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4-4話 ウエイター デモンの過去話4


それからまたふた月も経たない内、周りの評判リリムが自分でも変わったと感じる事となった。



ナアマから言われたのだ。



「貴方ったらやっと結婚する気になったのね」

そう言われ最初はナアマが何を言っているか分からなかった。



しかし彼女が言うにはバラムと自分にそう言った噂が経っている事を聞き驚いた。



たしかにあれから社交界に行くとバラムにダンスを申し込まれる回数が多いと感じたり二人で抜ける事もあった。



それを見て皆興味深々と見られていた気もするが全てそれはバラムに向けられているものだと感じた。



「勘違いよ」とナアマに言ったが「謙遜しないの。

逆に嫌味よ」と言われたら何も言えない。



(確かにバラムは素敵。でも私にはデモンがいる)

ナアマにも誰にも打ち明ける事は出来ない。



しかし恋の相談くらいはしたいもの。



その手の話が好きな彼女だ。



きっと何か良いアドバイスをくれるはずだ。

「ねえ、ナアマ。相談があるんだけれど」

そう言うと身分や名前を隠し恋人の私情が忙しくなったタイミングで連絡が途切れたと話すと

「貴方、それは・・・浮気されたんじゃないの?」と指摘されたが否定する。



「いいえ。結婚を前に彼は頑張っているだけよ」と

意見する。

「だとしても音沙汰がないなんてあんまりよ。

それにしても魔具を作れる方なんてどれだけの貴族なの。教えてくれないなんてずるいじゃない?」と余計ナアマに取り合ってもらえずまた拉致が開かない不安に襲われる。




たしかに手紙すらないなんておかしすぎる。



それとも彼はそこまで王に厳しく拘束されているのだろうか。



一度気になりメイドに聞くも届いてない事を告げられ落ち込む。



しまいには「心配しなくてもバラム様はまたリリム様を呼んでくださいますよ」と社交界の招待状を自分が待っていると勘違いされまでしまった。



近頃はバラムのおかげで社交界も断然楽しくなった。



しかし肝心な待ち人からの連絡が完全に途絶えたてしまった。



「疲れた・・・」

そんな弱音をこぼした自分に一番驚いた。



だが、拉致が開かない不安は一向にリリムを苦しめる。



誰がこの孤独や不安を分かってくれるだろう?



一人だけある人物が浮かんだ。



(バラム)



彼なら私にいい助言をくれるに違いない。



そう考えリリムは自分の心の内に気づかぬまま次の社交界を待ち遠しいと感じながら招待状を待つのであった。



同時期ー。

城ではデモンが旧友のサガンに詰め寄っていた。



「頼む。封をくれ!」

魔王側近の息子を呼び出し、久々にデモンに声を掛けられたサガンは何事かと狼狽えた。



「なりません。王に命じられてます。そういう事は父さ、いえ!父に言って下さい」とサガンは自分の父に許可を取れと注意する。



家庭用電話は貴族には普及したが、城には広間と王の執務室しかない。




王の命令で大事な時に問題を起こさせまいとデモンと仲間との連絡は全て側近達を頼るように言われたのだ。



これじゃあ囚人じゃないかと哀れに思うが命令は守らねばならない。



「許可は貰ってある」

そう言うと「では誰に送るのです?」と聞くと言葉に詰まっているようだ。



(このお方はそこまで間抜けであっただろうか?)

昔からの幼なじみでもあり部下でもあるサガンは久しぶりのデモンのワガママを疑問に思った。



「分かりました。じゃあ私が手紙を見ても良いですね」

と言うと

「お前流石にそれはないだろう!」と見た事ない表情で動揺している。



まさか、これはそうなのだろうか?

