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16発目 ドキッ!不良だらけの目指せ、甲子園!乱闘もあるよ その4 これが……超高校級か

 桜国高校との練習試合当日……つまり翌日、私達は桜国高校の校庭にいた。とっくに桜は散っていたが華は咲き乱れていた。ここは日本でも有数の、綺麗どころ集まる桜国高校だ。美人がいるわ、いるわ。相手の野球部を黄色い声援が後押しする。本当なら……私も……いや、それ以上はいけない!止めておこう。普通なら相手野球部員が羨ましいところだが、残念ながら野球部員も女だ。特に感じることは無い。それに引き換え、うちの応援は……


「頑張れ~、兄さ~ん!!」


 木間の弟くん……優くん一人だけ……。でも、チアリーダーの姿だ。少し華やぐ。って、オイ!


「おい、木間……あれ……」

「何も……何も聞くんじゃねえ……」


 あの衣装は自前かな?お姉さんも、ちょっと心配になってきたよ?試合のことは木間から聞いたのかな?


「おい、誰だよ?あのチアリーダー?誰かの彼女か?」

「やめろよ、阿部!彼氏がいないと思った方が夢があっていいだろ?」


 恐いお兄さんがいるし、どのみちあの子は男の子だからやめておけ、お前ら。そんなアホなことを考えていると相手チームから一人歩み寄ってきた。


「ご機嫌よう。私は三条(さんじょう)夏蓮(かれん)。本日はお手柔らかにお願いしますわ」


 相手チームのキャプテンかな?スラッとしたロングストレートの美人で私と違って出るとこがしっかり出ている。う~ん、大和撫子だな。恐らくだがヘッドスライディングは出来まい!いや、負け惜しみじゃないぞ。お互いにしっかりと握手する。


「凛堂葵だ。こちらこそ、よろしく!」


 私は相手チームを見回す。うん、可憐な乙女しかいないな。


「おい……女の花園に一匹だけゴリラが混ざってんぞ!」

「違う。ゴリラは一頭だ」


 お前ら、こそこそ言ってるがバッチリ聞こえているからな。和田と雷同、後で尻バットだ。確かに体格良いのがいるけど乙女に対してなんてこと言うんだ!


「プレイボール!!」


 試合が始まった。殴獄高校の先攻だ。さあ、気合い入れて行くぞ!


 一番 センター   和田

 二番 ショート   凛堂

 三番 サード    松谷

 四番 ファースト  アブドーラ

 五番 ピッチャー  岸那

 六番 キャッチャー 阿部

 七番 レフト    木間

 八番 セカンド   雷同

 九番 ライト    入間


 試合はかなりの接戦となった。相手ピッチャーは右腕、キャプテンの三条。急速はそれほどでもないが、切れるスライダーとフォーク、それと抜群のコントロールを誇る。私達はそれに翻弄されてしまい、五回までヒット三本に抑えられてしまう。一方、桜国高校は四番の五里(ごり)に特大場外ホームランが飛び出したものの、上手くヒットを繋げられず二点止まりであった。勝負は0ー2のまま、終盤戦へと突入していった。そして……


「よし!下位打線とは言え、ラスト九回が勝負だぞ!」

「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」


『七番、レフト、木間くん。』

「よっしゃ!や~ってやるぜ!」


 三振


「くっそ~!見えねえ!」


『八番、セカンド、雷同くん。』

「ハッ!?逆転の発想で、目を瞑れば当たるかもしれん。」


 2ボール1ストライクの四球目、甘く入ったストレートを左中間に弾き返すツーベース。よし、よくやった!


「し……信じられん。自分でも驚きを隠せない」


『九番、ライト、入間くん。』

「このピッチャー、追い込んだ時に内角に来る確率八十五%。」


 三球三振


「ふっ、予想通り!打てないけどな!」


 入間……やっぱり、お前には頭脳を期待するわ。これで2アウトか……。頼むぞ、和田!


『一番、センター、和田くん。』

「なんとしても塁に出てやる!」


 ショートへのボテボテの当たりだが、根性のヘッドスライディングでセーフ。


「こんなこともあろうかと、頭の空気抵抗を減らしておいたのさ!」


 うん、絶対関係ない。でも2アウトながらランナー、一・三塁。そしてバッターは……


『二番、ショート、凛堂くん。』

「私だーー!!」


 2ボール2ストライク、追い込まれた。何とかファールで粘り続けた七球目、外角低めのスライダーを逆らうことなくライト前に弾き返した。殴獄高校、急造チームでの初得点!


「やった!」


 思わずガッツポーズ。これで1ー2。2アウトながら一・二塁でクリンナップだ。バッターは……


『三番、サード、松谷くん。』

「俺に、任せとけーー!!」


 今日3三振といいとこなしの松谷か……。でも、当たればデカイ。私は一塁から声をかける。


「松谷!お前はパワーが有るから当たればデカイぞ!(当たるとは言ってない)」

「松谷が打った場合、長打になる確率九十五%。(当たるとは言ってない)」

「松谷!同じ霊豪中出身者としての実力、見せてくれ……るといいな。(当たるとは思ってない)」

「お前ら結構酷いな……」


 3ボール2ストライク。フルカウントだ。ランナーは自動スタートの状態。ピッチャーの三条も大分疲れが見える。運命の六球目!汗で手が滑ったのか、ボールはスッポ抜けた。


「もらったーーー!!!」

「え?」

「あっ!?」

「おおー!!」

「……うそ……。なんつーパワー……」


 文句なしの場外だ。勢いよく飛び出して綺麗な放物線を描き、そして学校の外……場外へと消えていった。……バットが。


「ストライク!バッター、アウト!ゲームセット!」


 負けた……。桜国高校相手に1ー2の惜敗だ。悔しいなあ……。まあ、この悔しさをバネに本番頑張るしかないか。


 試合が終わった後、一応報告の為、校長室へ向かう途中のこと。廊下を歩いていたら教頭に呼び止められた。


「今、校長は居ませんよ。」

「え?どこに行ったんですか?」

「病院ですよ」

「病院?持病か何かですか?」

「いいえ。何でも校長室に居たら、急に野球のボールが窓から飛び込んできたみたいで怪我をしましてね」

「……それで、病院に?」

「いや、その怪我は保健室で治療したようなのですが、部屋に戻ったら今度は金属バットが飛んできたみたいで……」

「…………。」


 酷く個人的な意見を言わせてもらえば、松谷はハンマー投げをやれば超高校級として絶対いいとこまで行く。梅雨が終わり、熱い夏がやって来そうな、そんな空を見ながらそう思った。

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