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Miracle Dance Princess  作者: ロマンス王子
第三章 最終決戦編
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第二十七話 ホロテイルジュ、復活

 何処にでもいるはずの女性、桜間(さくらま)依乃里(いのり)はひょんなことから戦士となった。依乃里ら戦士達はノイジアスの力を分け与えられたスノアによって敗北してしまう。そして皆、戦士としての資格を失ってしまう。それと同時に、四年前の戦士が続々と力を取り戻す。一方戦士でないことを受け入れられない黒崎(くろさき)真理紗(まりさ)だったが、なんとか戦士の使命を四年前の戦士に託す。そして依乃里は仲間達と戦士である以上の絆を確かめ合うのだった。

 とある高層ビルの少し高いフロアの一角に構える企業、株式会社桃井テクノロジー。ここでは四年前のルビーの戦士である桃井(ももい)剣二(けんじ)が社長を勤めていた。ある日、四年前のダイヤモンドの戦士である桜名(さくらな)美姫(みき)が訪れる。


「指輪、みんなの分。」

「ああ、わざわざ届けてもらって悪いな。」


 美姫はルビー、サファイア、シトリンの指輪を渡していた。


「俺達、四年前の戦士はみんなまた戦えるんですか?」

「うん、多分ね。」


 四年前のサファイアの戦士である浦賀(うらが)輝弓(きゆみ)が美姫に問いかける。輝弓もこの桃井テクノロジーの従業員として働いていた。


「百聞は一見に如かずです。」


 四年前のシトリンの戦士である金山(かなやま)依斧(いおの)はそう言うとシトリンの指輪を手に取る。依斧もの桃井テクノロジーの従業員として働いていた。そして依斧はシトリンの指輪を左手の中指に無事嵌められる。


