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37発目 全国高等学校不良選手権大会 その2 開会式

「お~!思った以上に広いな・・・。」


 大会当日、私、岸那、松谷、入間、木間それに浜笠と春達を加えた七人は全国高等学校不良選手権大会が開かれる会場の前に来ていた。一応、全国と銘打つだけあって広い会場だ。一通りのスポーツができそうなグラウンドや設備が整っていそうなドーム型の施設など、豪華な会場になっている。大会に参加する選手なのかは分からないが、たくさんの人間が集まってきている。顔ぶれは・・・言うまでもないが、悪そうな連中が多い。


「この大会は品定めの場みたいなものだからな。堅気ではない連中が有望そうなのを引き込もうとして来ているんだろう。」


 入間が周りを見回しながら言う。今さらだが、げんなりしてきた。絶対に関わっちゃいけない世界だろ・・・それ。そう考えてみると、殴獄高校は意外とマイルドな不良が多いことに気づく。まあ、元々スポーツ学校だしな・・・。


「そういえば春達、お前が手に持っているのは・・・刀か?」


 岸那の言葉を聞いた私は、春達の手元を見る。布袋に包まれた棒状の物を持っている。そういや剣術使いって言ってたっけ?


「うん。真剣じゃないけどね。僕の場合、得物が無いと力になれないからね。」

「情けない奴だ。男だったら自分の腕で何とかしてみせろ!なあ、兄弟?」

「だから兄弟と呼ぶなって!まあ浜笠と春達には期待しているからさ。」


『お知らせ致します。間もなく大会の開会式を行いますので、参加される高校の選手は開会式の会場までお越しください。場所が分からない方は、お近くの係員にお尋ねください。』


 もうすぐ始まるか・・・。何だろうな・・・。校長から話を聞いた時は全く乗り気がしなかったが、いざ会場に来てみるとテンションが上がるな。確か、開会式の会場はドームの中だったな。早速向かうとしようか。


 ドームの中は広かった。ドームの中央へ向かう廊下も長い。その廊下には、以前の大会で優勝した高校の写真が飾られている。写真の数から察するに、結構長いこと大会が開かれていたのが分かる。


「おっ!これ女子高じゃねーの?」

「ん?どれどれ・・・げっ!?」


 松谷の指さす写真を見て、私は度肝を抜かれた。『兵神へいしん女子』という学校名が書かれた写真の中央に、見覚えのある顔を見つけた。まだ若いが・・・これは平山先生だ。写真の中央で腕組みをしながら仁王立ちをしている。目力がハンパない。いわゆる全盛期というやつだな。そうですか・・・出てたんですね、あの人・・・。さすが伝説の人物。よく見ると三連覇してるし・・・。


 私達がドームの中央にたどり着くと、中央に石を敷き詰めた舞台のようなものが出来ていた。まるでマンガに出てくる闘技場だな・・・。そこには既に多くの出場者が集まっていて、小競り合いやガンの付け合いが始まっている。観客席も多くの人で埋まっている。こんな大会のチケット、どこで売ってるんだ?


「何か・・・とんでもないことが起きそうな予感がする・・・。」

「おい、止めろよ木間!お前の勘はよく当たるんだからさ!」


 ホント止めてね。お願いだから!そんなお願い事をしていると、舞台の丁度中央、その真上の方から声が聞こえた。


『レディースエーンドジェントルメン!いや、全国の悪ガキども、よく集まってくれた!』


 声と共にゴンドラが降りてくる。そこにはマイクを持った四十くらいの男が満面の笑みで立っていた。


『私はこの大会の主催者、阿久あく人筋ひとすじだ!今年もこの大会を開くことができて嬉しいぞ!ハっハッハ!私も昔はワルだった。しかし、こういう大会が無くてな・・・いつも嘆いていたよ。不良だって、力を発揮できる場があれば世間から爪弾きにされないのに・・・とね。その後の人生で成功を収めた私は、自分が不良だった時の事を思い出した。そうだ、今こそ次代の若者たちのために動くべきだ・・・。だから私はこの大会を開くことにしたのさ。』


 そうですか・・・次世代の若者のためですか。その若者たちが反社会勢力にスカウトされるんですけど・・・この大会のせいで。


『さて、年寄りの長い挨拶は嫌われるからな。早速、この大会の流れを説明しよう!この大会の参加校は全部で六十四校。それぞれの高校が、あるお題に沿って一対一で争うトーナメント方式の大会だ。組み合わせは、私が独断と偏見で決めた。苦情は受け付けない。ちなみに、お題は試合が始まってからのお楽しみ!さあ、全国高等学校不良選手権大会の始まりだ!』


 う~ん、何というザックリとした説明だ・・・。試合の流れは分かるけど、中身がサッパリ見えてこない。一日で決めるのか?殴り合いとかだったら、きついだろ・・・。まあ、あまり悩んでも仕方がないか。ケセラセラ、なるようになるさ。


 こうして、全国高等学校不良選手権大会は始まった。この時、私はまだ知らなかったのだ。この大会がどれくらいおかしい大会であるか、ということを。

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