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Miracle Dance Princess  作者: ロマンス王子
第三章 最終決戦編
24/33

第二十四話 最後の指輪

 何処にでもいるはずの女性、桜間(さくらま)依乃里(いのり)はひょんなことから戦士となった。依乃里の仲間であり、四年前にも戦ったことのある赤園(あかぞの)風布花(ふうか)は、嘗ての好敵手であるウルフィンが復活し、精神的に動揺してしまう。しかしウルフィンは嘗ての記憶を取り戻し、再び風布花と戦って満足げに散る。そして皆はクリークを倒すべく、立ち向かうのだった。

 ローズレーザー、ベリースパークラー、チェリーエッジ、レッドライテスト、パッショネイトレオンはクリークに一斉に攻撃を仕掛ける。


「はぁぁぁぁ!」


 ローズレーザーはパッショネイトレオンと共に情熱的なパソドブレを踊り、攻撃する。


「ふん!」


 クリークはローズレーザーとパッショネイトレオンの攻撃を軽々と受け止めてしまう。


「クリーク!風布花ちゃんを精神的に揺さぶったことを絶対に許さない!」

「それが何だと言うのです?あなた達を始末するのに手段は選ばない、ただそれたけのことです!」


 ローズレーザーはクリークに怒りをぶつける。しかしクリークも必死になり、悪びれる様子などない。


「「はぁぁぁぁ!」」


 ベリースパークラーとチェリーエッジもクリークに怒りをぶつけるようにそれぞれ剣と鉄扇をクリークの喉元に突きつける。


「クリーク!あなたは人間のことや自分達の存在に興味を持ち始めていたと聞きました。それが何故こんなことを……!」

「うるさい!僕達はどんな存在であろうと己の使命を全うするのみ!これ以外に何もありません!」

「そこまで落ちぶれたわけ?だったら私達で楽にしてあげる!」


 ベリースパークラーとチェリーエッジもクリークの言葉に呆れ、クリークを倒す決意を改めて固める。そして二人は剣と鉄扇でクリークを斬りつける。


「クリーク!」


 今度はレッドライテストが得意のチャールストンでクリークを攻め立てる。レッドライテストはウルフィンを操り人形にした恨みの分、その攻撃は重かった。


「ウルフィンを好きに操ったことは許しません!」

「ふん、奴は捨て駒。あなた達を始末すればそれで良いのです!」


 クリークはレッドライテストにも悪びれる様子がなく、レッドライテストの攻撃を受け止めてしまう。


「ふん!」

「うわぁぁぁぁ!」


 レッドライテストは跳ね飛ばされてしまう。


「くっっ……!」


 ローズレーザー、パッショネイトレオン、ベリースパークラー、チェリーエッジ、レッドライテストの五人はクリークに苦戦を強いられてしまう。


「こんなところで……!」


 ローズレーザーらが膝をつき、悔しそうにクリークを睨む。


「さあ、今度こそあなた達の負けです!」


 そしてクリークが止めを刺そうとした時、ブラックチャーム、グレイスロード、フェスティブレイドの三人がそれぞれのパートナーと共に社交ダンスを踊りクリークに攻撃を仕掛ける。


「「「はぁぁ!」」」


 三人の戦士と三体のモンスターはクリークを囲い、社交ダンスを踊りながら攻撃する。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


 逃げ場を失ったクリークは攻撃をまともに喰らってしまう。


「真理紗、何で……?」

「ダークサイレンスは私達の敵でもあるの。攻撃するのは当然のはずよ。」


 ブラックチャームはローズレーザーらと交戦協定を結びつつも、ダークサイレンスを倒す姿勢は一貫していた。そしてブラックチャームらの攻撃によって怯んだクリークを、レッドライテストは見逃さなかった。


