相談
昼過ぎ、自室でスマホから電話をかける。
もちろん相手はあかねだ。
呼び鈴を鳴らし続けて数秒、あかねが電話に出る。
「もしもし~」
「あかねか?」
「そうだよ~」
けだるそうな声が返ってくる。
「夏風邪でも引いたの? だるそうだけど」
「やる気出ないだけだから心配いらないよ~」
それはよかったとほっとして本題に入る。
「今日この後家行ってもいい?」
「・・・えっ・・・いいよ!」
「あ、ありがとう。じゃあ、この後」
「またね」
そして電話を切った。
なんだか慌てているようだったけれど、もしかして今日いきなりは迷惑だったのだろうか。
・・・・・・一応菓子折りを持っていこう。
もともと行く気でいたため、用意など当にできていた。
一応最後に身なりを確認して、家を出る。
今日はしっかり日焼け止めクリームを付けました。何かと小うるさい人たちが周りに多いですから。
途中商店街でお菓子を買っていく。
菓子折りではないかもしれないが、いきなり行くわけだし相手に気を使わせるわけにはいかないだろう。
あかねの家に着いた。
呼び鈴を鳴らして、
「ちょっと待ってて」
カメラ越しに尋ね人を確認したのか、俺が名乗る前にあかねが言う。
一分もしないうちに玄関の戸が開き、あかねが姿を現す。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
きちんと靴を脱ぎ、揃えてから上がる。
「これ、つまらないものですが・・・」
と、リビングでテレビを見ていたお母さんに途中で買ったお菓子を渡す。
「ご丁寧にどうも」
「いえ、いきなりですから」
「そんな気を使わなくてもいいのよ」
「お母さん、瑞樹ちゃんもうちょっとよろしくね」
あらあらといった感じでお母さんは困り顔。
「もうあの娘ったら・・・」
「大丈夫ですよ」
「そう?」
笑顔を返す。
良くも悪くも笑顔は万能アイテムだ。相手の思っているように解釈させることができる。
その後、ちょっとの間テレビを見ていた。
・・・まったく呼ばれない。もしかして寝てる???
あまりにも二階が静かで心配になった俺は、
「ちょっと様子見に行ってみますね」
と言い残し、あかねの部屋へと向かった。
一度ノックしてから、扉を開ける。
「ま・・・・・・」
あかねが言うより早く開けてしまった俺は部屋の中をみて、ベッドや床の上に散乱した服が目に入り、続いてそれを片付けているあかねへと目がいった。
「まってって言ったのに~~~~」
「ご、ごめん・・・」
「見てしまったのならしょうがない。手伝って」
俺はあかねの部屋へと入り、片付けを手伝う。
「どうしてこんなに服が出てるの?」
「いきなり来るなんて言うからあわてて着替えた結果、服が決まらずいろいろ引っ張り出してたらこのありさまよ」
「そ、そうなんだ。服が多いと大変だね・・・」
苦笑いを浮かべながら、畳み終わった服をあかねに渡す。
そのまま二人で協力してあっという間に片づけを済ませた。
落ち着いて座れるようになったところであかねが飲み物を取りに一階に戻り、ついでにお菓子も持って戻ってきた。
それを仮設テーブルに置いて、
「それで急にきてどうしたの?」
「ちょっと聞きたいことができて」
「聞きたいこと?」
あかねはそれはなに? といった感じではてなの意思表示。
俺は要点をまとめるように話していくことにした。
だが、話せないこともある。
例えば俺の中に潜むリリンの存在とか、それ関連の出来事とか。それらをうまく隠す形で話していくのはなかなかに大変だ。
「えっと、夢の話なんだけど・・・」
あれ、なんか、要点だけでも難しい?
「夢?」
「そう、昨日の夢なんだけど、鎖で浮いた檻の中に閉じ込められている女の子の夢」
女の子というところでピクッとあかねが反応した。いやな予感はするけれど話を続けよう。
「檻と鎖は見た目普通なんだけど、女の子も傷ついてて・・・」
俺は要点と夢の状況を思い出しつつ、まとめていく。
「なるほど~。つまり瑞樹ちゃんのお人好しが放っておけなかったと」
あかねは何度も頷いて見せて、それから
「女の子とは話せなかったの?」
「ちょっとだけ話したよ」
「助けを求められた?」
「いや全然。むしろ助けなくていいって。でもどうして?」
「もしかしたら霊が助けを求めたのかもって思って。私に聞いたってことはそっち系でしょ?」
察しが良くて怖いくらいと思うほどの理解力であった。
今後、いろいろばれないようにもっと気を付けようと思った瞬間だった。
それはさておき、
「鎖が本物に見えたのは夢だからだろうね。潜在意識ってやつかな。捕まっている女の子が霊なら鎖と檻は霊能力者の仕業だろうけど・・・・・・うちのお父さんってことはないよね?」
「・・・・・・」
「黙んないでよ」
一回襲われた張本人として答えられない事案だった。
とは言ってもたっぶんそれはない。
あのことは桜田が話し合いを付けてくれたはずだ。
つまり別の犯人がいる。
「たぶんお父さんじゃないよ」
「まあいいけどさ・・・・・・でも」
心配そうな眼差しで見つめられて、
「また変な奴に目を付けられているんじゃないの?」
「ま、またって・・・」
「私の助けはたぶんここまでなんだろうけど、心配している人がいることは忘れちゃだめだからね」
「わ、わかっているよ」
あかねはテーブルから乗り出す勢いで両手をテーブルの上についた。
俺は勢いに負けるようにちょっと引いてうんうんと頷いて見せた。
「あ、ありがとう。大体聞きたいこと聞けたよ」
「ふ~ん。じゃ、今度は・・・」
あかねが回り込んできて俺の隣まで来たと思ったら、
「私の番ね!」
耳元でささやかれて、そのまま腕を掴まれたと思ったら勢い良く引かれてベッドに二人でダイブするような感じで倒れた。
・・・百合展開? をサービス枠としてちょっとつけるのでなくしっかり描くためにちょっと分けます。
しばしお待ちを<(_ _)>