「……何ともない、やはり力を取り戻したということか。」

「マジ?」


 依斧の言葉を信じ、輝弓もサファイアの指輪を左手の中指に嵌める。すると輝弓も無事嵌めることに成功する。


「できたよ剣二。」

「そうか、俺もだ。」


 輝弓と剣二はそう言葉を交わし、指輪を見せ合う。剣二もルビーの指輪を嵌めるのに成功したようだ。


「良かった、これでみんな戦えるね。」


 美姫は安心したようにそう言うと自身の左手の中指に嵌められたダイヤモンドの指輪を見せる。


「ああ、まさかまた俺達が戦うことになるとは思わなかったな。」


 剣二はこれからの戦いに意気込む。しかし美姫は一つ気になることがあった。


「ところで、アラモードちゃんはしっかりやってる?」


 美姫はそう言って席に座りながらパフェを食べているオパールの戦士の双見(ふたみ)アラモードに目を配る。実はアラモードもこの桃井テクノロジーに就職していた。


「ああ、見てくれはあんなだけどな。」


 剣二は少し呆れた様子で答える。アラモードは大学時代、就職活動に難攻していた。それを見かねた剣二が自身の会社に迎え入れたのだ。


「本当、就活には苦労しましたよ~。だってパフェOKの会社なんて全然ないんですから。」

「俺もパフェを食べながら仕事をしていいと言った覚えはないがな。」


 アラモードが就活に難攻していたのはパフェに拘っていたからである。剣二も本当はパフェを食べることを許可していないのだが、アラモードが聞くはずもなく黙認している。


「まあ、不本意ではあるがパフェを食べながらでもちゃんと事務作業をしてくれるからな。一応頼りにはなっている。」

「そうなんだ……。」


 剣二はアラモードがちゃんと仕事をしていることを明かす。美姫は少し苦笑いしてしまうが、アラモードがちゃんと仕事をしていることに安心していたのだった。



 一方、依乃里の家では蓮葉(はすば)雨幸(あまゆき)新原(しんばら)桐菜(きりな)、そして赤園(あかぞの)風布花(ふうか)の三人が集まっていた。


「ん……、嵌められました。」

「凄いじゃんふぅちゃん!」

「これで風布花ちゃんも戦えますね!」


 風布花も力を取り戻したようで、真珠の指輪を嵌めることに成功していた。それを桐菜と雨幸は喜んでいた。


「しかし、フラヴァイスには何の反応もありません。あくまでも四年前の力を取り戻したようですね。」

「でも、力を取り戻したなら心強いよ。」


 風布花は取り戻した力があくまでも四年前の力であると言うが、それでも依乃里は頼もしさを感じていた。


「よし、それじゃあふぅちゃん達の勝利を祈願しまして、円陣と行きますか!」

「そうですね!」


 そして桐菜は風布花達四年前の戦士の勝利を祈願し、円陣を提案する。そして依乃里、雨幸、桐菜、風布花の四人は円になり手を重ねる。


「レオン、おいで。」

「ガー!」


 依乃里はパッショネイトレオンを呼び、パッショネイトレオンは依乃里の手の甲に乗る。


「私、赤園風布花は美姫さん達と力を合わせ、ダークサイレンスと戦うことを誓います!」

「「「私達も、みんなをしっかり応援することを誓います!」」」


 手を重ねた四人は、嬉しそうに宣誓する。


「頑張るぞ!」

「「「「オー!」」」」


 そして依乃里の掛け声と共に、四人は意気込んだのだった。



 その夜、四年前のペリドットの戦士であるリーナ・ジーニアス、ラピスラズリの戦士である(みのり)・ファンタジアの二人はベッドの上で仲良く営んでいた。

 事を終えた後、(みのり)はふとエメラルドの指輪を手に取って見つめる。


「はぁ……。」

「エメラルディア様のことを考えていたのですか?(みのり)。」

「まぁね……。」


 (みのり)が思っていたのは、四年前の戦いで命を落としたエメラルディアのことだった。リーナと(みのり)はエメラルディアに育てられていたのだ。それ故に、二人は今でもエメラルディアの死を引きずる時があった。


「私達がみんな集まったとしても、十一人だけなんだよね……。」

「そうですね。エメラルディア様亡き今、エメラルドの指輪の資格を持つ者はいません。」


 二人は四年前の戦士が全員力を取り戻しても、再び揃うことがないことに寂しさを感じていた。


(みのり)、感傷的になっても仕方ありません。エメラルディア様を失った寂しさは二人で埋めましょう。」

「そうだね、リーナ。」


 リーナは優しく(みのり)に諭す。そして二人は再び抱き合うのだった。



 一方、ダークサイレンスではスヤスヤと眠るスノアが(ようや)く目を覚ます。


「ん〜、よく寝た。おはようブラクス。」

「ああ、いい目覚めだなスノア。」


 スノアは無邪気にブラクスに話しかける。しかしブラクスはどこか暗い表情で答える。


「どうしたのブラクス?」

「いや、何でもない。」


 スノアはブラクスの様子を気に掛けるが、ブラクスははぐらかすように答える。そして二人の元に、ノイジアスが現れる。


「スノア、よく眠れたか?」

「はい、ノイジアス様。」

「ならばお前に再び俺の力を分け与えよう。」


 ノイジアスは優しくスノアに話しかけると、スノアはまた無邪気に答える。スノアがすっかり元気になったことを確認すると、ノイジアスは再びスノアに強大な闇を力を浴びせる。


「うひゃ~、また凄い力が湧き上がって来るよ!」

「ああ、また思う存分暴れて来い。」


 スノアはノイジアスの強大な力を感じ、快感に浸る。そしてノイジアスはスノアにまた人間界の侵攻を命じ、スノアはまた人間界へ赴くのだった。


「スノア……。」


 ブラクスはスノアを寂しそうな目で見送る。


「ブラクス、これもまた偉大な犠牲だ。世界から音を消し、俺達の物にするには必要なことなんだ。」

「はい……、ノイジアス様……。」


 ブラクスは自分が捨て駒とされていることも気付かずに無邪気に振る舞うスノアが不憫に思えて仕方がなかった。


「ノイジアス様、少し休んできます。」

「ああ、行っていいぞ。」


 ブラクスは考え込んでしまい、ノイジアスの元を離れる。そしてブラクスは最後のダークサイレンスの仲間であるスノアの死から目を背けるように休むのだった。



 人間界に降り立ったスノアは街の人々を見てニヤリと微笑む。


「見ただけでわかるよ、みんな悪意を持っていることが。」


 スノアはノイジアスの力によって人間の悪意を簡単に感じ取ることができるようになっていた。


「さあマリス、たくさん産まれて!」


 スノアはそう言うと勢いよく手を振り、街の人々に闇のオーラを浴びせる。そして街の人々からマリスが産まれ、街にいびきのような騒音が響き渡る。



 ダークサイレンスの出現を察知し、四年前の戦士である桜名美姫、桃井剣二、浦賀輝弓、金山依斧、水原(みずはら)夜衣魚(よしみ)、双見アラモード、鈴木(すずき)林檎(りんご)三浦(みうら)竹月(たかつき)、赤園風布花、リーナ・ジーニアス、(みのり)・ファンタジアの十一人は急いで集まっていた。


