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4-2話 ウエイター デモンの過去話2




「デモン!」

自分を見つけては抱きついてくる彼女がいた。

「リリム」

腕を回して抱きつく彼女につい目が細くなってしまう。


数ヶ月前、彼女は魔界の令嬢の彼女とデモンは街で出会った。



デモンは忍びで訪れている時、下世話な輩から彼女を助けたのがきっかけで知りあった。



王子という身分を隠していたが、礼をしたいという彼女の善意をくんで街でご馳走様になったのがきっかけで彼女の事が気になったのだ。



最初、デモンは偽名を使っていた。



彼女の使用人にバレないかヒヤヒヤしていたが、まだ王の座についていないからか、世間に顔を見せていないからか思った以上に怪しまれる事はなかった。



しかし、街へ忍びでいくのが気晴らしだった自分と彼女とはたまに街で出会い、彼女に更に惹かれていき、ついに自分の初恋というものに気づいた。



身分を隠し想いを伝えたところ、告白を受け入れてもらった。



自分は次期魔王。



言い寄ってくる女はごまんといる。



しかし、王家ともなると政略結婚を将来命じられる可能性が高い。



リリムが平民なら仲は引き裂かれるだろうが、彼女のは伯爵令嬢。



国の姫なら敵わないが魔界は一つしかない。


それは、よく噂になる「隣国の姫」になる存在がないという事!



ならばリリムだって妃候補としては十分な存在だ。



早いうちに両親に引き合わせれば、公認になりゆくゆくは彼女を妃にする。



そう思い正体を明かしひと月が経つ。



最初は驚き、初めは冗談だろうと笑われたが、ことごとく生い立ちを話す。



が、それだけでは信憑性が足りないらしいと信じて貰えず、彼女も王家だけが継ぐ魔力で隠していた角を見せる。



それも魔力で変えた角と一向に疑われた。



それならとリリムに魔力で変装させ、一日限りの家庭教師のふりをさせ城の自室に来てもらいやっと信じてもらった。



あまりの出来事に彼女は緊張していたのか顔色が悪かったが・・・。



そうやって真実を知ってもらった以上、両親に紹介したいと打ち明けたがリリムの「しばらくはまだ待って」と付き合って間もないからと二人の時間を邪魔されたくないという彼女の無邪気な願いを聞き入れるのであった。



彼女も自分も悪魔なのに、可笑しい事この上ないがそれが不思議と嬉しいと感じる。



「今日もその格好で来てるのね」

父親ゆずりではあるが、自分にはヤギの角がある。



先端はアメジストの様に光沢があり、ナルシストといえばそれまでだが自分の容姿の中で一番に気に入っているパーツだ。



しかし、それを見せてしまえば一部の者は自分が王子と気づくであろう。



こうして恋人の元へ向かう時だけは、鬼みたいな短い角に変化させて彼女と落ち合う。



「元の姿で会うなら結婚しなきゃだな」と意地悪げに彼女に言うと「だから、しばらくはこのままって言ったじゃない」とリリムは否定する。



「あ、違う。結婚したいわよ。でもそうなると人の目があるから」彼女が弁解する。



「分かってる」

そう言って手を握ると彼女は上機嫌になる。



そうやって彼女の今日の出来事、自分の話をする。



人間界の電話でも出来そうな事。



しかし、初めて付き合う者同士なんとしてもお互いに会っていたいのだ。



「でね、今日は街に行ったんだけど」と彼女が話すと「一人で行ってないだろうな」と彼女の身を案じる。



「ナアマと使いと一緒よ」

ナアマは彼女の友人だ。



「ならいいが」

また、出会った頃のように彼女が絡まれるては困る。



「あ〜あ、デモンと普通に街でデートしたいな」

昼間に二人で自由に出歩けないのが苦痛らしい。



だからといって、夜も人が多い街で長時間デートも難しい。



彼女から出たワガママは素直で可愛いらしい。



「今度海に行こう」

そう提案すると彼女は「本当?」

と目をキラキラさせた。



魔界というのは実に独自な世界で一つの大陸みたいだ。



空間に漂う大陸は、広大な大陸の真ん中の山に見事な城が立っており山の麓には身分が高い貴族が住んでおり、端に下級の悪魔が住んでいる。



また大陸の半分には海があり、その水はどういう事だろう。また不思議と枯れない。



魔界には季節がない。



よって海に人が混み合う事はない。



しかし、常に空に雲が張り昼も灰色の空が漂っているためか、まれに少数の者が訪れるだけなので変装は解いて二人で過ごす場所にはうってつけの場所だ。



明かりは魔力でいくらでも作れる。



「じゃあ、行こう」

海に行く約束をしたのか彼女の足取りは変わる。



ふと機嫌がいい彼女の荷物を受け取り前を歩く。

「また持って来たのか」

とまた彼女が屋敷の貯蔵室からくすねたのであろう。



布に包まれたワインを除く。



「ナアマに貰ったのよ」と彼女は話すがその真偽はいかがなものか。



「分かった。そう言う事にしておく」



そう言うと「だから違うって」と可愛く立て着いてくる。



「分かったから手を繋ぐ」

そう命令すると彼女は渋々自分の手を握る。



向かう場所は魔王所有の別邸。



ごくたまに管理に雇われている者以外は立ち入る事はなく、彼女と会う時はいつも魔力を使い移動してくるのだ。



そうして時にたわいもない話をし、呑み食いし、お互いを愛しあう。



リリムからしてみれば繰り返しのようななデートをさせて申し訳ないが、次からはもっと色々な所を二人で楽しめるよう開拓していこうと海を楽しみにしている彼女の笑顔を思い出しまた別のデートスポットを探そうと密かに考える。



