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25発目 夏だ!海だ!肝試しだ! 前編

 燦々と降り注ぐ太陽。それを反射して煌めく青い海。そして目の前に広がる白い砂浜。ああ、なんという爽やかな風景。そう、私達は海に来ている。私達というのは、例の野球部のメンバーに岸那、松谷、入間、木間、それに薫ちゃんと優くんだ。いや~それにしても……


「お~い、凛堂!そんな格好してないで海に来いよ!」


 海の方から催促の声が聞こえる。和田だ。あ~ん?聞こえんな~。今の私の服装は、トレーナーにハーフパンツ、薄い上着を肩に羽織り、頭の上には麦わら帽子を被っている。まさに完全体だ。紫外線対策バッチリだ。クリームも塗ってきたぞ!もちろん、海には入りません。パラソルの下から動きません。


「俺はいいよ。ここで荷物の番をしてるから!」

「海に来たのに!?」

「ほら、俺って紫外線浴びすぎると溶けちゃうから……」

「嘘つけ!思いっきりマウンドの上で投げてたじゃねーか!」

「いいんだよ!俺は。ここで薫ちゃんと遊ぶの!」


 岸那の妹、薫ちゃんは生まれつき足が悪い。『海にどうしても連れていってやりたい』という岸那の願いから、今回の企画はスタートしてたりする。だから薫ちゃんを一人にしちゃダメ!まあ、岸那もいるんだけどさ。


「そこまで拒むとは、凛堂……お前、まさか……」


 うっ、さすがに強引すぎたか?和田がこんな目をするとは……。和田の癖に生意気だぞ!


「凛堂、お前、ロリコンだな?」

「はあ!?」

「そ、そうなのか?凛堂?」

「お前もそんな目で見るな!岸那!」

「お兄ちゃん」

「何だ、薫?」

「ろりこんって何?」

「こら、タコ!お前が変なこと言うから、薫ちゃんの大事な記憶容量にいらねー情報が入っちまったじゃねーか!」

「タコじゃないですー!スキンヘッドですー!」

「何やってんだ、お前ら?メインが来たぞ。」


 入間があきれ顔で立っていた。メイン……そう、今回は私達だけではない。


「お待たせ致しましたわ!」

「「「「「「「「おおーーーー!!!」」」」」」」」


 そこには一面の花畑があった。いや、『華』畑と言うべきか。スタイル抜群の乙女達が各々水着を着て立っていた。私達は今回、桜国高校野球部のメンバーのうちの五人と一緒に海に来たのだ。練習試合をした時に、キャプテンの夏蓮と連絡先を交換していたのが活きた。岸那の願いを叶える為に相談したところ、こうなった。意外と親睦を深めているな、私達は。


「ぼ、僕だって……胸さえあれば……」


 はっはっは、面白いね優くんは。君は一体、どこを目指そうと言うのかね?私は気を取り直して夏蓮のところに行った。


「済まないな、車まで出してくれて」

「構いませんわ、凛堂さん。三条家の家訓にもありますわ。『弱き者には手を差し伸べて助けよ、強き者は闘い、その後に友となれ』友の為に当然のことをしたまでですわ」

「うん。でもお礼は言わせてくれ。ありがとう」

「そ、そう言われるのは、悪い気はしませんわね」


 私は知らなかったのだが、三条家は有名な資産家らしい。移動手段を持たない私達に運転手付の車まで用意してくれた。本当にありがたかった。


「おい!水着大会にボディービルダーが一匹混ざってるぞ!」

「違う。ボディービルダーは一人だ」


 お前ら学習能力が無いな、和田、雷同!後でビーチフラッグ百本な。それにしても五里はゴリさんにそっくりだな。双子?


「うおーーー!!松谷くーーん!!」

「や、やめろーー!それ以上、俺に近づくんじゃねーー!!」


 うん、この状況……前にホラー映画か何かで見たな。いやー、松谷くんは意外とおモテになるようで。


 その後、海で泳ぐもの、砂浜で日焼けをするもの、あと追いかけっこをするもの(一組)に別れることになった。もちろん私は泳げないので日焼け組に入った。私は焼かないけどね。パラソルの下で海を眺めていたら、桜国生の子に声をかけられた。


「凛堂さん。サンオイルを塗ってくれないかしら?」


 茶髪をポニーテールに結い上げた女の子……確かショートを守っていた……


「あっ、自己紹介がまだだったわね。私は穂高(ほだか)(めい)よ」

「あ、ああ。俺は……」

「凛堂葵君でしょう?桜国では有名人よ」

「そうなのか?」

「ええ。練習試合の時に顔を知られて、この間の大会でフィーバーした感じだったわ。ファンクラブもあるし……」

「そんなんあるの!?」


 何だファンクラブって。女の子にモテても、ちっとも嬉しくないぞ。いや、人に好かれるのは悪い気はしないが……。


 サンオイルを塗る、というのは男としてドキドキするシチュエーションかもしれない。女性の肌に触れる機会がそう無いからだろう。私はいつも触っているから……特に感じないな。しかし、男にならともかく、比較的薄着なのに女ですら私の正体に気づかないというのは……。私が少し落ち込みながらサンオイルを塗っていると遠くの方から五里がやって来た。気を失った松谷を小脇に抱えている。それはまるで熊が鮭を取ってきたかのようだった。

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