「今、いびきのような騒音が響いてるって言ってた!」

「ああ、恐らくは例のスノアとかいう奴だろう。」


 夜衣魚が慌てた様子で言い、剣二は冷静にスノアが暴れていることを察する。


「桐菜さん達が敗れた相手、(わたくし)達に勝てるでしょうか?」

「大丈夫、私達はママーハハを倒したんだから。」


 スノアとの決戦を前に少し不安になる竹月だったが、林檎はダークストーリーズのママーハハを倒したことから自信を持つように言う。


「宝石の意思がどういうものかわからないけど、私達で依乃里ちゃん達の分まで頑張ろう。」

「ああ。四年ぶりに全員で戦うことになるが、みんな覚悟はいいな?」


 美姫は皆に意気込み、剣二も皆に覚悟を確認する。すると全員という言葉に引っ掛かるようにある男が現れる。


「全員というには一人足りないんじゃないか?」

「あなたは……!」


 そう言って皆の前に現れたのは四十代前半程の中年男性。それはダークストーリーズとの決戦で命を落としたはずのエメラルディアだった。


「エメラルディア様~!」


 久しぶりに見るエメラルディアの姿に、(みのり)は嬉しくなり抱き着く。


「エメラルディア様、どうして……?」

「ああ、俺もよくわからないがどうやら永遠の眠りから叩き起こされるほどの緊急事態らしい。」


 リーナも涙目になりながらエメラルディアに問いかけるが、エメラルディアは少し微笑みながら答える。


「エメラルディア様、エメラルドの指輪です。」

「ああ、ありがとう(みのり)。」


 (みのり)はエメラルディアにエメラルドの指輪を渡し、エメラルディアはエメラルドの指輪を左手の中指に嵌める。


「とにかく、これで正真正銘全員揃ったな。今がどうなっているか知らないが、俺達に敵はない。」

「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」


 エメラルディアの言葉に、皆は力強く答える。そしてエメラルディアを含めた十二人はスノアの暴れている街へと急ぐのだった。



「さあみんな、思う存分暴れるんだよ!」


 スノアは高らかに声を上げ、多数のマリスを暴れさせていた。そんな中、美姫達十二人がスノアの元に駆けつける。


「そこまでだよ、スノア。」

「今ここでお前達の野望を阻止させてもらう。」


 美姫とエメラルディアはスノアに言い放つ。


「誰?見たことない人がいっぱい。」

「わからないなら教えてやる。」


 スノアは初めて見る美姫達に苛立つ。そんなスノアを挑発するように剣二が言う。


「これがお前達の前の組織を倒した戦士の力だ。みんな行くぞ!」


 そしてエメラルディアの掛け声で十二人は一斉に本を開く。


「おとめ座!ダイヤモンド!シンデレラ!」

「しし座!ルビー!桃太郎!」

「みずがめ座!サファイア!浦島太郎!」

「おうし座!シトリン!金太郎!」

「うお座!アクアマリン!人魚姫!」

「ふたご座!オパール!ヘンゼルとグレーテル!」

「さそり座!アメジスト!白雪姫!」

「おひつじ座!ガーネット!かぐや姫!」

「やぎ座!パール!赤ずきんちゃん!」

「てんびん座!ペリドット!アラジンと魔法のランプ!」

「かに座!ラピスラズリ!ピーターと不思議な冒険!」

「いて座!エメラルド!アリババと40人の盗賊!」


 十二人がそれぞれ叫ぶと空が暗くなり、黄道十二星座が浮かび上がる。そして空から声が聞こえる。


「Miracle Force!」

「来て!」

「来い!」

「来な!」

「来るんだ!」

「来ちゃって!」

「カモン!」

「来なさい!」

「おいでなさい!」

「来て下さい!」

「来るのです!」

「来ちゃいな!」

「我が元に!」


 十二人がそれぞれ空に叫ぶと、星座の最輝星(さいきせい)が光を放ち十二人の指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、十二人の体を包む。やがて十二人は戦士へとその姿を変える。


