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5-5話 経営は楽勝です 魔窟店長談



「ケチ!そんなにブラックだと部下は離れていきますよ」

「給与上げろ」

サガンさんとウエイターが一緒になって店長にブーブー文句を言うが肝心な店長は「あんまり言うと親父にチクるぞ」と言うとまた2人とも黙ってしまってなんだかこの店の力関係が全て分かって改めて店を出すって大変なんだなと思った。



「やっぱり凄いですね。みんな店とか持って」

と言うと店長が

「美島さんの知り合いもお店開いてるの?」と聞かれ「はい」と頷く。



「一人はケーキ屋の店長してたり、ほかも店でお菓子作ってますね」

専門学校を卒業し別々のところにみんな就職した。



しかし、パティシエは毎日が戦場だ。

朝は早く夜が遅い。



私も腰を痛めたり腱鞘炎になって辞めてしまった。



そして、作る側から好きなクッキーを販売する方に仕事をシフトチェンジした。



私には菓子職人には、ましてはクッキー屋さんなんてなりたいなんて思っちゃいけなかったんだ。



だからクッキー作りは趣味で続けるだけにした。



手作りなんて引かれるかなと思われていたがバイト先のみんなはお菓子好きなのか同じ趣味の子もいて喜んでくれた。



「私は店とか無理だな」

店長は素直に凄いと思う。自分には無理だもん。



そう呟くと

「うーん、そうかなあ。うちだってスイーツ充実させたいとは思ってはいるんだけどね」



たしかにメニュー表のデザートは料理に比べると数が少ない。



「クリスマスにはクッキー配っただろ。また作れば?」とウエイターが提案する。



「あれはお客さんがまだ少ない時だから出来たの!」と店長が言うと

「怠惰だな」とウエイターがツッコむと、何故か自分がズキっと傷つく。




まるで自分に言われたみたいだ。

「どんなクッキーだったんですか?」

とサガンさんが聞く。



「アイシング。でもなかなか苦戦したんだよな」



出す前にも作ったけど絵心ないと難いと店長が言っていた。



確かに初心者にアイシングは難易度高い。



「アザランとかあると少し装飾は楽になりますよね」と話す。



「だよなー。でも来年は無理かもなあ」と店長はアイシングクッキー作りにかなり苦戦したのか来年はクッキーではなく別のにしようかなと言い出した。



なんだかそれは悲しい。



「あ!じゃあアイシングより地味だけどこんなのはどうですか?」

と自分が今年クリスマス用に作ったクッキーを見せる。



すると三人はスマホを見ると全員驚いた顔して画面を見る。



「登録者一万人!?」

と私のアカウントを見ると皆びっくりして

「お姉さん、是非ウチで働いて下さい」と言われ

「え!?」と予想外の出来事に驚いた。



「無理ですよ!」と言うがどこか嬉しく思う自分がいた。



しかし

「お前雇う金ねーだろ」とウエイターが言うと

店長は「分かってるよ。クソ〜!」と心底残念そうだった。



(なんだ、そうだよね。やっぱり私に店なんて無理)



「無理ですよ。私がお菓子作りとか。一回辞めてるし・・・ 」



自虐ぎみに呟くとふとウエイターが 

「『主が人の子らを、意味なく、苦しめ悩ませることはない』好きでやってる事を店でやるだけだ」と言葉をかけてきた。



「しゅ」が何なのかは分からないが、励まされたらしい。



「でも、作るのは好きだけど自分が店とか向かないんです。儲からないと思うし・・・ 。店長みたいに上手くやれません」



恥ずかしい。

でも「好き」で食べてゆく自信がない。



ケーキ屋でも大変なのに、辞めたのにクッキーピンポイントなんて売れる訳がない。



結局自分は失敗が怖くて夢から逃げてるだけなのだ。



そう言うと店長はフランクな口調で斜め上の事を提案した。



「いや、店無くてよくね?」

と言われぽかーんとしてると



「こんだけ人気なら委託販売とかすぐ売れるでしょ?」と言われたがそういうものなのだろうか。



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