4-5話 ウエイター デモンの過去話5
すぐさまそれがリリムと噂になった男と直感し
「退け!」と我先にとリリムの元に向かおうとする。
相手は急な王子の登場に驚き言われるがまま退く。
それをリリムが勘づいて「デモン!どうして?」
と久しぶりの来訪に驚いたのか戸惑っているらしい。
「すまない。連絡が遅くなって!手紙にも書いたが父上に婚約について打ち明けるつもりだ」
しかしリリムは
「手紙?」
と何の事だか理解していないようだ。
「届いていないのか?」
デモンの問いに頷き終始落ち着きがない表情を浮かべた彼女の目線はずっと下を向いている。
「リリム、君の相手は王子だったのか?」
何も聞かされていないバラムは動揺を隠しきれず往生する。
リリムが答えられずにいるとバラムは身を引かなければいけないと思ったのか乗ってきた馬車に引き換えそうとする。
しかし
「待って!」とリリムがバラムに声を掛け双方共驚く。
が尚、リリムは何も言葉にできないと言った表情にデモンは気づいてしまった。
「アイツの方がいいのか?」
絶望した声でリリムに問う。
しかしリリムは下を向くばかりだ。
その姿が更にデモンを絶望に味合わせる。
ヒュッ・・・ 。
とリリムの横で音がしたかと思うとすぐ後で爆破音が聞こえた。
中から使用人の悲鳴がわずかに聞こえた。
デモンがリリムの屋敷に攻撃魔法を放ったのだ。
これにはリリムもバラムも驚きリリムを安否を優先するサガンがデモンを制止する。
「王子、お辞めください!」
「五月蝿い!!」
バラムが目の前にいる事に躊躇せず攻撃魔法を撃つ。
バン!!と衝撃音がした。
攻撃が馬車に命中したのだ。
視界の砂埃が引いて横たわった人影が見えた。
「誰か、彼を救護して!」
リリムが必死にバラムに寄り添い屋敷の使用人に助けを求める。
今しがた冷静自分のした事にデモンは後悔したが遅い。
憎しみで訴えるようなリリムの瞳がデモンを逃がさない。
酷いと嗚咽しているのか言葉にならないのか恨み言を一番聞きたくない言葉が彼女によって聞かされる。
終わった。
そう悟るとデモンはその場から姿を消してしまった。
向かったのは誰の領地でもない荒地だ。
怒りの向くまま魔力を使い破壊して破壊して破壊する。
そうして全てその場所を滅ぼすと荒地は更に悲惨な姿になる。
デモンは城の自室にひっそり戻り出てくる事はなかった。
「サガン、アイツがこもってどれくらい経つ?」
城では王がサガンに質問をしていた。
「数ヶ月くらいかと」
そう報告すると
「やはりアイツには何もかも早すぎたか」
魔王は意気消沈し、城全体が重々しい雰囲気を増し
王位継承の話は立ち消える事となった。
「王子」
サガンが自室にいるデモンを呼ぶ。
しかし返事はない。
デモンもまた絶望に苛まれ自分の殻に篭る事となった。
不祥事。
城の皆ははこれからの魔界の体制を一番に気にしていた。
数ヶ月後ー。
「入るぞ」
デモンの返事を聞く事なく魔王は自室に転移魔法で入って来る。
「・・・ 父上」
勝手に入ってくるな。
なんのつもりだ。
色んな言葉が頭に出て来るが何も親子で話す事などない。
そうタカを括っていると
「お前の今後が決まった」
(幽閉か?)
デモンはベッドから起きないまま魔王の言葉に耳を傾ける。
「っとその前に」
ドン!!
と音がすると身体に衝撃が走る。
魔王が貫道して自分を撃ったと思ったがどうやら身体の感覚が変わっていく事を覚える。
そして自分から煙が抜けていくのが見え何もかも弱まった感じがしているのだ。
「父上!何をしたのです!?」
そう聞くと魔王は
「お前の魔力を預かった」と訳の分からない事を話し「はあ!?」
何してくれるとデモンは抵抗する。
「正攻法でお前に勉強させたのは間違っていたらしい」
(説教か!)
デモンは歯が立たない事に苛立ち何とか抵抗しようとする。
「お前が何故あのような事をしたのかは聞いている。言っただろう。寝首をかかれるぞと」
「どうゆう事です!?」
「お前を嵌めた奴がいたと言っている。
アイツも魔界から追放したよ」
「なんの事です?だったら私がそいつを倒します。
どこにいるのです!?」
「お前は自分の事だけ気にしろ。
いいか。お前の魔力は今ゼロだ。お前を今から下界に堕とす」
「!」
追放か。
遂に王位継承も魔王に認められる事もなく魔界からも追いやられる。
(クソが!)
「なに、一時だけだ。時期に返す!」
そう魔王の言葉を聞く前に魔王はまた魔力をデモンに放つ。
するとデモンはたちまちその場から完全に消え去ってしまったのであった。
視界が暗い。
(これは悪い夢だ)
それはどこからどこまでの時間か分からないがデモンは僅かな意識の中そう思っていた。




