プール3怠慢
着替えたことだし、プールへと出てきたわけなのだが・・・・・・
「人多くない?」
「そうね」
どうやらまだプールへの入場はできないみたいで、多くの人がそこらじゅうで今か今かと待っている状態だ。
横を見ればストレッチをしている人。自分の荷物をまとめて陣を作っている者。立ち話に花を咲かせている者。
それぞれがそれぞれのやり方で待っていた。
「どうする。私たちもストレッチとかする?」
「軽く動かした方がいいとは思うけど・・・・・・何せビキニだからね。私はきわどくする趣味はない」
「ははは・・・・・・じゃあ、軽くしようか」
俺たちもストレッチを軽く済ませた。
「まもなく本日のプール開きとなります。走ったり急いだりしますと事故の元となりますので、ゆっくりと前の人を押さず、順番を守るようお願いいたします」
アナウンスが流れた。
それを聞いた人が流れるプールの方へと集まっていく。
またそれとは別に超ド級のウォータスライダーへと並ぶ人の列が急激に伸びていった。
「私たちも行く?」
「ストレッチもしたし、行こうか!」
と、流れるプールの方へと歩いて行こうとすると、横から声を掛けられた。
「ねえねえ、君たち二人だけなの?」
横を振り向くと、きれいに日焼けした金髪の男となぜかアロハシャツを着たスポーツ刈りの男、それにちょっと長めの髪をゴムで一つにまとめた茶髪の男がいた。
・・・なんだ? ナンパか?
「私たち急いでいるんで」
「そんな連れないこと言わないで。俺たちも男三人で、やっぱりこういうところに来たら華があった方が盛り上がるってもんだろって話になってよ。だから、どう? 一緒に遊ばない?」
・・・・・・・いや、聞いてないよ、そんなこと。
なんだか面倒くさそうなことになりそうな予感はしていたけれど、一応断りを入れておく。
「いえ、結構です」
俺はいうが早いか、その場から立ち去ろうとしたら金髪の男が腕をつかんできた。
咄嗟にあかねを後ろにやり、にらみを利かせたが・・・・・・
「そんな睨まないで。ほら、今日は俺たちが奢ってあげるから遊ぼうよ」
「・・・・・・」
こいつら慣れてるな。
俺の直感がそう告げていた。
金髪の男は横から俺の腕をつかんでいるわけだが、前にはスポーツ刈りの男が移動しているし、金髪の男の横には茶髪の男がいる。
「瑞樹ちゃん・・・・・・」
あかねが小声でささやく。
「ピンク・・・・・・・」
助けての合図。
こういうとき、女性に助けを求められるのにうれしさを覚えるのは男性ならではの感覚だろうか。
・・・・・・・ちょっとうれしい。
でもどうやって切り抜けたものだろうか。
・・・・・・・・・・非人道的な気はするけれど、あれやってみるか。
そう思って、相手三人の目を見て、
「やめてもらえますか。迷惑です」
と、はっきり言った。
「・・・・・・」
少しの沈黙の後、男たちは笑って、
「強きの君も可愛いよ。でも、もっと可愛くなる方法教えてあげよっか」
と金髪の男は顔を近づけてくる。
あ、あれ・・・・・?うまくいかなかった、どうしよう・・・・・・
俺の中で焦りが生まれた。
取り合えず、これ以外に方法は思いつかないし・・・・・・もう一度
「金髪、離れろ!」
「・・・・・・・はい」
金髪の男は顔を離し、腕を離した。
「お、おい?」
仲間の男たちがどうしたんだと心配している。
「お兄さんたちも、迷惑ですよ」
「・・・・・・・すみませんでした」
心配していた男たち二人もどこか気の抜けたような顔をして謝って立ち去って行った。
さて、ここで種明かしをしてしまうと、魅了を使ってみましたと言うわけだ。
使ったというと使いこなしているように聞こえるかもしれないけれどそんなことはない。
今回は魔力をそれなりに意識して放出、対象を絞ったうえで、当て続けただけである。
半ば強引な作戦でうまくいって良かったとほっとしているのは俺の方だ。
「あかね、だいじょうぶ?」
「えへへ、瑞樹ちゃんはえらい!」
あかねがよしよしと頭をなでてくる。
あ、うん、まだまだ修行不足ですね・・・・・・
俺はその後しばらくは近くにあったベンチであかねのデレデレ具合が治るまで待機なのであった。




