとした木目調のカフェテリアのような空間で、俺はお気に入りの場所だった。
いつも奥の方の席でデオラデと向かい合ってよくゴハンを食べている。
デオラデはは食べるのが遅いので、授業が再開するギリギリまでここに居座ることになる。
「デオラデ、ちゃんと野菜も食べたほうがいいぞ。ほらデオラデの分もよそってきたからこれも食べろ。」
「えぇ…。」
デオラデはいかにも「嫌だ」という顔をした。
「デオラデ…いっとくけどな、俺はお前のお母さんじゃないからな。」
「えっ…なんのこと?」
「はぁ…。」
きょとんとするデオラデを目前に、俺は深くため息をついた。
「デオラデ君にラムソ君~!フィリア達も隣座ってもいい~?」
すると、聞き覚えのある甲高い声___フィリアがそう言って俺たちの席に近づいてきた。
フィリアの隣にはハレベルの姿もあった。
ハレベルは相変わらず真顔で、すました顔をしていた。
「座っちゃお~っと。ねぇねぇ、こないだの試験合宿の結果見た?」
フィリアは俺たちに解答を与える隙も無く、デオラデの隣に座り、話し始めた。
「いや、見てない。まだ発表されてないだろ?」
「ちっちっち!甘いわね!さっきちょ~ど発表されたのよん!」
フィリアはにやりと微笑んでそう答えた。
そして、2人の顔をみるなり嬉しそうにこう告げた。
「な~んと!なんと!私たち、全チームの中で1位でした~!」
「す、すごい…!」
デオラデは目を輝かせて嬉しそうにしている。
「まぁ、当然の結果だな。」
ハレベルは小さくそう呟いた。
ハレベルがいるチームで1位じゃなかったときがない___俺はそう記憶している。
そのため、今回の順位も当然の結果というところだろう。
「ふふふ~!なにが嬉しいかって、やはり外泊許可よね!!」
俺はそれを聞いたとき耳がピクっとした。
「今回、俺たち4人全員に外泊許可が出るのか…?」
「そう!ラムソ君覚えてないの?毎年、1~3位までは5日間の外泊許可が出てるのよ。4~5位は3日間くらいだったかしら。」
俺は正直、試験合宿に関してガチ勢ではなかったし、特に外泊の希望もなかったからあまり知識がなかったが、そういうことらしい。
1~5位までに外泊許可というのは意外と間口が広いんだな、なんて勝手に思った。
「外泊…許可…。」
デオラデは小さくつぶやいた。
デオラデの実家____
俺はデオラデの顔を見てふと考えてしまった。
「デオラデ君はどこか行きたいところとかあるの?まぁ、最近入学したばかりだから、そこまで外の世界が新鮮ではないかもしれないけど___。」
「行きたいところ____」