「誰か良い人がいるんですね」と諭すように問う。



「・・・誰にも言うな」と顔を紅くし下を向く王子を見ると本人には言うまいが自分事のように嬉しさを感じた。



「分かりました。でも戻って来る事は期待しないで下さい。貴方宛ての手紙は父さんが目を全て通してるので手紙にも事情を書いて返事はしないと約束させて下さい」

そう承諾すると「そうか・・・」と肩を落としていた。

「その分手紙に想いを書けばいいじゃないですか。ああ、でも身分を隠すなら宛名は書けないな。蝋印も押せませんね」と二人試行錯誤をしどうしたら意中のお嬢様に手紙を渡すか話し合う。



こうしているとサガンは悪戯に付き合わされた楽しく少し苦い子供時代に気持ちが返り悪戯心が疼き出した。



「ねえ、協力はしますから中を見ても?」と悪戯っぽくねだるが「バカ」と言う一言で一蹴されてしまった。



「しかし、そんな相手がいるなら王に言ったらどうです?以外と今の貴方なら快諾するのでは?」

王位継承となると婚約話も多くなる。

それは王子もサガンも肌で感じて分かる。



本当はもっと王に認められ制限がない状態でリリムを妃にと切り出したかったが初めから信用されていないから今があるのだ。



しかし、そう悠長な事を言っている場合ではない。

リリムと連絡が途絶え数ヶ月。



運が悪ければ終わってるものと考えられてもおかしくない。



本当は今回の手紙を送って届いてリリムに王に打ち明ける了承を貰い、婚約したい令嬢がいると伝える手筈だったが返事を貰えないとなると順序なんて優先している場合じゃあない。



早速手紙を書き直し使いに渡す。



住所とリリム宛ての名前だけが記された手紙。



しかしそれは彼女の手に渡る事はなかった。



次の社交界、リリムは悩みをバラムに打ち明ける事にした。

デモンの名と身分を伏せて。



そうするとどうした事かバラムは落胆した様子だった。

「どうしたの?」

と問うと

「すまない。君に恋人がいないはずがないのに想い上がっていたみたいだ・・・」

そう言葉をこぼされリリムはバラムの好意に気づいてしまった。



(どうしよう)

さっきまでデモンの事で悩んでいたのに、バラムに想いを告げられどこかに嬉しさを感じた自分に罪悪感を覚えた。



「僕なら君を不安にさせない」

そうダンスとは違った意味で抱き寄せられると今にも全部の不安をバラムに拭って欲しかった。



しかしこのままでは彼の求愛を受け入れる事になる。

(冷静にならなきゃ!)

しかしさっきまで悩みとはまた違った悩みがリリムに芽生えたのだった。



「遅い」

デモンが王の遣いからの仕事に区切りがついたタイミングでサガンの仕事中を捕まえ、人がいない事を確かめるとサガンは

「だから返事は期待するなと言っているでしょう。

不安なら早く魔王に令嬢との仲を乞うのです」

そう言ってサガンは中庭の通路から仕事場に戻ろうとするがデモンは逃すまいと追って来る。



「早く戻らないと貴方怪しまれますよ」


サガンは子供を叱るように言う。


しかし、丁度先の曲がり角で当番が終わった兵士の噂が聞こえてきた。



「このところ訓練は厳しいな」

「しょうがねえよ。戦争じゃない。戴冠式に備えて

だろうよ」

「にしたって早すぎはしないか?」

と訓練について思う事があるらしい。


「って事は結婚式もだろ?いいよなあ」

話題が逸れ、仕事から恋の話になるがそこは女と違い男しかいない。



したがって「ああ、俺もヤリてー」と一人が話すとワッと笑いが起こり「いいよな〜。城の外の奴らは」

「馬鹿!俺らだって一応下級貴族だぞ」

「出会いの場が欲しいって話だろ。社交界ばかりで羨ましいったらないぜ」

「でも俺達にダンスが出来るか?」

そう一人が言うとまたいやいやと皆首を横に振り笑いが起こる。



「アイツら全く、早く戻るよう言わないと」そうサガンが衛兵を注意しようとすると一人の噂好きが

「なあ、今社交界ではバラムとリリム嬢の噂が熱いらしい」

と話し出した。



その名前が耳に入るとサガンとデモンは固まった。



「なんでも成り上がった奴の息子がリリム嬢を気ににかけているらしい。何が面白いかってバラムは急に財を成してと男どもは僻み、女は女でリリム嬢にある事ない事噂をして社交界の噂は怖いよな。まあ噂だけどな」



そう聞いてデモンは居ても立っても居られない。

すぐさま転移魔法を使いリリムの元に向かう。



「あ!貴方この後魔王直々の仕事があるでしょう!?」

サガンの呼びかけを他所にデモンはリリムの屋敷へと急ぐ。



今は変装もしていないが、気が気ではない。



正面玄関から屋敷に向かおうとすると先客がいた。



バラムだ。


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