「シンデレーザー!」

「キルビーレオン!」

「サファイアロード!」

「アックシトリナー!」

「マーメイデスト!」

「ツインスウィーテス!」

「ポイズノーム!」

「フルムーンハイヤー!」

「レッドバイトゥース!」

「アラジンザスカイ!」

「ピーターシザーズ!」

「エメラルディア!」


 戦士となった十二人はそれぞれ名乗る。


「ホロテイルジュ、ふっか~つ!」


 (みのり)が姿を変えた戦士、ピーターシザーズは嬉しくなってそう叫ぶ。ホロテイルジュ、それが長年の間ダークストーリーズと戦った組織の名だった。


「美姫さん、三十代になってもそれ似合ってますね。」

「やめて夜衣魚ちゃん、あんまり褒めているように聞こえないから。」


 夜衣魚が姿を変えた戦士、マーメイデストは美姫が姿を変えたシンデレラを彷彿とさせる戦士シンデレーザーに話しかけるが、逆にシンデレーザーの恥ずかしさを掻き立ててしまう。


「まさか、これが四年前の戦士……?」

「そういうことだな。ダークサイレンスのスノアとか言ったな、ここが年貢の納め時だ。」

「戦士がどんなに束になったって、僕に勝てる訳がないよ!」


 スノアは十二人が四年前の戦士であることを察する。そしてエメラルドグリーンに輝く戦士、エメラルディアがスノアを挑発するように言うと、スノアは怒りを覚えて反発する。そしてスノアはマリスを引き連れて走り出す。


「決戦だ!」


 そしてエメラルディアの掛け声で十二人も立ち向かうように一斉に走り出す。


「ポイズンストラングル!」


 林檎が姿を変えた戦士、ポイズノームは蠍の尻尾を模した鞭でマリスを縛り上げる。


「はぁぁ!」


 そして二人に分離したツインスウィーテスが縛り上げられたマリスを双方からナイフで切り付ける。


「「剣二さん、今です!」」

「ああ!」


 二人のツインスウィーテスは剣二が姿を変えた桃太郎を彷彿とさせる戦士キルビーレオンに向かって叫び、腕を組み合わせて踏み台を作る。キルビーレオンはツインスウィーテスの腕を踏み台にして跳び上がり、武器の日本刀を構える。


「秘剣、桃の舞!」


 そしてキルビーレオンは必殺の剣技をマリスに喰らわせるのだった。


「今度は私の番だよ~!」


 マーメイデストはそう言うとアクアマリンの指輪が嵌められた手を高らかに挙げ、叫ぶ。


「くじら座!」


 すると空にくじら座が浮かび上がり、最輝星の放つ光がマーメイデストの嵌めるアクアマリンの指輪に届く。マーメイデストは鯨を模したような大きく煌びやかなドレスを身に纏った戦士になる。


「マーメイデスト・スプラッシュタイプ!」


 その戦士はスプラッシュタイプと名乗る。スプラッシュタイプとなったマーメイデストは三又の槍を振り回してマリスを薙ぎ払う。


「全く、ここの女性陣はお淑やかさというものを知らないなぁ!」

「何か言った?輝弓君。」

「いえ何も。」


 輝弓が姿を変えた浦島太郎を彷彿とさせる戦士サファイアロードは弓矢でマリスを攻撃しながらマーメイデストの戦い方にぼやくが、少しマーメイデストに聞かれてしまいはぐらかすように返す。


