38発目 全国高等学校不良選手権大会 その3 正直、舐めてたわ
この大会では、一つの高校に一つずつ控え室が用意されている。贅沢なもんだ。まあ、作戦会議はしやすいよな。今の内に入間に詳細を聞いておこう。
「なあ入間。お前はこの大会のことを知ってるんだろ?」
「まあな。」
「試合はどんな風にやるんだ?」
「そうだな・・・毎年違うんだが、基本的には各校から一名ずつ出て争うって感じだな。七人だから先に四勝した学校の勝ちだな。」
「その争う内容は?」
「試合毎に異なるな。スポーツから喧嘩、バンジージャンプとか色々だな。どうやって勝敗を決めるのかは知らないけどな。まあ、お題が先に発表されるから、それに適した人間を出すのが一番だな。」
バンジージャンプでどうやって勝敗をつけるんだ?よく分からんな。でもお題が先に発表されるのか・・・。じゃあ、予め方針だけ決めておくか。
「よし!皆聞いてくれ。お題の性質に合わせて、予め各人の担当分野を決めておこうと思う。もちろん場合によっては変更もあり得る。え~っと・・・まず頭脳系は入間。」
「まあ、俺だろうな。」
「次に単純なパワー系は松谷。」
「分かったぜ!」
「体力系は浜笠。」
「おう!俺に任せとけ!」
「んで、直感が必要そうなものは木間。」
「直感が必要なもの?まあ・・・分かったよ。」
「スポーツ系、特に運動神経が必要そうなのは岸那と春達。」
「分かった、出来る限りのことはする。」
「まあ、水泳とか剣道なら僕の担当だね。」
「俺自身は・・・流動的に動くよ。ま、こんな感じだろ。」
『間もなく試合が始まります。殴獄高校の選手はドーム中央の試合会場まで来てください。』
おっ!いいタイミングだな。
「よし!殴獄高校の力、見せてやるぞ!」
「「「「「「おう!!!」」」」」」
意気揚々と試合会場へ行くと、既に対戦相手は待っていた。酷凄高校の連中だ。全員いい感じに悪そうな奴等だ。こちらを睨み付けている。こちらも負けじと睨み付ける。何だコラ!文句あんのか?
『おおーっ!両者ともいい感じにヒートアップしてますね!ここからは説明兼実況担当の花島栗夫が進行をさせていただきます。なお、解説役にはこの道三十年のベテラン、不良評論家の夢時某さんにお越しいただいてます。夢時さん、宜しくお願いします!』
《はい。宜しくお願いします。》
・・・何だ?このノリは・・・。
『さあ、両校ともに初出場同士の対戦ですが、夢時さん、この試合の見所をお願いします。』
《はい。やはり何と言っても初々しさですね。互いに初めてこの大会に参加しますから、新鮮なリアクションに期待したいですね。》
これは・・・芸人の大会だったかな?
『さあ、早速参りましょう!初めのお題は、バンジージャンプです!』
《おっと!いきなり、これが来ましたか~。楽しみですね。》
出た。疑問のバンジージャンプ・・・。どうやって勝敗を決めるんだよ。
『各高校は選手を一名決めてください。』
「う~ん、どうする?バンジージャンプ。」
「どうやって勝敗を決めるのか分からないけど、高い所に慣れている人間の方がいいでしょ?ここは僕が行くよ!」
「そういえば春達は飛び込み競技の選手だったな。じゃあ、お願いするよ。」
「任せてよ!」
『では、各選手は係員の誘導に従って下さい。』
春達と酷凄の選手は係員に連れられて会場の外へと出ていった。まあ、バンジージャンプだからな。外に実施場所があるんだろ。
『それでは選手が会場に着くまで、残った方に競技の説明をしましょう。バンジージャンプそのものの説明は要らないと思いますので、どのような流れで勝敗を決めるかの説明をします。』
ドーム中央にある大きなモニターに画像が映る。あの・・・崖が映っているんですが。これは?
『舞台はこの会場近くにある崖です!』
《まるで二時間ドラマに出てきそうな崖ですね~。》
『まず選手は崖の高さを推測します。次にその長さに合ったロープを選びます。もちろんこの時、相手が何mのロープを選んだのかは分からないようにします。』
《もし、長すぎたりしたら地面に激突ですからね。慎重に選びたいところです。》
『ロープを選び終わったら足に結んで飛び降りるだけ!その結果、より地面に近い方が勝者となります。』
《一見シンプルに見えますが、難しいですよ!変に躊躇して飛び降りると、崖の側面に激突して大ケガをしますからね。》
『まさに己の目と度胸が試されるんですね~。』
・・・『ですね~。』じゃねーだろ!何だ、この狂った競技は!?ふざけんな!責任者出て来い!お~い、春達、戻ってこ~い!
『どうやら、選手が会場に着いたようですね。』
モニターに選手の姿が映される。・・・二人とも顔が青ざめてるな。無理もない。膝をつけて崖を覗き込んでいる。距離を予測してるのかな?棄権してもいいぞ、春達。こんなアホな大会に命を懸ける必要なんて無い。
『どうやらロープを選び終わったようですね。』
二人とも・・・やるのか・・・。崖の前にロープを結び付けて立つ。そして・・・二人同時に飛び込んだ。うわっ!!見てられねー!思わず両手で目を覆う。
『あーーっと!これは!?』
《恐れていたことが起きましたね~。大変なことになりました。》
う・・・。何が起きた?観客のざわめきが聞こえる。私は手を下ろし、そっと目を開けた。モニターには青ざめながらもロープにぶら下がっている春達の姿があった。良かった・・・無事だった。しかし、わずか上方では顔から派手に血を流している酷凄の選手がいた。恐らく崖に衝突したんだろう。
『わずかながら殴獄高校の方が地面に近いですね。この勝負、殴獄高校春達選手の勝利です!どうでしたか、夢時さん?』
《いや~、春達選手の飛び込み姿勢は美しかったですね~。まさにジャックナイフでした。酷凄の選手は残念でしたが、恐れずに飛び込んだところを評価したいですね。ナイスファイトでした!》
観客の拍手が鳴り響く。こっちは見ているだけでヘロヘロになったよ・・・。下手したら、これがあと六回も続くのか?その内、一回は私だし・・・。ごめん、この大会舐めてたわ。謝るから・・・帰らせて。