「今です!」


 レッドライテストは華麗な回し蹴りを決める。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


 そしてクリークに痛烈なダメージを与えたところでローズレーザー、ベリースパークラー、チェリーエッジの三人に攻撃の機会を与える。


「依乃里さん、雨幸さん、桐菜さん、今です!」


 ローズレーザー、ベリースパークラー、チェリーエッジの三人は一気に攻撃を態勢を立てる。


「情熱怒濤、レーザーストライク!」

「妖艶万丈、ベリースラッシャー!」

「美麗千万、鋭刃(えいじん)の舞!」


 三人は一斉に攻撃をクリークに浴びせる。すると大爆発が起き、クリークの体は徐々に塵となって消えて行く。


「そんな、僕がここで消えるなんて……。」

「クリーク、観念して!」


 ローズレーザーは体が消えようとしても尚、受け入れられないクリークに言い聞かせるように言う。


「いいや、僕は終わらない。終わるわけがないんだー!」

「いや、お前はここで終わりだ。」


 しつこく死に抗おうとするクリークの元に、巨大な影が現れる。


「その声は……!」


 クリークが振り向くと、そこには全身が砂嵐で覆われたような巨大な怪物がいた。


「あの怪物は……⁉」

「チョーでかくね?」


 ローズレーザーとチェリーエッジはその怪物に驚く。


「あれはまさか、ノイジアス……?」

「ノイジアスってまさか、ダークサイレンスのトップですか?」


 ブラックチャームはその怪物をノイジアスと察する。レッドライテストは、ノイジアスがダークサイレンスのトップであることを思い出す。


「クリーク、残念だよ。ボードクローに続いてお前も俺の一部として取り込まなくてはならないことが。」

「そんな、僕が取り込まれるなんて……。ノイジアス様!」


 クリークもその怪物をノイジアスと言う。そしてクリークはノイジアスに命乞いをする。


「惨めな態度を取るな。最期まで幹部らしく振る舞え。」


 命乞いをするクリークを一喝し、ノイジアスは胸の中央からブラックホールのような物を出す。


「いや、いやだー!」

「あの力は……?」

「ウルフィンがママーハハに取り込まれた時と同じです。倒された幹部は、トップに取り込まれるんです。」


 ベリースパークラーがノイジアスの出したブラックホールのようなものに驚くと、レッドライテストはウルフィンがダークストーリーズのトップであるママーハハに取り込まれた時のことを思い出す。そしてクリークは完全に塵となり、ノイジアスに取り込まれるのだった。