「だったらこんな戦い方はどう?」


 ピーターシザーズはそう言うと左手に大きな蟹を鋏を備え、マリスを挟んで持ち上げて投げ飛ばす。


「それもお淑やかではないよ……。」


 サファイアロードはピーターシザーズの怪力に任せた戦い方にも呆れたように呟く。


「まあいいや、とにかく三人で決めるよ。」


 マーメイデストがそう言うとマーメイデスト、サファイアロード、ピーターシザーズの三人は横並びになり一斉に構える。


「「「トライデントトリプルスプラッシュ!」」」


 三人はそれぞれ槍、弓矢、鋏で攻撃しマリスを消滅させるのだった。


「参ります!」


 続いて竹月が姿を変えた戦士フルムーンハイヤーがガーネットの指輪を嵌めた左手を挙げて叫ぶ。


「うさぎ座!」


 フルムーンハイヤーが叫ぶと空にうさぎ座が浮かび上がり、最輝星の放つ光がガーネットの指輪に届く。フルムーンハイヤーは兎の耳が生えた戦士へと変わる。


「フルムーンハイヤー・ジャンパータイプ!」


 その戦士はジャンパータイプと名乗る。そしてジャンパータイプのなったフルムーンハイヤーは高いジャンプ力でマリスを翻弄する。


「今度は私も行きます!」


 風布花が姿を変えた赤ずきんちゃんを彷彿とさせる戦士レッドバイトゥースがそう言うと真珠の指輪が嵌められた左手を挙げて叫ぶ。


「おおかみ座!」


 レッドバイトゥースが叫ぶと空におおかみ座が浮かび上がり、最輝星の放つ光が真珠の指輪に届く。レッドバイトゥースはより濃い赤色の頭巾を被り狼の耳が生えた戦士になる。


「レッドバイトゥース・クリムゾンタイプ!」


 その戦士はクリムゾンタイプと名乗る。クリムゾンタイプとなったレッドバイトゥースは依斧が姿を変えた金太郎を彷彿とさせる戦士アックシトリナーと横並びになり構える。


「行くぞ風布花ちゃん!」

「はい、依斧さん!」


 レッドバイトゥースとアックシトリナーは同時に飛び出して攻撃を仕掛ける。


「ウルフネイル!」

「タウラスブレイク!」


 レッドバイトゥースは鋭い爪をマリスに突き立て、アックシトリナーは大きな斧を振り下ろす。しかし二人の後ろからマリスが隙を突いて攻撃しようとする。


「はぁぁ!」


 そのマリスをフルムーンハイヤーが急降下キックで消滅させる。


「依斧さん、風布花ちゃん、参ります!」

「おお!」

「はい!」


 フルムーンハイヤーは二人に呼びかけ、三人で一斉に構える。


「はぁぁ!」


 レッドバイトゥースは目にも止まらぬ速い動きで多数のマリスを攻め立てる。


「竹月ちゃん!」

「はい!」


 そしてアックシトリナーはフルムーンハイヤーの腕を掴み、フルムーンハイヤーは足を前に突き出す。


「風布花ちゃん!」

「一気に行きます!」


 フルムーンハイヤーはレッドバイトゥースに呼びかけ、レッドバイトゥースは二人の元に素早く戻りフルムーンハイヤーの足に自身の足を重ねる。


「行け~!」

「「はぁぁ!」」


 フルムーンハイヤーはレッドバイトゥースを足で勢いよく押し出し飛ばす。レッドバイトゥースは勢いに身を任せてマリスを一気に消滅させるのだった。


「桜名美姫、私達も行きますよ!」

「いいよリーナ!」


 続いてリーナが姿を変えた戦士アラジンザスカイはシンデレーザーと共に本を開く。そしてアラジンザスカイは絨毯を、シンデレーザーは南瓜を模した馬車と白馬を召喚する。


「「はぁぁ!」」


 アラジンザスカイとシンデレーザーはそれぞれ絨毯と馬車に乗り、マリスを次々と跳ね飛ばす。そしてその中をエメラルディアが颯爽と歩く。


「北風と太陽!」


 エメラルディアが本を開きながらそう言うと強風と強い日差しが起き、多数のマリスを消滅させる。


「行くぞ美姫、リーナ。」

「「はい!」」


 エメラルディアの呼びかけで、シンデレーザーとアラジンザスカイはエメラルディアの隣に立つ。


「いて座!」


 エメラルディアがそう叫びながら左手を空に挙げると、いて座が浮かび上がり、最輝星の放つ光がエメラルドの指輪に届く。そしてエメラルディアの手には弓矢が握られていた。エメラルディアは弓矢を引いて力を溜める。シンデレーザーとアラジンザスカイもそれぞれレーザー銃を持って構える。


