4-1話 ウエイター デモンの過去話
バン!!!
ズザアーっと鈍い音がして砂埃が舞う。
目の前には自分が魔力で倒したであろう輩が横たわっている。
もちろん致命傷は避けているが、ダメージはそれなりだろう。
(ーああ、これは過去の自分だ。
夢で過去の自分を見ているのだ)
無意識とは本当に厄介だ。
自分は人間でいうとこの『風邪』で悪夢を見ている事実が憎らしい。
今は真冬、デモンは人間界で初めての風邪をひき布団の中で療養するのだった。
「・・・ 誰だ?」
目の前では一撃を受けて弱った男は脈絡がなく一方的に攻撃を受けたので体勢を直し次第、襲撃してきた相手を襲い掛かる気でいた。
しかし、その相手をみるなり明らかに奴は血相を変えた。
「ッ・・デ、デモン様!?」
自分を見るなり態度を変えられるのは幼少期からの事で今に始まった事ではない。
「何故、私を撃つのです!?」
見に覚えがない攻撃を受け吏員のウァプラが疑問を投げかける。
「別に恨みはない。が、ウァサゴにはある。
お前この間ここに伝令をした時、アイツの家族に手を挙げただろう」
ウァプラは城の使いで話に出てきたウァサゴには幼いながら小さな兄弟姉妹が沢山いる。
そう吐くと「それはアイツらが私の仕事中にチョロつくから」
と溢したのでもう一撃魔力を放つと彼は伸び、デモンはその場を後にした。
本当は後一撃を撃たなければ気がすまないが、忠告を聞かせるには相手の意識があるうちにするのがデモンのやり方だ。
「あえて言うが俺がお前を撃ったからといってウァサゴに何かしたらどうなるか忘れるな」
それだけ言うとデモンは去っていった。
背後で反逆という執念を抱えてうずくまっている男に気づかず、デモンは自由気ままに自分の気に入った仲間とつるみ、時には一人の時間を謳歌していた。
「先が不安だな・・・ 」
数日ぶりに城に戻り両親、もとい魔王、王妃と晩餐を共に過ごし、デモンは親父が何か言い出したかと疑問に分厚い肉を食べる手が止まる。
すると魔王は
「お前の事だ!」と自分に一括した。
「何のことでしょう?」
口調は変え、しかし態度は変えず問うと
「魔力を安易使うなという事だ。
時期、私の跡取りという事を忘れるな!」
と豪語する魔王に王妃は「まあまあ。仲間思いでそれはそれでいいじゃありませんか」
ね?と宥められる。
「しかし」と、どこかまだ納得できない父は「デモン、お前が同胞に肩を貸すのは誇らしいが、お前とつるんでいる奴だけの肩を持つのは考えものだ」
いつ寝首をかかれるか分からん。
そう魔王は忠告するが、デモンにはそれすらも父に認めてもらえないと感じたのだろう。
親心子知らず。
「いいか?デモン極力、魔力を使わずに地頭を使え!
お前の為を思ってるんだ」
しかし、彼には魔王の言葉は響かないのだ。
その気になれば武術や剣術だって勝てる。
魔王から受け継いだ生まれ持った強みは活かさない訳にはいかない。
そうでなくてもデモンには守りたい者が増えたのだ。
魔界のはずれの丘。
毎夜、彼は城を抜け出してそこを訪れる。