「また、幹部が減ってしまったか。」


 ノイジアスはクリークを取り込みながらもその最期を惜しむようだった。


「あなたが、ノイジアス……。」

「指輪の戦士か。今はまだ、戦う時ではない。」


 ローズレーザーが話しかけると、ノイジアスはそう言って戦わずにその場を立ち去ってしまう。そして街には再び静寂が訪れる。戦士達は元の姿に戻る。


「クリーク、死んじゃったね。」

「これでまた一人、幹部が減りましたね。」


 元の姿に戻った依乃里はとりあえず安堵の気持ちに浸る。そして風布花も依乃里の気持ちに同調する。


「桜間依乃里、あまり悠長に構えている暇なんてないのよ。ノイジアスが人間界に降り立ったということは、ダークサイレンスとの戦いも激化するという前兆なのよ。」

「わかってるよ、真理紗。」


 黒崎(くろさき)真理紗(まりさ)は依乃里に、ノイジアスの出現によるダークサイレンスとの戦いの激化を警告する。しかし依乃里も、その覚悟はできていた。


「これは、(わたくし)達も警戒しなくてはならないということですわね。」

「平穏な日々に別れを告げるって奴か~。」


 真理紗の仲間である上部(うわべ)芽里音(めりね)祭田(さいだ)美李宇(みりう)もこれからの戦いに警戒していた。


「桜間依乃里、交戦協定はどうするつもりなの?」

「続けるよ真理紗、まだ真理紗とわかり合えていないから。」


 真理紗は依乃里に、交戦協定を続けるか尋ねるが、依乃里の答えは継続だった。依乃里はダークサイレンスを倒すために、真理紗と本当の意味で仲間になりたいと考えていた。


「依乃里さん……。」

「そうだね、いのりっち。」


 依乃里の仲間である蓮葉(はすば)雨幸(あまゆき)新原(しんばら)桐菜(きりな)も、依乃里の考えに賛同していた。そして一同は解散するのだった。



 真理紗、芽里音、美李宇の三人はかりそめの城に戻るが、あまり快い面持ちではなかった。


「真理紗、これからどうするおつもりですの?」

「そうだよ真理紗、ダイヤモンドの戦士がいなきゃダークサイレンスに勝てないって言ったのは真理紗じゃん。」


 芽里音と美李宇は真理紗にこれからの動向を尋ねる。二人はノイジアスの出現によって焦りを見せ始めていた。しかし真理紗自身も悩んでいた。


「桜間依乃里の出方次第、と言いたいところだけどこのまま桜間依乃里が協力の姿勢を見せないならいずれ世界は終わるわ。確かに急がなければならないわね。」


 真理紗も焦りを隠し切れなかった。ノイジアスの出現は、真理紗の余裕げな態度をも崩す程の存在だった。そして真理紗がふと呟く。


「せめて、全ての指輪の戦士が揃ってくれればいいのだけれど……。」

「ん?」

「揃っていませんでしたの?」


 真理紗は全ての指輪の戦士が揃っていないことを呟く。しかし美李宇と芽里音は指輪が全て揃っていると思い込んでいた。


「まだ一つだけ指輪の行方がわかっていないわ。よく数えてみなさい。」

「えっと真理紗がアメジストとシトリンで芽里音がアクアマリンとサファイア、私がラピスラズリとエメラルド……。」

「桜間依乃里がダイヤモンドとルビーで蓮葉雨幸がペリドット、新原桐菜がガーネットで赤園風布花が真珠でしたわね。これで十一個ですの……?」

「「……オパール!」」

「ええそうよ。オパールの指輪は桜間依乃里のためにペリドット、ガーネット、真珠の指輪と共に街に散りばめた。何故オパールだけ見つからないのかしら?」


 芽里音と美李宇はオパールの指輪が未だに行方不明になっていることに気がつく。オパールの指輪は以前、真理紗が桜間依乃里のために他の指輪と共にばら撒いていた。他の指輪はそれぞれ雨幸、桐菜、風布花を選び戦士へと導いていたがオパールの指輪だけ行方がわからなかった。それは、依乃里らも時を同じくして気づいていた。