「秘弓・閃光の一射!」

「レーザーストライク!」

「アラジンザストライク!」


 三人の放つ攻撃が多数のマリスを一掃するのだった。


「何?もうマリスをみんな倒しちゃったの?」


 スノアは産み出したマリスを全て倒されてしまい、苛立ってしまう。


「あとはお前だけだ、スノア。」


 スノアの前に並ぶ十二人。そしてエメラルディアはスノアにそう言って弓を突きつける。


「ノイジアス様に力を分けてもらった僕の本気、見くびらないでもらえるかなぁ!」


 スノアは怒りを見せながらそう言うと大きないびきを浴びせる。


「んがぁ~~~~~!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


 スノアの大きないびきによる衝撃波で十二人は吹き飛ばされてしまう。


「これが、依乃里ちゃん達が敗れたっていうスノアの能力……!」


 シンデレーザーはスノアの力に圧倒され、依乃里達が敗れたというのも頷けた。


「みんな、あの力に屈するな!俺達の力を合わせるんだ!」

「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」


 皆が倒れこむ中、エメラルディアが皆に呼びかけ十二人は再び立ち上がる。


「みんなの力を、シンデレーザーに注ぎ込め!」


 エメラルディアが皆にそう言うと、シンデレーザー以外の皆で一斉に本を開きシンデレーザーに力を注ぎ込む。そしてシンデレーザーはレーザー銃に力を溜める。


「依乃里ちゃん達の想いも込めて!」


 シンデレーザーは戦えない依乃里らのことも頭に思い浮かべ、スノアへの一撃に心を込める。そしてシンデレーザーは勢いよくスノアに銃口を向ける。


「ホロテイルジュ・スーパーレーザーストライク!」


 シンデレーザーがそう言うと一気に強大なレーザー光線がスノア目掛けて放たれる。しかしその反動も大きく、シンデレーザーも後ろに飛ばされそうになる。


「美姫さん!」


 そんなシンデレーザーを、他の十一人が背中を押さえて受け止める。そしてスノアはシンデレーザーの放ったレーザー光線を喰らう。


「うっ……、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


 スノアは四年前の戦士全員の力が込められた攻撃をまともに喰らってしまい、そのまま大爆発を起こしてしまう。


「くっっ……、まさか四年前の戦士がこんなに強いとはねぇ……。」


 スノアはボロボロになりながら話す。しかしまだ僅かながら余力が残っているようだった。


「まさか、まだ倒れてないの?」

「しぶとっ!」


 皆はまだ立とうとするスノアに警戒する。するとスノアの背後に突然ノイジアスが現れる。


「スノア、お前はよくやったよ。」

「ノ、ノイジアス様……!」

「こいつがノイジアス……!」


 皆はノイジアスに警戒する。そしてノイジアスはスノアに優しく話しかけると、胸の中央からブラックホールのような物を出す。


「さあスノア、俺の一部になれ。」

「そんな、僕が……!」

「これって、ママーハハの時と同じ……!」


 ノイジアスはスノアを自身の一部として取り込もうとする。その様子に、皆は嘗てダークストーリーズのトップだったママーハハが幹部を取り込んだ時のことを思い出していた。


「そんな……、嫌だ……!僕は、ただのんびり過ごしたかっただけなのに……!」


 スノアはそう言いながら未練を残すようにノイジアスに取り込まれてしまうのだった。


「さあ、これで世界の侵攻に一歩近づく。お前の死も決して無駄にはしないぞスノア。」


 ノイジアスは四年前の戦士には全く目を配る様子もなく、人間界を立ち去ってしまう。そして街には平穏が訪れるのだった。


「ノイジアス……、恐ろしい奴だね……。」


 シンデレーザーはノイジアスにママーハハと同じほどの狂気を感じる。そんな中、レッドバイトゥースとツインスウィーテス以外の十人は元の姿に戻ってしまい、指輪を嵌めている指が痛くなって思わず外してしまう。


「いった!」

「どういうこと?」


 皆は一瞬、起こった現象を不思議に感じるがすぐに察する。


「そっか、スノアを倒した時点でもう戦士の役目は終わったんだね。」

「ということは、また依乃里ちゃん達に戦士の資格が?」

「ああ、恐らく彼女らに戻るはずだ。」


 皆は戦士の資格を失ったことを理解する。そして皆の元に依乃里、雨幸、桐菜、そして黒崎(くろさき)真理紗(まりさ)上部(うわべ)芽里音(めりね)祭田(さいだ)美李宇(みりう)の六人が駆けつける。


