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12発目 どういうことだってばよ!?

 私は体育館へと呼び出された。私と条定の二人だけだ。活気のない体育館はどこか不気味だな……。外に降る雨の音だけが聞こえる。こんな人気のない場所に呼び出したということは用件は一つしかない。決闘だ。肝心の条定はズボンのポケットに手を突っ込んで背中を向けたまま黙っている。こうしているだけで汗が出てくる。気温は低いはずなのに……。いつ……仕掛けてくる?


「凛堂、お前はどう思う?」


 条定はこちらに振り向きながら言った。は?何を?


「な、何を?」

「この学校だよ。この学校のこと、どう思う?」

「どうって……典型的な不良高校だろ。喧嘩は絶えないし、逮捕されて退学になる奴も後を絶たない。通っている俺が言うのもなんだけど、最悪な学校だ」


 ホント最悪……。無事平穏に過ごさせてよ。そしたら私は他に望むことなんて無いんだから……。


「そうだな。俺もそう思う」


 条定は無表情だ。一体、何が言いたいんだ?


「だが昔はここまで酷くはなかったんだぜ。そりゃ、多少は柄が悪かったかもしれねえ。でも、隣の桜国に負けないぐらい設備の整ったスポーツ学校だった」


 あ、それは感じた。今いる体育館もそうだけど、校庭とかプールとかデカイし器具も無駄に充実している。部活動は……してるのかな?この学校……。あったとしても暴力沙汰ですぐ出場停止になりそうだけど。


「今、この学校は大きな分岐点に立っている」

「分岐点?」

「そうだ。このまま不良高校の道を行くか、それとも違う道を行くのか……二つに一つ!」


 おい!随分と大雑把な二択だな……。段々、こいつがよく分からなくなってきたぞ。


「凛堂……お前はこの学校のトップになりたいか?」

「……別に……どうしても、って訳じゃない。俺は平穏に過ごせれば、それでいい」

「それは今のままでは無理だな。この学校を変えないことにはな。この学校では、力が全てだ」

「……なら、俺が実力で切り開いてみせる!」

「できるのか?お前に……」

「できるかどうかじゃない。……やるんだ!」


 私は祖母の為にも、そして自分自身の為にも、この信念を曲げる訳にはいかない!条定、たとえお前が相手でも……退くわけにはいかないんだ!退学するわけにはいかないんだ!


「……いいんだな、本当に。取り消すなら……」

「くどい!」


 こちらの決意は固い。取り消すことなんてあり得ない。条定は両腕を組んで何かを考えている様だったが、少しすると腕を解き静かに言った。


「そこまで言うなら仕方がない。今日からお前が生徒会長だ!」

「……は?」

「まさか一年のお前がそこまで学校のことを心配しているとは思わなかった。お前なら、俺は安心して後を託せる」

「おい、ちょっと!」


 待てよ!何だ、その満面の笑みは!?顔の凄みが完全に消えてるじゃねえか!


「何で俺が……」

「だって最後の一年間はのんびりするって決めてんだもん」

「ふざけんな!俺だって三年間のんびり過ごしてーんだよ!」


 何が『だもん』だ!適当すぎるだろ、お前。


「とにかく、後は任せたぞ凛堂。風紀の取り締まりから廃部寸前の部活動の救出に至るまで、やることてんこ盛りあるからな!大丈夫、校長にはちゃんと伝えておくから!」

「おい、条定……」

「ヒャッホー!薔薇色の一年間が俺を待ってるぜーー!」


 ……元気よくスキップしながら出ていってしまった。待て!さっきの発言、取り消させてくれーー!さ……、さ……


「最悪だ、この学校ーーーーーー!!!」


 私の叫びは体育館によく響いた。後で校長に確認したが『頑張ってくれ、新生徒会長!』とか言われた。もうダメだ。オシマイだ。

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