「そう言えば、オパールの指輪は見つかっていませんでしたね……。」

「そうだ、十二個あるのに十一個しかないとか見落としてた~!」


 一方、依乃里の部屋で雨幸と桐菜がオパールの指輪の不在を思い出していた。そして依乃里はもう一つ、あることを思い出す。


「そう言えば、先代のオパールの戦士って会ったことなかったよね?他は亡くなったっていうエメラルドの戦士以外会ったのに。」

「ああ、そうでしたね……。」


 依乃里は四年前のオパールの戦士に会ったことがないことを思い出す。しかし依乃里の言葉に、風布花は少し苦笑いをしていた。


「ふぅちゃん、先代のオパールの戦士ってどんな人なの?」

「私も気になります。」

「オパールの戦士ですか……。」


 桐菜と雨幸は風布花にオパールの戦士のことを尋ねるが、風布花は少し言葉を詰まらせながら話す。


「あの人は何というかその、個性的な人です……。」

「「「へぇ~。」」」


 風布花は四年前のオパールの戦士のことを話すが、どこかぼかすようだった。しかしそんな風布花の様子を、依乃里も雨幸も桐菜も気に留めることはなかった。



 一方で、芽里音と美李宇も四年前のオパールの戦士のことが気になっていた。


「真理紗、そう言えばオパールの戦士にはお会いしたことがありませんの。」

「そうだ、どこにいるの?」

「オパールの戦士ね、特に会う必要などないわ。」


 芽里音と美李宇は真理紗にオパールの戦士のことを尋ねるが、真理紗はオパールの戦士に会う必要がないと話す。それに芽里音と美李宇は首を傾げてしまう。


「それは何故ですの?」

「ていうかどんな人なの?オパールの戦士って。」

「そうね。私が知る限りでは、変な人のはずよ。だから会わなくてもいいわ。」


 真理紗はオパールの指輪の戦士を変な人だと評価し、改めて会う必要はないと念を押す。そしてそれは風布花も同じ考えだった。


「まあオパールの戦士は今更会う必要ないというか、最近は個別に連絡しても中々返ってこないんです。」

「そうなんだ……。」


 風布花は四年前のオパールの戦士と個別に連絡が取れないことを明かす。


「ふぅちゃん、もしかして先代のオパールの戦士も失踪してるとか?」

「いえ、四年前の仲間で作ってるグループチャットではたまに返ってくるんですけど剣二(けんじ)さんや林檎(りんご)さんが直接言わないと動かないんです。」

「面倒くさがりな人なんですね……。」


 風布花はオパールの戦士が面倒くさがりな人だと明かす。


「それなら、オパールの指輪を持っているのが誰なのかを探すしかないのかな。」

「そうですね、今は指輪の在り処を探すのが先決です。」

「本当、どこにあるんだろう?」


 そして依乃里は、オパールの指輪の在り処を探すことを決め、他の皆も賛同する。そして依乃里ら四人はオパールの指輪を探しに街へ行くのだった。



 一方その頃、ダークサイレンスではノイジアスが本拠地に戻っていた。


「ノイジアス様、何処にいらっしゃっていたのですか?」


 ブラクスは姿を現したノイジアスに驚く。そしてブラクスが尋ねると、ノイジアスは重厚な声で答える。


「人間界にな。あと、クリークは死んだ。クリークの残した闇は俺が取り込んだ。」

「え⁉」


 ブラクスはノイジアスから告げられたクリークの死に動揺する。


「クリークが、死んだ……?」

「ああ、あいつはよくやってくれたよ。だがそれまでだ、とうの昔に滅んだ組織の幹部を利用するからこんなことになるんだ。」


 ノイジアスはクリークを評価しつつ、やはりクリークがウルフィンを利用したことは目に余る行為だったようだ。そして冷静に喋るノイジアスだったが、内心焦りを感じているようでもあった。


「クリークが死んだことで幹部が減った。そろそろ俺も本格的に動き出さなければならない。」

「ノイジアス様自らが、戦士達と戦うということですか?」


 ブラクスはノイジアスの言葉から、ノイジアス自身が本気を出したことを感じる。


「ああ、だがその前にあいつにも本気を出して貰わないとな。」


 ノイジアスはそう言うと大きないびきを掻きながら寝ているスノアを見る。


「まさか、スノアを?」

「ああ。あいつの無気力なところは個性だと思っていたんだがな、そう悠長なことも言っていられなくなった。」


 ノイジアスはスノアも戦いに駆り立てなくてはならないと考えていた。ブラクスはノイジアスの本気に恐ろしさを感じる。


「んがぁ~。」

「悪く思うな、スノア。」


 ノイジアスは寝ているスノアに強大な闇の力を浴びせる。スノアは自身に何が起こっているのか何も知らずにいたが、突然覚醒したように目を見開き、瞳の色が禍々しい色に変化する。


