文化祭準備期間 三日目 前編
文化祭準備期間 三日目。
朝。
いつもはホームルームをしている時間。
クラス全員が席に着き、実行委員の倉田と紀國が指揮を執る。
倉田は昨日の時点でまとめた紙を見ながら話し、紀國がそれを要点だけ黒板に書いていく。
「えっと今日は、まず、内装準備をします。また・・・足りないものは買ってくるという流れ」
倉田が時計を見ながら続けて、
「一時間目が始まるまでに、今足りないものは紙に書いて私に下さい」
そしてクラス中が動き出した。
「瑞樹さん、ちょっと」
「??」
一人の女生徒が俺を呼びに来た。
俺はその娘について行った先で、一括した金額の入った封筒を手渡された。
「昨日のメイド服のお金。確認してもらえる?」
「あ、ああ、ありがとう」
金額を確認し、
「確かにうけとりました」
と返した。
そして、俺は自分の席まで戻って、カバンから自分の代金を入れた封筒を取り出し、丸っと移し替えた。
俺はその封筒を持って紀國のところに行った。
「紀國君。メイド服のお金、全員分です」
「え、もう・・・早いね」
「みんなの行動が早くて」
「ありがとう」
紀國はその封筒を倉田さんの持っている支給金と一緒にしていた。
それを見届けて俺は席に戻った。
キーンコーーンカーコーーン
一時間目開始のチャイムが鳴る。
それが鳴り終えると同時に、倉田さんが
「では、足りないものがある班は紙持ってきて」
何人かの生徒が渡しに行く。
倉田が全員の紙に目を通し、
「わかりました。では作業をお願いします」
そして静かだった教室に話声が上がった。
数分後、円が俺のところにやってきた。
「あの~」
「あ、やるの?」
「はい」
俺は席から立ち上がり、メイド班のみんなにそれぞれ数日に分けて、円さんに調整をしてもらうよう頼んだ。そしたら、数名が私も手伝おうかと名乗りを上げ、見通しよりはるかに早く終わりそうだとほっとした。
「では。行ってきます」
「はい。いってらっしゃいませ、お嬢様!」
・・・・・・言った女生徒がキャーって言っているし、たぶんやりたかったんだなと思った。
いい練習になれば幸いだ・・・・・・
俺は教室を出て、更衣室に向かった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ここまでは考えてなかったな~~~」
「何がですか??」
「あっ、いや・・・なんでもないよ」
俺はするりと制服を脱いでいく。
円の前で!!
思ってみれば、着替えを見られるのって初めてじゃないか?
でも、それ以上に悲惨なことってあったと思うし、いまさら・・・・・・ね?
俺は心を鋼に変えて、無心で着替えていく。
「貰います」
「ありがとう」
円が俺の制服を畳んでくれているうちに、俺はメイド服を着る。
「えっと、エプロンも?」
「そうですね。してもらえますか?」
「はい」
とりあえず、カチューシャだけせずに、他はすべて身に着けた状態で円の調整が始まった。
「意外と細いですね」
胸周りが済み、腰周りを調節している時にぼそっと円が言った。
円の手際はとてもよく、ささっとピン止めしていく。
「慣れてるね」
「そうですね」
そう言えば、コスプレが合うとか言われたっけ・・・・・・つまり、そういうことだよね。
うん。趣味は人それぞれだから、変な詮索はやめよう。後々しっぺ返しを食らってもつまらないからね。
俺はそのまま数分、
「終わりました」
その声がかかるのを待った。
「えっと、胸、腰両方とも締めるんですけど、いいですか?」
「お任せします」
「はい。わかりました」
俺はメイド服を脱いで、円に手渡した。
「終わったらもう一度試着お願いします」
「はい」
そして円はメイド服を持って更衣室から出ていった。
教室に戻ってくると、着々と準備が進んでいた。
教室の机がテーブル状に、六ケ所作られていてテーブルクロスが掛かっていたり、黒板を綺麗に掃除していたり。
大輝が看板プレート状に段ボールをカットし、なんか組み立てたものを持ってどこかに行こうとしていたので、どこに行くのかと声をかけた。
「ちょっと演劇部行ってくるわ」
「何しに?」
「色塗りに行くんだよ」
と、答えて大輝は行ってしまった。
看板はカラーなのか・・・・・・
「あかね~~」
「どうしたの理沙? 倉田さんが呼んでるよ」
「倉田さんが? なんだろ・・・」
俺があかねの傍まで行くとそんなやりとりが耳に入ってきた。
「あれ、あかねに用だった?」
「ううん、そういうわけじゃないよ」
理沙が俺に気が付いて声をかけてきた。
「まあまあ、ついて行ってきなさいって。お姉さんが変わっておきますから」
冗談めかせて理沙が俺の背中を押してくる。
断るのも悪いと思った俺はあかねについて行った。
「倉田さん、どうしたの?」
「あかねさん、それが・・・」
倉田さんはあかねにだけ聞こえるように耳打ちした。
「なるほどね~。それで商店街と顔なじみの私が呼ばれたわけね」
「頼めるかしら」
倉田さんはお願いと手を合わせている。
「いいよ。でも、瑞樹ちゃんも借りていくね」
快く引き受けたあかねは、なぜか俺もつれていくようで一歩引いて待っていた俺のことを前に押し出して倉田さんに迫っている。
「お願いね・・・」
倉田さんもやってくれるならという感じでオッケーを出してくれた。
「それじゃあ、善は急げ。行ってきます!」
あかねに手を掴まれて強引に教室から連れ出された。
話の内容からすると、たぶん行先は商店街だろう。
あれ、意外と文字数が・・・・・・(*- -)(*_ _)ペコリ
でもこんなもんだよね・・・




