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3-1話 お客様は嫉妬に狂った方?〜魔窟の唐揚げとカクテルです〜



天国には食べる事を禁じられた果実があった。



女は蛇に唆され禁断の果実を食べ知恵をつけた。



やがて女に誘われ男も知恵の実を食べた。



二人が知恵を持った事に気づいた神は怒りに彼らを下界に堕とした。



やがて男と女は男児を二人授かり兄カインは農夫に、弟アベルは羊を放牧し生活をしていた。兄は真面目に畑を耕していたが羊と遊んでばかりの弟が目についた。



そして神へ捧げ物をする時が来て兄カインは作物を

弟アベルは羊を捧げる事になり神はアベルの羊を選び、カインはそれに腹を立てた。



全て昔々の話である。





「おい、俺のあれ、どこにやった!?」

怒り狂った男がここにも一人いた。


「さあ、存じません」涼しい顔で答ると

「しらばっくれる気か?茶碗はそこにあんだろが!」と彼が休憩室のテーブルに置かれている盆を指を指すとそこには二つの空になった茶碗蒸しの皿が置かれていた。



「名前が書かれていなかったので」と言うと「あきらの分は残してあるのになあ?お前、何様だ」と上から胸ぐらを掴まれた。



「私はあなたの監視役です」とニヤッと笑うとけっ!と手を離された。



「しょうがないじゃないですか。昼間は回転が早くて忙しいんですから」あなたと違ってと含みを入れ答えるも「晴さんがいるだろ」と指摘される。



晴さんとは魔窟の店長明さんの母親兼私、サガンがお世話になっている荒城の定員である。



そして王子、もといデモン様が食べたそうにしていたおかずはごくまれに晴さんが作りすぎると渡してくれる賄いだった。



まあ私はべつの賄いも出るが出された物は頂く主義だ。



事は数ヶ月前、急に王家から話があった。



かつての旧友に息子の下界での様子を監視し報告してほしい。



王子とは確かに若い頃一緒に遊んだ記憶もあった。



時間は空き急に王子が引きこもった時にも同じように魔王から魔界を追放された。



それが今や人間の店で働いている。



なんともいえない話である。再会した時、王子には非常に嫌がられたが。



彼を見ていると人間に使われそれを楽しんでいるようでとても意外だった。久しく笑った顔は見ていなかったので何が彼をそうさせたのか分からないが。



彼はまだブツブツ愚痴を言っている。



「すみません。腹がどうしても減ってしまいまして」 

実際、空腹だったのは本当だ。

「!ああ、そうかよ」と言いデモン様は自室に戻ってしまった。



しまった。王子は察したらしい。



魔力のあるものに人間社会はいささかやりにくい。



魔力で解決する事も人間は自分で解決してしまう。



王子と違い、ここに来て間もない自分はなんでも魔力を使いたいのを我慢して体力や気力を使いすぎた。


この世界では魔力は使いずらい。



よって頭や身体に疲労感が出る。




そう思うとあの方はよくやっていると思うが、それはあの方が下界に堕ちた時に魔力をかなり没収されたから残った魔力は人間に毛が生えた程度だからか彼も人間に馴染んだのか。



こうして自分は昼はご夫婦の定食屋の定員として荒城家に王子と居候をしている。



さて、自分の昼休みも終わりまた仕事に戻らねばと食べた皿を下げに厨房に行くと大将が

「悪い、サッちゃん注文お願い」と言ってきたので「はい、只今」と店内に急いだ。






「あ〜、こっちの方がよかったかも」

駅近のブティックのショーケースの前でレディースのスプリングコートを見たせりは立ち止まった。



そんな独り言に何〜?となずながこちらに視線を変え

「あ、コート?せり欲しかったっけ?」と一緒に店に入る。



土曜の昼間、駅に集合してこうして駅ビルのいつものコースとは別に駅から少し歩いた場所に繋がるショップで女二人で買い物をしている。



「いや、仕事の話」

そうなずなに気にしないでと言うと彼女は「ふうん」と気にしなくてよかったのかと思い直したのか別のコーナーを見る。



こっちの方がよかったかもというのはさっきも話した通り仕事の件だ。



せりの仕事はプレゼント通販サイトのバイヤーだ。



つい先週ウェブページに上がった自分が買い付けたスプリングコートの売れ行きが芳しくなかったのだ。



今年は前年と違いかっちりしたものよりオーバーサイズが人気だ。



しかし前回自分が仕入れた物はサイトを見るお客のニーズを掴めなかったのかまだ売れ行きに動きが見えない。



(プレゼントに服はまずかったかな?)



編集と売り出し方を何度も出し合ってwebに商品として上げたがやはり値段かプレゼント用の通販サイトだからって相手に送る物なのか今のところ売れないので苛ついていたがこんなところ(商店街)のブティックでいい物と出会えるとは正直思ってなかった。



他の商品の売れ行きは問題ないのに。



自分のリサーチ不足。



時間を巻き戻してこっちを商品として買い付けたかった。



そう仕事でのスランプを思い出し気を紛らわそうとして服以外の小物を見る。



ショップの真ん中にあるテーブルにはアクセサリーや付け襟などのファッションや巾着やトートバッグが並んで見ていて楽しい。



一通り店内を見た後今度はなずなに「じゃあ次は私あそこ入りたい」と提案されユニセックス感が漂うファッションや家具が置かれている店に入る。



「なずなはこういうとこ本当好きだよね」

こういうところというのは彼女の仕事柄にある。



「そう。新しい子いないかな〜?」とまるでペットショップを見に行くようにしている彼女の目当てはグリーンとそれに関連した園芸グッズである。



彼女の仕事はグリーンを販売するショップの定員。

それらを販売する傍らコーヒーなどのドリンクを店で販売している。



「まあ、仕事の服は見たいけどね」

彼女はそう言うと手に取った黒のキャミワンピを当てる。



なずなの私服はガーリーだ。



遊びに行くたびに思うがAライン花柄やふわふわした素材を纏う彼女のファッションを見るのは楽しい。



対して私は身体に沿ったパンツやワンピースが多い。今はもうすぐ春だが寒い。



冬のファッションも好きだが早くスプリングコートを着て街を歩きたいものだ。



「お店の服って私服と違ってカジュアルにまとめなきゃだから悩むんだよね〜」もっとかわいいのがいいのにと言いながらなずなは一生懸命ハンガーにかかっている服を手に取って真剣に選んでいる。



確かに今、彼女が手に取ったブラウンのシンプルなキャミワンピは着回しやすいと言われれば仕事着としてはよさそうだが、彼女には今来ているフリルが付いたワンピースの方が似合ってる。




しかし彼女は他に気になった服を見つけたらしく手に取ると試着し気に入ったのか即会計を済ませた。



そして「ごめん、せり。もう少し」とねだるといつもの事だ。グリーンが置いてあるコーナーを見て「あ、新しい子!」とか「あの鉢超可愛い〜」とはしゃいでいた。



いつもの事だが鉢可愛いはなかなかパワーワードな気がする。



「鉢、買わないの?」と聞くと「見てただけ。それに重いから」と彼女がトホホとしょぼくれている彼女を見ていると本当にグリーンが好きなんだなという気持ち半分呆れ半分が湧いて来る。



店を出ても「まあ、いいよ。部屋にうちの子達沢山いるし」とグリーンを我が子のように話し「鉢、先に買ったらグリーン増えるしね」と自分が補足すると「うん」と小さい子がおもちゃ我慢する時みたいに分かったといった感じに頷いた。

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