「何これ?力が(みなぎ)ってくる……!」


 スノアはノイジアスから浴びせられた力で目が冴える。そしてやる気に満ちた表情を見せていた。


「ノイジアス様、これは俺に与えてくれた力と同じものですか?」

「ああ、だがスノアにもやる気を出させるために少し細工をしたがな。」

「それって、どういう……!」

「まあブラクス、僕に期待しててよ。」


 ブラクスはノイジアスの言葉に怯えてしまう。そんなブラクスを気に留めることなく、スノアは人間界に赴くのだった。



 それから数日、依乃里ら四人はオパールの指輪を探しに街へ赴いていた。


「う~ん。」

「中々見つかりませんね。」

「ていうかやっぱ誰かが拾ったのかね~。」

「指輪がずっと落ちているとも考えられませんしね。」


 依乃里らは必死にオパールの指輪を探すが、その行方は中々掴めなかった。


「無駄に精が出るわね、桜間依乃里。」

「本当だよ全く……って、真理紗⁉」


 必死にオパールの指輪を探す依乃里を見下すように、椅子に座る真理紗が話し掛ける。そして真理紗とテーブル囲むように芽里音と美李宇も座っていた。


「真理紗、今度は何の用?私達は今、オパールの指輪を探すのに忙しいんだけど。」

「それは奇遇ね、私達も丁度オパールの指輪の持ち主を探していたところなの。」

「真理紗達も?」


 真理紗と話したくない依乃里は冷たく突き放すが、真理紗は依乃里と同じくオパールの指輪を探していたことを明かす。


「真理紗は、オパールの指輪が誰かの手に渡っていると考えている訳?」

「当然よ。強大な力を持っている上にあの輝きを放つ指輪を誰も拾わないはずはないわ。」

「そうだよね……。」


 真理紗は確実にオパールの指輪が誰かの手に渡っていると考えていた。依乃里も真理紗の考えには賛同せざるを得なかった。しかし依乃里はふとあることが気になる。


「ねえ真理紗、オパールの指輪って真理紗が持っていたんじゃないの?」

「そうね、最初は持っていたわ。」


 依乃里は真理紗がオパールの指輪を持っていたのではないかと考えていた。実際に真理紗は、依乃里と出会うまではオパールの指輪を持っていたことを明かす。


「私達はあなたと出会うまで、全ての指輪を持っていたわ。そしてあなたが戦士になった後、私は四つの指輪を街へ放った。」

「四つの指輪?」

「ええ。ペリドット、ガーネット、真珠、そしてオパールの指輪よ。私が街へ放った時、これらの指輪に選ばれた者は桜間依乃里と巡り会うようになっていたはずなの。でもオパールの指輪だけ桜間依乃里と巡り会わないなんて、余程お寝坊さんのようね。」


 真理紗は街へ放った指輪の秘密を明かす。指輪の戦士に選ばれた者は依乃里と出会うようになっていたようだ。実際、雨幸と桐菜と風布花の三人は依乃里と巡り会い、戦士となった。しかしオパールの指輪だけ依乃里の元を訪れなかった。


