文化祭当日 6
「お待たせいたしました。それでは結果の方発表していきましょう」
「待ってました」
「はやくはやく!」
再び壇上に戻った風紀委員長はマイクを片手に司会進行を始める。
観客席からは煽る歓声が聞こえる。
「ではまずは三位までに入賞した方に壇上の方へ上がっていただきましょう」
「準備お願いします」
ステージ脇ではスタッフが俺たち参加者に声をかけていた。
「呼ばれた方はステージに上がって、左から並んでください」
「では、まずは、一番、森山ちなみ」
「ありがとう~」
ステージへ行く際、スタッフがマイクを渡す。
森山先輩は観客に手を振りながら出ていった。
「次に二番、安藤かなみ」
「待ってました!」
安藤先輩はそのスタイルとは反してガッツポーズをして出ていった。
何・・・・・・何かポーズしないといけないの!?
「最後に十五番。谷崎瑞樹」
「・・・・・・呼ばれた」
良かったという安堵なのか、ただの達成感なのか、俺は知らず知らずのうちにそんなことを口走っていて、ちょっと行動が止まっていた。
「た、谷崎さん?」
「あ、すみません」
スタッフに呼ばれて我に返る。
俺はステージから出る際、お辞儀をして出ていった。
「今年度はこのような結果になりました。それでは、審査委員の方々の点数の発表、コメントをいただきたいと思います」
そう言って、生徒会長にバトンを渡した。
「では、まずは僕の方から。ええと、僕は、それぞれ、十点、十点、九点。という評価にしました。三年生の方々は自分の武器を最大限に生かしていたと思いますが、谷崎瑞樹さんはちょっと恥ずかしがっていたかなという印象ですね」
「それが一点のマイナスですか、生徒会長」
「はい。まだ伸ばせる要素があると判断しました」
「なるほど。生徒会長ありがとうございました」
そして生徒会長は俺たち、ならびに観客に一礼入れて審査席に着席した。
「では続きまして、花崎先生お願いします」
「はい。私は、森山ちなみさんのかわいらしさの生かし方、それにスタイルでは決して勝っているわけではないけれどそれをものともしない強さに八点。安藤かなみさんは逆に自分の強さでガンガン行くタイプでしたね。とても熱かったので八点。最後に谷崎瑞樹さん。彼女はメイド服という一見自分を魅せる服ではないですが、それがまた彼女自身の魅力を引き立てていましたね。なかなかのチョイスです。九点」
「暑いコメントですね。それでは減点の理由もお聞かせいただけますか」
「それは、私・・・・・・ちなみちゃんみたくかわいい娘も好きだし、スタイル抜群の娘を愛でるのもいいんだけど、儚い感じで悶えてくれそうな娘には目がないの!! でも今回はだか百合ではないから満点は上げられない。それでよ」
「そ、そうですか・・・・・・ありがとうございます」
花崎先生はなんていうか、いつも通りだった。
風紀委員長もこの感じにはちょっと気圧されているみたいだ。
「え、えっと、気を取り直して」
一度咳ばらいをして、
「最後に校長先生お願いします」
「はい。まず始めに、皆さん良いアピールでした。それで、どう点数をつけていいやら迷いました。私もこの年になると好き嫌いがはっきりしているもので。ですが、そのようなところで点数はつけられません。なので、ミスコンも一人ではできない。より観客を盛り上げていた、楽しませていた順で点数をつけさせていただきました」
「それでは発表していただきましょう!」
「森山ちなみさん、八点。安藤かなみさん、十点。谷崎瑞樹さん、九点」
「ということは・・・・・・優勝 安藤かなみ。二位 谷崎瑞樹。三位 森山ちなみ。それでは一言ずつ言ってもらいましょう」
「えと、皆優勝ありがとう。三年で今回最後だけど、いい思い出になった。みんなありがとう!」
「かっこよかった~」
「きれいだったぞ~」
俺の番みたいだ。えっと・・・・・・
「こういうの慣れてないんだけど、皆さん、ありがとうございます」
「孤高の黒姫さいこ~~」
森山先輩はちょっと悲しそうだ。だけどそれをこらえて、向き合っている。
「まさか、最後に一年生に抜かされるとは思わなかったし、一度もかなみに勝てなかったけど、毎回みんなのおかげで入賞することができた。みんなありがとう」
「今日も可愛いよ~」
「ち~な~つ~~ぅ~」
「それでは、これにてミスコン。閉幕となります!」
ステージ脇に戻って、
「あんた、谷崎瑞樹って言ったっけ?」
「は、はい!」
いきなり話掛けられたからビビってしまった。
「来年頼むな」
「私に勝ったんだから誰かに負けたら許さないからね」
え、え~~~・・・・・・
「が、頑張ります」
「おう」
「ふん」
先輩方は俺の前を歩いて行った。
教室に戻ってくると、それを今か今かと待っていたのか、入った瞬間の、周りなんてお構いなしでのおめでとうコール。
早く座りたかったので、俺は用意された席に着いてみんなの感想をきくことにした。
聞いているうちにもう、終りも近い時間になっていて。
「ねえ瑞樹ちゃん。私、後夜祭空けといてッて話したよね」
「え、うん。覚えているよ」
あかねが不安そうな顔で覗き込んでくる。
「あれ、ちゃんと生きているよね」
「も、もちろん?」
あまりにもあかねが不安そうな顔をするものだから、ちょっと心配になってしまった。
けれど、俺の返答を聞いて、ぱあっと顔の周りに花が咲いたみたいに明るくなって、超ハイテンションに変わっている。
一体、どうしたっていうんだ?
そんな疑問を持ちながら、あかねと話しているうちに二日目終了の時間になっていた。