そうして魔界王子の一日が終わる。



「・・・もう起きたの?」

一糸纏わぬ彼女が目を覚まし問いかける。

「まだ寝ておけ。後で起こすから」



そう言って頭を撫でると彼女はまた寝息を立てた。



時間が経ち明け方に彼女を魔力で彼女の屋敷まで送る。



そうして自分も城に早く起きた分二度寝をする。



側近が激しく起こしてもなかなか起きる事は少ないが。



そう言う日に限って魔王は「また遅くまで寝る気か、少しはしっかりしろ」と朝の食事で小言を言ってくるのだが。



しかも察しが良いのか悪いのか、親というものは我が子の変化には勘が働くもので。



魔王から「最近のお前ときたらあれほど注意したのにも関わらず魔力を考えなしに使っているそうじゃないか」

とまた二人になったかと思うと説教を食らいそうになると思い切り抜けようとした。



がー、

「決めた。これからお前の教育は私がする事にな」

「は?」



親父が何を言い出したか訳が分からなくなって動揺が隠せない。



「母さんが言うお前が情に熱いのは褒めよう。しかし、お前が魔力を頼りに攻撃したものには反感を勝っているのも事実。門番から相談も来ていてな。

私が何かしない訳にはいかない。で、あるから!」

と魔王は声を大にし「これからは時期魔王として私の側で働きを見てもらう事とする」



なまじ魔力が生まれつき多いから家庭教師をつけても揉めてしまうだろうと考えたのだろう。



「最初からこうすればよかったんだ」

魔王は納得した様子にガハハと笑うがデモンの顔は引き攣った。



(冗談じゃない!!)



「まあ、修行みたいなものだ。そうだ。生活する拠点を変えよう!別荘に籠ってしようと思う」

あそこだったら多少お前が魔力を雑に使っても城を壊されるよりはマシだ」



(それだけは困る!)



「それはどうでしょう?」



あくまで冷静を装い親父を止めようとすると彼は「どういう事だ?」と耳を傾ける。



「私も帝王学や父上の仕事を見る事に興味はあります。しかしあの場所まで魔力で移動できるとはいえ、私が興味のあるのは城で仕事をしている父上を見ていたいのです」

と意見してみる。



「どうした?そのわりには普段私にその様な話しをお前は聞こうとはしないじゃないか?」

と痛いとこを突かれた。



「確かに城での仕事はやる事に変わりはない。しかし別の地に赴く事は公務の一つであるし、ここ何百年戦こそはないが実際に反乱があった際は城から逃れて戦法を練る事ができる練習にもなる。

第一お前の思考と集中力を考えてだ。我ながら良い考えとは思ったのだが」と全て図星だが反発しなければ事が王によって進められてしまう。



しかし『あの場所』、リリムと過ごす屋敷にこもり修行だけは阻止しなくてはならない。



「段階があります。まずは城での仕事から

見させて頂きたいのです」としつこく申し出る。



「珍しく弱腰だな。なにかあるのか?」

と問われるも「いえ」と返す。



暫く「うーむ」と考えたかと思うと「分かった。お前の意見を飲もう」なにか愚痴を言われ真面目になったところでやる気を削がれては困ると笑われる。



息子の顔色を伺う事自体甘いのだ。



しかしまだ諦めていないのか「まあ、何も問題はないと思うがしばらくしたらあそこへ遣いを使わせるか」と言葉をこぼされ言葉に詰まる。



人ツテで問題ない事を証明したいが、今のタイミングで自分がそれを言えばだったら何故別邸に行った事がないお前がそんな事を気にするのだと親父に返されるのがオチだ。



あの別邸はたまに魔王の使いがごくたまに変わり映えがないか見にくるくらいだ。



適当にあの別邸は危険だから近づかない方がいいと噂でも流して人払いをしたいが逆効果にもなる可能性がある。



(どうする?)



リリムに関しては誰にも相談はしてはいない。



その夜

「マズイ事になった!」

会って早々彼女にその事を話すと彼女も顔色を変え戸惑いを隠せない。



「いつから会えなくなるの?」

「分からない。早くて明日から見回りが来るかもしれない」

「嘘!?」

どうしようもない空気が二人の間を漂う。

「いつまで?」

「分からない」

魔界に住む悪魔と人間の感覚は違う。



魔界の十年が地球で一年だ。



感覚こそ魔族同士なので一緒だが、時期魔王になる教育をするために恋人同士会えないなんて不安だ。



「・・・デモン、私今すぐ海に行きたい。だって次にいつ会えるか分からないかもしれないんでしょう?」

そう言われ彼女の望みを聞かないわけにはいかない。



「分かった」

彼女と一緒に海へ移動する。



柱に吊るされたランタンが美しい。

「綺麗・・・」彼女が呟く。



「少し入って遊ばなくていいのか?」と言うと彼女は自分を抱きしめるばかりで離れない。



「リリム?」と彼女に問うと「今日は離れたくない」と泣いているのか彼女を抱きしめる。

「離れない」

そう彼女を抱きしめる。



そうやって二人は別れを惜しむように会話や愛の言葉を交わす。



明け方、彼女を起こす。

「もう会えないの?」

落胆して泣き出す彼女に「リリム?俺が渡した魔具はあるか?」と問う。



小さな角が付いたブレスレットだ。

「ええ。大事なものだもの」

これは自分が作り出した魔具だ。



人間界でいう携帯電話だ。



対は自分でも持っていて彼女との連絡はいつもこれでしている。



「これで毎晩連絡を取ろう。暫く会えないが絶対

に王になる際には君を妃にするよう俺から話す。絶対だ」

そう約束する。



「絶対よ」

そう固く抱き合い約束し彼女を送り届け、自分は城に戻る。



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