「いい加減、全ての指輪が揃ってくれないと真理紗の苦労が報われませんの。」

「本当、どこのどいつが拾ったんだかね~。」


 芽里音と美李宇もオパールの指輪が見つからないことに痺れを切らしていた。そして雨幸、桐菜、風布花も依乃里の元に集まる。


「なるほどね~、指輪を拾った私達はいのりっちに出会う運命だったのか~。」

「そう考えれば、素敵な巡り会わせですね。」

「こればかりは、真理紗さんに感謝しないといけないですね。」


 三人は真理紗の明かした指輪の話を聞いていた。そして自分達が依乃里と出会う運命だったことを知り、感激していた。


「本当に指輪を拾った人がいのりっちに出会うのなら、オパールの指輪の持ち主もきっと見つかるよ。」

「みんなで探しましょう。」

「そうだね、みんな。」


 依乃里らは改めてオパールの指輪の持ち主を探すことを決める。


「全く、呑気なものね桜間依乃里。」

「真理紗、どういうこと?」


 真理紗は依乃里らに呆れるように言う。依乃里はその真意を尋ねる。


「オパールの戦士が未だ桜間依乃里と出会わないのなら、私達が仲間に引き入れるわ。そして交戦協定に基づき、あなた達と敵対してもらうのよ。」

「「「「はい?」」」」


 真理紗はオパールの指輪の持ち主を自分達の仲間にしようとしていた。依乃里ら四人は少し理解に苦しんでいた。


「もしかして、オパールの指輪の戦士を取り合うことになるってこと?」

「そうなるわね。勿論、あなた達が譲ってくれてもいいのよ。」

「誰が!オパールの指輪の戦士は私達の仲間になるんだから!」


 依乃里も真理紗の挑発に乗り、オパールの指輪の持ち主を真理紗らよりも先に見つけることを決める。そんな時、街の人達が突然耳を塞いで倒れ込む。


「何?」

「どうやらまたダークサイレンスが現れたようね。」


 依乃里は戸惑ってしまうが、真理紗はすぐにダークサイレンスの出現を察する。


「せいか~い、ここからは僕が相手になるよ。」


 そして依乃里らの元にスノアが現れる。一同はスノアから発せられる黒いオーラに驚いていた。


「今のスノア、かなりヤバくない?」

「もしかして、前にブラクスの様子が禍々しくなった時と同じ奴?」

「どうやらそのようね。ノイジアスの力が宿っているわ。」


 一同はスノアにノイジアスの力が宿っていることを察する。


「とにかく行こう!」

「はい!」

「オッケー!」

「行きましょう!」

「私達も行くわよ。」

「宜しくてよ。」

「やっちゃおう!」


 七人はスノアを前に戦う姿勢を見せる。


「レオン!」

「ピューマ!」

「イーグル!」

「ゴリちゃん!」


 依乃里、真理紗、芽里音、美李宇の四人はそれぞれのパートナーを呼び出し、指輪を嵌めた右手を翳して獣人の姿にする。そして七人は一斉にフラヴァイスを開く。


「バラ!ダイヤモンド!パソドブレ!」

「スイレン!ペリドット!ベリーダンス!」

「サクラ!ガーネット!日本舞踊!」

「カーネーション!パール!チャールストン!」

「パンジー!アメジスト!タンゴ!」

「マーガレット!アクアマリン!ワルツ!」

「ダリア!ラピスラズリ!サルサ!」


 七人はそれぞれフラヴァイスに叫び、フラヴァイスから音声が流れる。


「Let's Dance!」

「踊るよ!」

「踊ります!」

「踊っちゃうよ!」

「踊ってみせます!」

「踊るわよ!」

「踊りましょう!」

「踊っちゃおう!」


 そしてフラヴァイスから流れる音楽に乗せ、七人と四体のモンスターは踊りだす。次第に一同は戦士へとその姿を変えるのだった。


「情熱の舞姫、ローズレーザー!」

「妖艶の舞姫、ベリースパークラー!」

「美麗の舞姫、チェリーエッジ!」

「軽快な舞姫、レッドライテスト!」

「魅惑の舞姫、ブラックチャーム!」

「優雅な舞姫、グレイスロード!」

「陽気な舞姫、フェスティブレイド!」

「情熱のメロディー、響かせてあげる!」

「軽快なステップに、ついて来られますか?」

「魅惑のムーヴに、酔いしれなさい。」


 七人はそれぞれ名乗り、スノアに立ち向かう。


「さあて、僕に勝てるかな~?」


 七人の戦士と四体のモンスターを前にしても、スノアは余裕綽々な態度だった。


「「「はぁぁ!」」」


 ベリースパークラー、チェリーエッジ、レッドライテストの三人はスノアを囲い、同時に踊りながらスノアに攻撃を仕掛ける。


「ふん!」


 しかしスノアは三人の攻撃を軽々と受け止めてしまう。


「嘘⁉」

「攻撃が効かないなんて!」

「ノイジアス様の力を貰った僕に、この程度の攻撃が通じるとでも思ってるの?今度はこっちから行くよ。」


 スノアは煽るように言うと、大きないびきの騒音を上げる。


「んがぁ~~~~~~!」

「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」」」


 スノアの騒音は衝撃波となりベリースパークラー、チェリーエッジ、レッドライテストの三人は弾き飛ばされてしまう。


「雨幸ちゃん!桐菜ちゃん!風布花ちゃん!」


 ローズレーザーは思わず三人の名前を叫ぶ。


「どうして?私達には騒音が通じないはずなのに……。」

「ノイジアス様の力で力が増幅されているんだよ。このくらい訳ないじゃん。」


 ローズレーザーはスノアの騒音攻撃を喰らってしまったことを疑問に感じるが、スノアはノイジアスの力によるものだと話す。


「レオン、行くよ!」

「ガー!」


 ローズレーザーはパッショネイトレオンと手を取り合い、パソドブレを踊る。


「はぁぁ!」


 ローズレーザーあパッショネイトレオンと踊りながら華麗に回り、スノアに足技を喰らわせる。しかしスノアは手を後ろに回し、余裕綽々な態度で(かわ)してしまう。


「はぁぁ!」


 続いてローズレーザーはレーザー銃でスノアを攻撃するが、スノアには通じなかった。


「エクスプロシオン・デ・フローレス!」


 そしてローズレーザーは無数の薔薇の花びらを舞わせ、爆発を起こす。この爆発にスノアも巻き込まれてしまう。


「よし、やったかな?」


 ローズレーザーはスノアへの勝利を確信するが、スノアは何事もなかったかのように佇んでいた。


「嘘、攻撃がまるで通じてない!」

「クリークを倒していい気になってた?そんなんじゃ僕は倒せないよ。」


 スノアはまたもローズレーザーを挑発するように言う。


「見ていられないわね。芽里音、美李宇、私達で行くわよ。」

「ええ。」

「オッケー!」


 ローズレーザーの苦戦を呆れるように見ていたブラックチャームはグレイスロード、フェスティブレイドと共にスノアに立ち向かう。


「ふん!」


 ブラックチャームはパートナーであるジェントルピューマと共に官能的なタンゴを踊りスノアに拳を突きつけるが、スノアはいとも簡単に受け止める。


「なるほど、確かに戦闘力が上がっているようね。でも何故かしら?いつもは無気力そうなあなたがそこまでやる気を見せるなんて不思議ね。」

「ノイジアス様から力を貰ったんだ。そうしたら不思議とやる気まで湧いてきちゃったんだよ!」


 ブラックチャームはスノアがやる気を出していることに疑問を感じていた。するとスノアはノイジアスから力を貰った際にやる気まで湧き上がったと明かす。


「ダンス・ド・セレナーデ!」

「スラッシュ・デ・フェスティバル!」


 グレイスロードとフェスティブレイドはスノアがブラックチャームとの会話に気を取られている隙を突いてそれぞれのパートナーと共にダンスを踊り、氷の矢と斬撃を喰らわせる。


