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この状況って、萌? それとも百合ですか?  作者: ほのぼの日記
瑞樹ちゃんの最も長い一日 編
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決着の後

 前回より時刻は少し遡って、前々回に続く俺たちの話。





 俺たちは疲れた体を引きずりながら家に帰ってきた。

 文字通り引きづっていたのは俺だけだったけれど。



「ただいま~~・・・・・・」

 玄関を開けて数秒。

 奥から慌ただしい足音が聞こえ、

「お姉ちゃん~~~~」

 と、こちらなどお構いなしに、ガシッと抱きついてくる。

「楓、いたい・・・・・・」

「あ、ごめん、安心したらつい」

「顔ぐしゃぐしゃだぞ」

 楓は顔を拭いながら笑って見せた。

「瑞樹ちゃん、私も・・・・・・いい?」

「うん??」

「よかった。本当によかった!!」

 力強く、それでいて安らぎを感じさせるように、抱き留められた。

 抱き留められたっていうのは文字通りだ。

 俺の体力はとうに限界を超えていて、抱きしめられたことでふっと張っていた意識の糸が切れてしまった。

 俺はそのままその場に力なくくず折れた。

「み、瑞樹ちゃん!?」

「おっと、体力の限界みたいだね。部屋まで運ぶから、春樹さん、そっちもって」

「はい」

「部屋はどっち?」

「こっちです」

 遠くでそんな声が聞こえていたけど、俺は夢の中へと引き込まれていった。





「瑞樹ちゃん、おめでとう」

「リリン?」

「そうね、どう説明したものか・・・・・・ん~、こういうのがいいかしら。今は二人で一人だと」

「つまり?」

「本来なら私が持っていたものはすでにすべてあなたに受け継がれたわ」

「魔力のことだよね」

「そう、それも含めてね。私のお母さんから来た魔力は私のものとなり、そしてあなたのものになった。初めてで身体に負荷が掛かりすぎちゃったみたいだけど」

「面目ない」

「いいえ、身体が耐えられただけよかったと思った方がいいくらいよ。本来魔力とは自然の中にある物で、身体なんてただの入れ物。壊れなかっただけありがたく思いなさい。あの時は私も勢いに乗っていたけど今考えると冷え冷えしちゃう」

 リリンは身体をぶるっと震わせて両手で身体を抱きしめるように組んだ。

「毎日身体に魔力を行き渡らせて、放出するイメージを欠かさずやりなさい」

「わかった」

「そう。ならあまり引き留めても辛いよね。おやすみ、瑞樹ちゃん」

「うん。おやすみ」

「言っておくけれど、桜田には気を付けて置くことね」

「??」

 リリンとの会話はそれを最後に俺はさらに深い眠りへと落ちていった。





 俺を部屋に運んでリビングに戻ってきた桜田たちはというと。

「楓ちゃん、僕はそろそろお暇するよ。あまり長いしてもあれだからね」

「それでは私もそうしましょう」

「え、でも・・・」

「瑞樹ちゃんにはこう伝えて置いて。よく頑張ったね。と」

「はい。わかりました」

 そこに割り込むようにあかねが

「あの、桜田さん」

「何かな」

「瑞樹ちゃんは今回も・・・その」

「彼・・・・・・いや彼女が選んだ運命だ。彼女はその道を全力で走っているだけ。僕にはそのサポートしかできないよ。倒れたからって僕のことを恨まないでくれよ、あかねちゃん」

「恨むなんて・・・・・・」

 あかねは顔を曇らせた。

「そうかい・・・・・・それじゃあ、いつかまたどこかで、というほど遠くもない未来で、また会おう」

 そう言って桜田と春樹さんは家から出ていった。

「楓ちゃん、今日と待っていもいいかな」

「はい。今日だけなら」

「ありがとう」

 そしてあかねはスマホで自宅へと連絡を入れるのであった。





 桜田と春樹さんは帰り道、こんな会話をした。

「桜田さん、僕を呼んだのはあのためですか?」

「いや、あちらに行かせられるのが輪花さんしかいなかっただけだよ。まあ、輪花さんも一矢報いられてしまったみたいだけどね」

「まさか・・・・・・」

「ああ、大丈夫。ただ・・・・・・」

「ただ?」

「そのことは伝えていなかったから回復したら僕の方が危ないかもだけど」

「そうですか・・・・・・」

「どこまで視えているか知りませんけど、あの娘を使いつぶすなんてことしないでくださいよ」

「ん? 何を心配しているのか知らないけど、あまりおしゃべりが過ぎるのは良くないよ、春樹さん」

 ちょっと声を落とした桜田はただならぬ威圧感で以て春樹さんを黙らせた。

「すいません」

「いいよ。春樹さんが優しいのは知っているし、それに、そんなことしないから」

「はあ・・・・・・」

「僕が直に引き受けたんだ。状況が変わったくらいで投げ出すことなんてないよ」

「あなたの仕事ぶりには感心し、信頼を寄せますけど、その人間性までは私には測りかねますね」

 やれやれと言った感じで春樹さんは言うのだった。





 そして時は戻り、輪花さんからエナジーを頂いているサキュバスはというと。

 艶めかしく、甘美の表情を浮かべ、顔を火照らせていた。

「この娘もそろそろ限界ね。傷は治したし、ご馳走ももう残ってない。そろそろ次に行きましょうか」

「姉さん、こいつどうするんで?」

「放置よ。殺しちゃもったいないもの」

 使い魔のコウモリがそんなことを聞いてくる。

 サキュバスは舌なめずりをしながら、羽をバサッと広げて、大空へと飛び立った。

「もう少ししたら行くからね。待っててね。瑞樹ちゃん」

 愛しいものに語り掛けるような甘い声のトーンで言ったサキュバスは大空を優雅に翔けて行くのだった。


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