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この状況って、萌? それとも百合ですか?  作者: ほのぼの日記
夏の思い出 満喫編
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花火 後編

 圧倒的花火日和。

 なんて日があるのか知らないけれど、ちょっと風がある。きっと上空ではもう少し強い風が吹いていることだろうと予測できる。

 ドンッという大きな音の後、か細い泣き声の様なヒューという音。それが消えると同時に夜空に大きな花が咲く。

 光の花。

 火の花。

 花火。

 次々に咲き乱れ、数秒で散る。

 そのはかなさが目に焼き付き、美しく記憶に残る。

「きれいだね」

「そうだね」

 皆が皆、花火に夢中になる中で、それぞれがそれぞれに感想を述べる。

「お姉ちゃん?」

「楓さん? どうかしたんですか?」

「ううん、何でもない」

「そうですか?」

 大玉の花火が上がる中二人がひそひそ話している内容までは俺には聞き取れなかった。

 時間はあっという間に流れていく。

 やはり空中では風がそれなりにあるようで煙が北へと流されて、花火が曇ることはない。

 ここで筒を冷やすための休憩時間。

 ここまでざっと一時間くらい? もう半分もないと思うと花火はどうしてここまで夢中で見ていられるのかと疑問になってくる。

 存外、昔から楽しめる志は変わらないのかもしれないと歳外にもなく思ってみたり・・・・・・

「皆さん、全く集中しすぎではないですか」

「何夏希、花火すきじゃないの?」

「いえ、私はもっと写真とか、しゃべりながら見るものだと思っていたので・・・」

「意外と乙女じゃん」

「・・・・・・」

「久々に生で見たから見とれてたというか・・・圧倒されてたよ」

 赤くなった夏希をよそに、次の標的を俺に絞ったかのように夏希の問いに答えた回答に対し、

「瑞樹ちゃんはやったことあるよね・・・・・・去年やらなかったっけ?」

「? やってないと思うけど」

「う~ん、そうだっけ・・・」

「楓、記憶にあるか?」

「ないよ・・・」

 あかねの記憶違いだろうか・・・・・・

 俺もそんなことをした記憶はない。

「あ、始まりましたよ」

 と、そこで後半戦が打ちあがった。

 前半戦より大玉の花火が夜空を彩る。

 咲き終わる前に次が咲き、咲き、咲き乱れる。

 ラストスパートをかけるようにどんどん打ちあがり、咲き乱れる。

 乱舞という言い方が相応しいような、花火の狂乱。

 一つ一つを区別することなど当に不可能で、それでも花火は美しかった。

「これを一年かけて作るんですからすごいですよね」

 花火師は花火の種となる玉を一年かけて発注された数量作る。

 それが仕事だが、その成果がこの一瞬に凝縮されている。

 それを職人がどう思うかなんて想像つかないけど、きっと達成感があることだろう。

「迫力あるね」

 楓がそっと言う。

 しだれ桜のような花火が次々に咲き、夜空を覆い隠すように咲き乱れる。

 そっと静かに最後の花火が散って、辺りからは拍手が上がる。

 それを皮切りに人の動きが始まる。

「ほら皆、片付けして。ゴミまとめて・・・」

「これ入る?」

「これもお願い」

 そう互いにごみをまとめて、帰り支度を済ませる。

「それじゃあ、帰りましょう」

 母さんに続くようについて行く。

 途中で夏希と別れる。

「私こっちだから、今日はありがとうございました」

「またね~」

 そして、あかねを送っていって、少々母さんがあかねのご両親に挨拶をして、俺たちも帰る。





 家について着替える時、いきなり、

「今日のお兄ちゃん、なんだか変な気がしたんだけど気のせい?」

「ん? 熱とかはないと思うけど」

「そういう感じじゃないんだけど・・・・・・」

 いくらか考えてみたけど思い当たる節はない。

 だから、どういう感じなのか訪ねてみると、楓は煮え切らない様子で、

「なんていうか女として自然っていうか・・・・・・お兄ちゃんがお姉ちゃんとして板についてきたみたいな?」

「ん~、慣れてきたってことか?」

「たぶん?」

 そう言われると演技しているという自覚は薄れてきていることに気づく。

 が、それが変というのはどういうことだろうか・・・・・・

 いまいち何が言いたいのかよくわからないが。

「違和感はよく見てきた姿と違うからじゃないのか?」

「そうなのかな~・・・・・・」

 俺たちは浴衣を脱ぎながら話し合っている。

 楓の違和感の正体はわからない。

 けれど、いつもの兄の姿とのギャップとか、そういうことだと思った。

 楓の前とあかねとかの前とだと、やはり違うからな。

 そう思った。

 思ってしまった。 

 この一緒に着替えているという状況が変だと気づかないほどに俺はこの時すでに染まっていたのだ。

 女という存在に・・・・・・・・

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