「美姫さん!風布花ちゃん!皆さん!」

「お疲れ様でした!」

「依乃里ちゃん、みんな……。」


 美姫達は依乃里らが駆けつけて来てくれたことを嬉しく思う。そして美姫は依乃里の左手を持ち、中指にダイヤモンドの指輪を嵌める。


「あれ、指輪が嵌められる。」

「スノアを倒したら資格を失っちゃった。だから戦士の資格はまた依乃里ちゃんの物だよ。」

「そんな……。」


 指輪を嵌められたことに驚く依乃里に、美姫は戦士の資格が再び依乃里に譲渡されたことを説明する。依乃里は再び自分が戦うことに不安を覚える。


「心配するな。ノイジアスは恐らく強敵だが君達ならきっと勝てる。」


 剣二は不安を覚える依乃里にそう助言しながら右手の中指にルビーの指輪を嵌める。


「そうです、私が認めた戦士ならば負けるはずがありません蓮葉雨幸。」

「ありがとうございます、リーナさん。」


 リーナも雨幸の背中を押すように言いながら左手の中指にペリドットの指輪を嵌める。


「皆さんの絆は(わたくし)達に劣りません。そうですよね桐菜さん。」

「勿論だよ、つっきー。」


 竹月も桐菜を信頼しているように言い、左手の中指にガーネットの指輪を嵌める。


「心配なことがあったら先輩にいつでも相談しなさい!乗ってあげるよ~。」

「あら、余計な気遣いは結構ですわ。」

「ありゃ……。」


 夜衣魚は先輩風を吹かせながら芽里音の左手の中指にアクアマリンの指輪を嵌めるが、芽里音に一蹴されてしまう。


「じゃあ期待も心配もしないで見守るよ、芽里音ちゃん。」


 輝弓は芽里音に煽り返すように言いながら右手の中指にサファイアの指輪を嵌める。


「エメラルディア様、こいつが今のラピスラズリとエメラルドの資格者です。」

「どーもー、祭田美李宇でーす。」

「なるほど、君が……。」


 (みのり)はエメラルディアに美李宇を紹介しながら左手の中指にラピスラズリの指輪を嵌める。エメラルディアも初めて見る戦士の姿を新鮮に感じながら右手の中指にエメラルドの指輪を嵌める。


「君達が依乃里ちゃん達と対立していることは賛同できないが、いつか共にノイジアスを倒してくれることを願う。」

「あら、それは桜間依乃里次第よ金山依斧。」


 依斧は真理紗の考えに否定的な態度を示しつつもいつか共に戦うという希望を持って右手の中指にシトリンの指輪を嵌める。


「さあ、あとはあなただけよ鈴木林檎。」

「うん……。」


 そしてあとは林檎が真理紗にアメジストの指輪を渡すことで今の戦士に全て指輪が渡ることになるが、林檎は何故か渋ってしまう。


「どうしたんですか林檎さん?」

「どうせもう戦士の資格なんてないんだからちゃっちゃと渡しなよ。」


 風布花は林檎の様子を心配して話しかける。アラモードも林檎に言い聞かせて真理紗に渡すよう促す。そして林檎は真理紗の左手を持ち、中指にアメジストの指輪を嵌めようとするが途中で手を止めてしまう。


「どうしたのかしら?もうあなたには戦士の資格なんてないのよ。早く私に指輪を渡しなさい。」


 真理紗は林檎に指輪を渡すよう急かす。しかし林檎は指輪を渡す前に聞きたいことがあった。


「真理紗、指輪を渡す前に聞かせて。あなたが知っていることを全て。」

「どういうことかしら?あなたに話すことなど何もないのよ。」


 林檎はどうしても真理紗から全てを聞き出したかった。真理紗は断るものの、林檎が頑として指輪を渡さない様子に呆れてしまう。


「……いいわ。指輪を渡してもらうためなら教えてあげる、私が四年前に知り得た全ての話を。」

「真理紗……!」


 真理紗は全てを皆に話す決心をする。そのことに驚く依乃里だったが、依乃里は真剣な眼差しで真理紗を見つめるのだった。


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