文化祭当日 2
時刻は八時十五分。
文化祭開会式を行うため、今から体育館に移動だ。
全校朝礼の時と同じように体育館に整列。
しばらくして壇上に生徒会長と風紀委員長が姿を見せた。
「えっと・・・」
マイクを片手に持った生徒会長が音量を確認してから、
「只今より今年度、文化祭開会式を始めたいと思います。それでは皆さん、用意はいいですか?」
快活に話す生徒会長はマイクを全校生徒の方に向け、場を盛り上げようとしてくる。
それを合図に壇上にはカーテン脇から大きなクラッカーを持った複数人の生徒が壇上袖についた。
「では、皆さん。ご一緒にカウントダウンをお願いします!」
そして、生徒会長が「十」からカウントダウンをしていく。
それに伴ってみなも声をだした。
そしてついに
「零」
と、同時にクラッカーが大きな音ととも花を咲かせる。
そして大歓声の中、それぞれ出口に向かって歩み出した。
教室まで戻ってきて、まず。
「お店開くまで一時間もないわよ」
という倉田の指揮の元、準備を始めた。
俺たちメイド班は、とりあえず着替えに・・・・・・の前に、ちょっと時間決めをして、部活の出し物がある子なんかは優先的に配分。まあ俺は班長だから結構頻繁に活動するんだけど。
「瑞樹さん、こんなに出て大丈夫?」
「大丈夫。宣伝とかしながら見て回るし、気にしないで」
「私がもっと出れれば・・・」
「そっちも部活と掛け持ちなんだから頑張ってね」
「はい」
なんて、ちょっとカッコよく決めてみたけど、正直頑張り屋さんはキャラじゃない。
でも文化祭って・・・・・・
「と、私先に着替えてくるね」
「行ってらっしゃいませ~」
俺は一足先に着替えに行った。
「そろ~~~り」
「何やってるの?」
後ろから静かについてくるあかねに声をかけた。
「あはは、ばれてたか」
あかねは笑ってごまかしているけれども、これは、いつもながらのからかいに来たな。俺の直感がそう言っていた。
「あかねは仕事は?」
「まださき」
「ふ~ん」
俺は会話しながら着替える。
「あ、後ろ結んであげるよ」
「お願い」
俺はあかねにエプロンの結びを頼んだ。
「はいできたよ」
布の擦れる独特の音の後、鏡越しにきれいな蝶々結びになった結び目を見せられた。
「はあ、こんな可憐な姿を人に見せるなんて・・・」
あかねはわざとらしく落ち込んで見せる。
「いや、あかねもノリノリだったじゃん」
「私だってできることなら独り占めしたいわよ??」
「いや、そんなうるんだ瞳で見られても・・・」
「はあ、心配だわ。こう見えて、鈍感だからお姉さん心配」
「さっきからそのしゃべり口調何!?」
「こういうキャラの方が盛り上がるでしょ」
・・・・・・そんなものだろうか。
ちょっとしたコントをやりつつ、制服を片付けた俺はあかねを引き連れて更衣室を後にした。
教室についた俺を迎えたのは歓声だった。
「そう言えばこの姿・・・今日お披露目だった」
俺のメイド服姿を見たクラスメイト達が、それまでたぶん半信半疑だった賞を取るという目標が、具体的になった瞬間だったのだろう。
「これならいけるよな」
「似合いすぎてます・・・ドサッ」
「おかえりなさいませ、お嬢様」
やる気に満ちる者、なぜか効果音を付けて倒れる女子、メイド班の皆が声を揃えて迎えてくれる。
いや、俺もメイドだけどね・・・・・・
「そんなに?」
最終チェックだといって見に来ていた円に聞いてみた。
「はい。間違いないです」
「クラスの反応もいいみたいだし、宣伝効果も見込めそうだね」
「はい。ですが、それはもう必要ないかもしれないですね・・・」
「??」
「それが・・・」
どういうことという顔をした俺のために、説明してくれる。
「どこからか情報が漏れたようで、後からやってきた孤高の黒姫がメイドをやるそうだという噂でにぎわっていて・・・」
なんだそのちょっと痛い感じの名前。ていうか、それ俺のことか・・・・・・ハア・・・
「ま、まあ、私の仕事だし、ちょっとはやらないとね」
「はい。頑張ってください」
しばらくして倉田がそれぞれに確認を取っている。
「そろそろ始めるわよ。準備はいい?」
俺たちも、
「だいじょうぶ、です」
メンバーの顔を見ながら、返事をした。
店開きしてすぐに、俺目当ての客で店内は満席になってしまった。
その中には失礼な輩もして、俺がオーダーを取りにいかなかったことで失礼なことを言う奴が出たり。そう言う輩にはきちんと俺が、この俺が、叱っておいた。
とはいえ、これからもそう言う輩が出るかもしれないという懸念が出てしまったことで・・・・・・
何これ??????
「お嬢様。握手をお願いできますか」
「ああ、うん・・・」
まず、窓際の二席を解体。そして一席に、そこに俺を投入。ここで、窓際で優雅にお茶を楽しむメイドの姿という構図ができ、ここだけ別空間に・・・・・・
俺が接客をしないということで不公平感をなくす作戦だ。が、他がきつくないか・・・・・・チラッと見てみて、そんなことはなさそうだった。
でもお客様が満足していなければ機能しているとは言えない。
これちゃんと機能・・・・・・は、してるみたいだけど。何か違くない?
俺は握手を求められながら、そんなことを考えていた。
「メイド長、そろそろお時間です」
そして昼時になり、俺にも休憩の時間がやってくる。
「瑞樹ちゃん、休憩いこ?」
「あかね!!」
あかねがいてくれてよかった。うん。ボディーガードとして最高だよ!
「今日は何食べようか~」
と話しながら、教室を出ていった。




