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この状況って、萌? それとも百合ですか?  作者: ほのぼの日記
波乱万丈 文化祭編
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後夜祭 前編

 後夜祭。

 それは文化祭、夜の部ともいえるイベント。

 ならば先ほどまでは昼の部と表現して差し支えないだろう。

 後夜祭は学生の打ち上げ的なイベントで外部の参加はほとんどない。





 俺は今、昼の部が終了したことでメイド服から制服に着替えて、クラスに戻ってきたところだ。

「あ、おかえり~」

「倉田さん、どうかした?」

「瑞樹さん。ほんとありがとう~」

 ぎゅっと手を握られて驚いたと同時に、何のことって感じで聞き返す。

「ケーキは完売。紅茶もほとんどなくなって。この売上なら十分賞に手が届きそうよ」

「あ、あ~~」

 そう言えば、そうだった。なんだか、やり切った感に浸っていたからすっかり忘れていた。

「よかったね」

「あなたにはみんなが感謝しているんだから、もっと、えっと・・・・・・こう、リーダー的な、なんかないの?」

「おめでとう?」

「まあ、見てた感じ、あなたはそういうタイプよね」

 無茶ぶりされたときなんて誰でもこんな感じじゃ・・・・・・

 そういうタイプってどういうタイプなんだろうと同時に思ったけど、そんなことを聞いている状況ではなくなってしまった。

「谷崎さん~」

「谷崎さ~ん」

「ちょ、俺が先だぞ・・・」

 名前を呼ばれた、というかこのクラスに俺と同じ苗字はいないから、必然的に俺なんだけど、俺が反応した先、クラスのドアの先では大勢の男子生徒が集まっていた。

「な、なんの騒ぎ!?」

「あ~~、頑張って~」

「え、ちょッ!? え~~・・・・・・」

 倉田は巻き込まないでと言わんばかりに離れていってしまう。

 仕方なしに、とりあえず何の用なのかと訪ねると、

「後夜祭、一緒に踊ってくれませんか?」

 と大勢の男子生徒が声を揃えて答える。そしてまたいがみ合いが始まる。

 それにしても踊るとは??

「瑞樹ちゃん、こっち」

 あかねに手招きされて奥の方に呼ばれる。それと同時に、クラスの女子たちが扉を閉めた。

「はあ。お嬢様をあんな奴らに渡すわけにはいかないわ」

「そうよね~」

「あかねさん、お願いね」

「うん。任せて!」

「クラス男子諸君、使命を果たせ!」

 倉田がなんか叫んでいる。使命ってなに!?

 そして、女子がドアを開けた刹那、クラス男子がドア前に溜まっていた男子を押しのけ道を作っている。

 この脱走劇は一体・・・・・・

「行くよ」

 手を差し出されて俺はあかねのその手を取った。

 そしてあかねに連れられて、普段は立ち入り禁止の屋上の扉の前までやってきた。

「ここって立ち入り禁止じゃ・・・」

「今日は空いているはずよ」

「というか、あれって何!?」

 俺は息を整えつつ気になっていたことを尋ねる。

「後夜祭でダンスパートっていう時間帯があるんだけど、その時一緒に踊って、最後に告白すると叶うっていうおまじないがあるのよ」

「へ、へえ~~」

 そういうのってどこにでもあるんだなって俺が感心していると、あかねに鼻をつつかれて、

「他人事じゃないのよ」

「え?」

「そのおまじないには続きがあって、ミスコンでメダルを貰った人以外には効果がないっていう」

「あ、ああ・・・なるほどね」

「これがあるおかげで、毎年この騒ぎなんだって」

 そして屋上の扉を開いた。





「おう、お前も来たのか」

 まぶしい光のその先には、先輩方がいた。

「先輩たちのところにも?」

「ああ、毎年だからもうなれたけどな」

「毎年、懲りないのかしらね」

「そう言うなよ、誰にでもチャンスはあるべきだろ」

 ・・・・・・毎年なんだ。

「えっと、おまじないってそんなに効くものなんですか?」

「おまじないってあれだよな。告白の・・・」

「去年までは私たちが上位にいたけど、三位は違う方だったのよ。それに毎年、そんなにあなたのような方が廻り巡ってくるようなこともないでしょ。だからなくならないの」

 なるほど・・・・・・誰かしらは成功していたってことか。まったくはた迷惑な話だ。

「それにしても・・・」

「あなたのお相手は、もう決まっているみたいね」

 そう言って二人はあかねに目を向けている。

「さしずめ王子様ってところかしら」

「まあ、そういう関係もありだろ。いろいろあって、楽しいのが普通だ」

「そうね」

 あかねはさっきから黙ったままだ。

「あかね?」

「だいじょうぶ、ちょっと心配になっただけだから」

「そう」

「あ、あたしらはいくか。二人だけの方がいい時もあるだろ」

「そうね。私たちも二年間、二人だけだったから、その気持ち理解できるもの」

 そう言って二人は屋上から姿を消した。

 残された、俺とあかね。





 しばらくして、あかねが口を開いた。

「み、瑞樹、ちゃんは、私が相手で・・・」

「ん?」

「私が相手でいいんだよね」

 今にも泣きだしそうな、そんな震えた声で絞り出すように言うあかねが何に悩んでいるのか知りたくて、俺は聞き返す。

「なんで?」

「あんなに大勢の男子からアプローチされて何も思わない女の子はいないよ」

 ああ~~・・・・・・なるほど。

 でも、それは絶対にない。しかし、どうやって伝えたものか・・・・・・

「だ、大丈夫。私はあかねにしかなびかないから」

「ほ、ほんと???」

「う、うん。約束」

 で、ちょっと気まずくて、恥ずかしいけど。

 誓いの口づけって感じで、キスをした。

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