文化祭準備期間 二日目 中編
メイド服を調達するという目的をひっさげて、ショッピングモールにやってきた俺、理沙、夏希、円、紀國、大輝の六人。
服屋にたどり着いた俺たちは、まず、店員に話を聞いた。
「あの、すみません」
「はい、なんでしょうか?」
店員が笑顔で受け答えしてくれる。
「メイド服ってありますか?」
俺の質問にちょっと驚きを隠せていなかった店員もすぐに俺たちの人数と制服姿を見てなんだか納得してくれたみたい。
すぐにメイド服の場所まで案内された。
「こちらが当店が扱うメイド服になります」
「・・・・・・たくさんあるんですね」
俺はその量にちょっと驚いた。
なんと、ワンボックスすべてメイド服だったのだ。
いや、ありすぎでしょ・・・・・・と、よくよく見てみると、サイズ違いでちょっと幅を取っているみたい。それでも多いとは思ったけど。
「たくさんあるんだね~」
理沙が同じ感想を述べながらいろいろと物色していた。
「これ、もう水着じゃん」
「いかがわしいのは認められません」
と、横から夏希が委員長らしいことを言っている。
「これはだけすぎじゃない?」
俺も胸元の空いたメイド服を見て冷や汗。
「大丈夫ですよ」
「そうだね~。瑞樹ちゃんは気づいてないみたいだけど、賞取るためだけなら露出度はいらないんだよね~」
「どういうこと」
何か作戦があるのかと思って訪ねてみたところ、大そう立派な理論が返ってきたきた。
「私たちの学校ってさ、全体の六割強が女なわけじゃん。そっちの表をいかに多く貰うかの勝負って考えると、露出度が高ければいいってわけじゃないってこと」
「生徒が票を入れるんだ・・・」
「そうだよ~」
知らなかった。
まあ、よくよく考えると当たり前か・・・な?
「あ、これなんていいんじゃない?」
そんな話をしていると、理沙がとある一着のメイド服を見せる。
「オーソドックスですが、フリルが付いていますし、なかなかではないですか」
「ちょっと来てみてよ」
そう手渡されたメイド服を持って試着室に入った俺。
数分後。
メイド服を完全装備した俺は試着室のカーテンを開けた。
「ど、どう?」
「ほえ~~~」
「ぶっ・・・・・・」
「似合いますね」
理沙が見惚れたような声を出し、大輝がなぜか吹き出し、夏希がなぜか自慢げに見つめてくる。
その後ろで紀國が赤くなっていて、円が俯きながらちらちらこちらを見ている。
そう言えば、円って初めて俺が教室に行った時も、こっち睨むように見ていたな・・・・・・その角度がダメだったんだね。目力がすごかった・・・・・・
「でもちょっときつそう?」
「ちょっと胸と腰がなんとなく?」
俺も姿見で見てみたけど、惚れる・・・・・・
今日はストレートヘアなんだけど、これがまたばっちり決まっていた。
肩のところとスカートのところにフリルが付いて、スカート丈も歩くのに邪魔にならない感じだし、胸元もしっかりあるから、これなら俺でも着られるなって感じだしね。
ただ、しっかりあるからちょっときつく、腰回りもなんとなく締まっている感じがした。
「一つサイズ上げますか?」
と、夏希がすぐに一つ上のサイズを持ってきて、それも着てみたが、それは逆に緩くなってしまった。
いいのが見つかったが、サイズが、と困っていた俺たちに、
「あの~~」
「ん? 円ちゃん、何かいい案あるの?」
円が恐る恐る何かを言おうとしているのを発見した理沙が聞く。
「私が縫い直しましょうか?」
「縫うってメイド服を? そんなことできたの!?」
夏希が驚いていた。
「大きめのサイズ調整ならできるかと思うんですけど」
「ならお願い」
夏希が頼んでいる。俺もそれに続くように、
「円さん、頼める?」
「あ、はい。やってみます」
円は引き受けてくれた。
その後、制服に着替えた俺は、先に他のみんなのメイド服を選んでいた夏希たちに合流した。
それで、ちょっと気になっていたので、大輝に
「なんであの時吹き出したの?」
と、こっそり聞いてみたところ、
「お前があんなにメイド服似合うと思ってなかったからだ。あんな清楚な感じで黒上ロングのメイド服の胸もそれなりのメイドが目の前に現れたら・・・・・・倒れるかと思ったわ」
と、半ば喧嘩腰に返されたので、俺も、
「大輝、メイドさん好きだったんだね」
と、共感の意を示してやると、なぜ共感されたのかわからないと言った感じの顔になっていた。
そして、これも思い出しついでにと円に、
「ねえ円さん」
「なんでしょうか」
「私が初めてクラスに行った日のこと覚えてる?」
まずは当日のことを覚えているかの確認。覚えてなかったら仕方がないからね。
「はい。クラス中盛り上がっていたので」
覚えているみたいなので聞いてみることにした。
「その時、睨んでなかった? あ、その、何か悪いことしたかな~って」
「・・・えっとそれは勘違いです」
「勘違い?」
「はい。見てはいましたけど、その・・・・・・コスプレが似合いそうな方だなって思って、それで考えが廻っているうちになんだか恥ずかしくなってしまって」
「そ、そうだったの・・・・・・」
あの時も確か横目で見られていたから・・・・・・その童顔で前髪が長いせいなのか、俯きながら横目に見られるとにらまれているみたいに思えるんだよね・・・・・・
でも勘違いでよかったよ・・・・・・・
と、ちょっとほっとしていると、
「見つかったよ~」
と理沙に声を掛けられるのだった。




