3-4話 いらっしゃいませ!魔窟です。
あれから一旦店を出て買い物をしに駅ビルに行って時間を過ごした。
なずなからは一向にラインも何もない。
彼女は買い物に行く予定だったがあれから行けただろうか。
つまらない意地を張らずに「今日は私が奢るよ」とか気の利いた言葉をかけるべきだった。
「おめでとう」の一言が言えない。
彼女が遠くへ行ってしまう。
私はダメなままなのに。
そう思うとなかなか上手く言葉に出来ない。
でも、この魔窟に行けばこの悩みとはおさらばができる。
期待を胸に私は魔窟の扉を開けた。
すると「いらっしゃいませ!」
と伊勢の良い挨拶が聞こえた。
その声の主は奥のカウンター奥から短髪の料理人らしい。
一歩入ると横からスッと前に来て
「こちらにどうぞ」とやる気があるのか無いのか分からない声でカウンターに通される。
カウンターにはまだニ、三人しかいない。
早速呑むつもりでいたのでバーテン兼ウエイターを探したい。
しかしおかしい。
定食屋の定員はイケメンなウエイターと言っていたがこの狭い空間にそれらしい人はいない。
まさか今日その人は出勤日じゃない?
困ったどうしよう。
キョロキョロ見回しても埒が明かないので思い切って入り口付近にいるウエイターを呼ぶ。
「あの、ここでお酒呑めるって聞いたんですけど」
と尋ねると
「何か苦手な物はありますか?」と聞かれた。
「いえ、特に」
これといってひと通り呑めるほうだ。
え?てか聞くって事はこの人が「イケメンのウエイター」!?
見るからに悪役面で強面だが不健康そうで昼間の定員と全然タイプが違う。
(話が違うじゃないか)
そう絶望していると横の階段から誰かが降りてきて誰かが隣に座ってきた。
「私、いつもの!」
聞いたことのある声がした。
昼間のイケメン定員だ!
「おい、お前一席空けて座れ」
「荒城では詰めるよう言われてますよ」と何食わぬ顔でイケメンは反発する。
気まずい雰囲気を壊したくとりあえずイケメンに挨拶する。
「あの、お昼ぶりです」
ヒラヒラと手を振って挨拶すると「わ!すぐ来てくれたんですね」とニマッと嬉しそうに返されると眩しさと可愛さが合間って心臓がドキドキする。
「お客さんも呑みに来たんですか?」
そう聞かれ「品川せりです。定員さんから紹介されて気になって。定員さんも?」
と聞くと「はい。サガンといいます。住み込みですがたま〜にこうやって店に顔を出します」と発言したので「住み込みで定員さんって珍しいですね」
と問うと驚きの発言が帰ってきた。
「まあ、私達行き場がなく行き倒れていたところを店長達に拾われまして」
と笑いながら話されて「え!?」と動揺しまくった。
「こっちにきて生活拠点がない私をちょうど人出が荒城が人出を欲しがっていたのでそのまま住み込みバイトになったというわけです」
「そうだったんですね」
海外から日本に来たらそんなトラブルもおこりえるのか?とかあ、でも今カウンターにいる方は日本人っぽく見えるからその話は当てはまるのだろうかなど考えてると「よかったら品川さんも一緒に呑みませんか?」と誘われた。
これにはまたも動揺していると「こちらから紹介しましたので。一杯奢ります」と言われイケメンと呑めるって滅多にないので舞い上がってしまう。
「で、マスターおすすめは?」私の代わりに彼が問うと「そうだな。嫌いな酒がないならまず料理を選んでからだな」と言われ「じゃあ」とサイドメニューからおつまみを選ぶ。これには「じゃあ私も」とサガンさんも注文する。
お昼に残した唐揚げにしてみる。
悩みを解決して貰えるなら食べれる筈だ。
そう注文するとウエイターは何かを作り始めた。
出された唐揚げを少し食べながら待つ。
先にサガンさんのが出来て赤いカクテルがテーブルに置かれる。
「はい。エル・ディアブロ」
とウエイターが渡すと「では、お先に」と私に断ると美味しそうに飲んだ。
そんなに美味しいのだろうか。
じっとサガンさんを見ると自分がカクテルが気になっているのに気づき「テキーラとカシスのお酒なんですよ」と教えてくれた。
しばらくすると
自分の注文に合うお酒が出来たらしい。
「梅酒ソーダ」とグラスを置く。
意外と捻りがないなと思って飲んでみると唐揚げと良く合って箸が進んだ。