「おっと危ない!」


 しかしスノアは寸前のところで攻撃に気付き、躱してしまう。


「ダンサ・デ・エクスプロシオン!」


 そしてブラックチャームも間髪入れずにスノアを爆発させるが、スノアは爆発して燃え上がる炎の中から何事もなかったかのように現れてしまう。


「これは、今までで一番厄介な敵のようね……。」


 流石のブラックチャームもスノアの強さに余裕気な態度を崩さざるを得なかった。


「なるほど、ここまで強くなるとはな。これなら戦士共も全滅させられるかも知れないな。」


 ノイジアスは本拠地からスノアの戦いを見て感心していた。しかしブラクスはスノアの様子に違和感を覚えていた。


「ノイジアス様、あのスノアがここまでやる気を出すとは思えません。スノアに一体何を?」

「ああ、力を増幅させる他に快感を覚えさせる闇の力を浴びせたんだ。だがそれは人間でいうところの危険な薬物に近い。あいつもそう長くは持たないだろうな。」

「なっ……!」


 ブラクスはノイジアスの言葉に思わず息を呑んでしまう。


「それじゃあスノアは、奴らを倒してもいずれ死ぬと……?」

「ああ、だが奴らを道連れにできるなら安いものだ。スノアは栄光の死を遂げるんだよ。」

「何と……。」


 ブラクスはノイジアスの考えに恐れおののいていた。そしてスノアは七人の戦士と四体のモンスターをまたもいびきのような騒音による衝撃波で弾き飛ばす。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


 一同はスノアの前に、一斉に倒れ込んでしまう。


「こんなところで……!」


 ローズレーザーは悔しさを噛み締めるが、突然皆の指輪が弾き飛んでしまう。


「え、何?」

「何が起きたのかしら?」


 皆はこの瞬間、何が起きたのかわからなかった。そして皆は元の姿に戻り、スノアの出していた騒音を諸に喰らってしまう。パートナーのモンスター達も元の小さな獣の姿に戻る。


「うっ……、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

「耳が、耳が千切れる~~!」


 皆は街の人達と同じように動くことができなくなっていた。


「あれ、戦士じゃなくなってる。じゃあそろそろ止めと行くね。」


 スノアは戦士達が倒れ込む様子を見て絶好の機会だと感じていた。そして止めを刺そうとゆっくり歩くと、突然スノアの頭上に巨大な影が現れる。


「ん?」


 スノアが不思議そうに見上げると、そこには巨大なお菓子の家があった。


「何あれ?お菓子でできてるじゃん。」

「あのお菓子の家は……!」


 スノアはお菓子の家に少し戸惑うが、風布花は騒音に苦しみながらもそのお菓子の家に見覚えを感じていた。そして皆が騒音に苦しむ中、平然と椅子に座り込んでパフェを食べている女性の姿があった。


「あの人、何でこの騒音の中で平気なの……?」


 依乃里はパフェを食べるツインテールの女性を不思議に感じていたが、左手の中指にオパールの指輪が嵌められているのを確認する。


「あれは、オパールの指輪……?」


 依乃里はその女性がオパールの指輪の持ち主だと察する。そしてスノアの頭上にあるお菓子の家は勢いよくスノアを目掛けて落下する。


「嘘、お菓子の家に潰される!」

「スノア、戻れ!」


 スノアがお菓子の家に潰されそうになった瞬間、ノイジアスが空間に穴を作り手を伸ばしてスノアを引っ張り本拠地に戻す。そしてスノアがいなくなった街には騒音が消え、平穏が訪れる。


「スノアは、一旦退却か……。」


 依乃里はスノアがいなくなったことで安心する。そして戦士達一同は皆、その場で意識を失ってしまう。


「ふぅ……、危なかったな。」


 パフェを食べていたオパールの指輪の持ち主は、平然とした様子で倒れている依乃里らを見つめていた。


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